第104話 遊びに行こう
超久しぶりの平和回(?)です。
飯回、最近挟めてなかったので今回はもうそれだけの回です。
楽しんでください。
最近はなかなか忙しい日が多く、疲れも取れない事が多かったが病院で休息をとり仲間と笑いなんとか回復した。
退院した俺は近々遊びに行こうと思っていた。
最近はデスペラードや異偶との戦いのせいで何にも出来なかったからな。
少しぐらい遊んだってバチは当たらない筈だ。
カーㇴはというと最近は忙しいようだったが、俺が行こうとしていた日には予定が無いようだったので誘った。
「特に行くあてもありませんし、むしろありがたいです。宜しくお願いします。」
と笑っていた。
カーㇴも忙しそうだったし、この前は適合者の件とか技術提携とかで色々と大変だったみたいだからな。
良いリフレッシュになるといいが。
そのついでで稔、魅羽も誘った。
玲子は流石は国の機関と言うか、俺より怪我は多めだったはずなのにいつの間にか病院から消えていた。
勿論今回のも都合が合わないからと断られた。
アイツも部下が減って、色々と後処理が忙しいのだろう。
気の毒だ。
そして稔たちだが、施設に入って今はのんびりと生活しているらしい。
流石に傷が全て晴れた訳じゃないが、少なくとも笑顔が増えたと施設の人が教えてくれた。
俺は少し関わっただけとはいえ、彼らの保護者みたくなっていた時期がある為不審者としてではなく信頼できる人として紹介された。
なので許可を取れば彼らとも外出できる。
稔たちは久しぶりのお出かけに心を躍らせているようだった。
これなら、少しは気が晴れるかもな。
今回遊びに行くのは映画館も入った近くのショッピングセンターだ。
色々と揃っていて、しかも映画も見れる。
最近見たい映画が多いが、中々観れなかったからな。
こういう時に見とかないと中々きついぜ。
稔たちは少なくとも退屈はしないだろうアニメだが、果たしてそういうのの無いカーㇴは暇しないだろうか。
心配だが、まぁ映画自体はテレビの再放送とかを食い入るように見ていたし大丈夫か。
映画館でチケットを購入し、ポップコーンを買うとカーㇴに視線だけで箱ごと食われそうなほど見つめられた。
「こ、これは何ですか???先ほど、機械の中で弾けてました!!食べ物なんですか??良い匂いではありますが......。」
どうやら出来立てのポップコーンのはじける瞬間をみていたらしい。
あれ、何気にワクワクするよな。
「大丈夫だよ。...というか、例え大丈夫じゃなくてもカーㇴなら食いそうだがな。」
「なっ!......そこまで食い意地が張っている訳ではありません!!!」
失礼しちゃうとでも言いたげに反論してくるが、俺は忘れていないぞ。
この前そんなもの食べるのかみたいな感じで納豆を見ていた癖に、食べたらハマってしまった事を。
俺が買い置きしていたストックを食い尽くし半泣きで謝られた事を。
別にそれで怒るほど心も懐も狭くはないが、これで食い意地が張っていないは嘘だろう。
そう思いつつも言葉には出さず、その代わりに無言でポップコーンを口に運ぶ。
うん、美味しい。
バターがかかった塩味はやっぱベストだな。
キャラメルも美味いが、やっぱ塩だよなぁ。
このコーンの弾けた香ばしさ。
そして塩の塩梅。
これが少しでもしょっぱくなると台無しだし、種だけだとがっかりなんだよな。
このバランスが出来る機械、何気に欲しいな。
場所とるし要らんか。
稔たちはというと他の食べてた。
ここのアイスチュロスが美味しいんですよ!!と言うのは稔。
いやいや、お兄ちゃん分かってない。ここで美味しいのはホットドッグ!!というのが魅羽。
傍から見るとただ食いモンどっちが旨いかで喧嘩する子供だ。
かわいい。
「しかし、良かったのかお前ら。まだ施設に入ったばかりで色々とやるべき事だってあるだろ?わざわざ時間取ってもらったが、本当に良かったのか?」
「勿論!僕も魅羽もお兄ちゃんに呼んでもらえるなら喜んで行くよ。やるべき事って言ったって、精々施設のルーティンを覚えるくらいだしちょっとくらいいなくてもへーきへーき。」
「......お兄ちゃん、今日の事滅茶苦茶楽しみにしてたもんね。はやくお兄ちゃんに会いたい、カーㇴさんに会いたいって。」
「...うるさい、恥ずかしいから喋るなよ!」
「あー、照れてるーーー!!」
「う、うるせえーーーーーーーーっ!!!!!」
とたとたと俺の周りで逃げ回る彼らは子供のそれを取り戻しているようだった。
何というか、子供らしさを取り戻すのって結構大変だろうしこれは大きな進歩だよな。
だが一言言わせてもらおうと息を吸い込めば、気づけばカーㇴが
「はい皆さん。こういった公共の施設では騒がない、走らない、落ち着く。いいですか?」
と注意をしていた。
若干肩を落とし、「はーい」なんて言いながらも楽しそうだ。
これなら十分リフレッシュになるだろう。
そのまま開演時間まで待つ。
結論から言うと映画は最高だった。
俺の見てきたシリーズでも屈指の名作だと言っていいと思う。
なんといっても最後。
師匠から教わった力と技でライバルを殺した敵を倒すシーンは胸アツ以外の何物でもなかった。
稔や魅羽も漫画を追っていたらしく嬉しそうにしていた。
カーㇴはというと、スゲエ不思議そうだった。
「あの力、どう見てもJ-8725のモノでした。一体、何故この世界の人が?」
「R-43にしかない筈のマシンが書かれていました。あにめというのはIFRTのような働きがあるのですか?」
などと、どうやら今回のアニメに出てきたモノが実際に存在するらしく驚愕の表情と共に疑問を浮かべていた。
それはフィクションであくまでも想像で書かれたものだと説明したのだが反応は、
「いえ、ひょっとしたら私と同じ、または更に別の世界から来た人がいるのかもしれません。」
などと言ってしまっていた。
どうだろうな、意外といるのかも。
なおカーㇴは見た目が結構アニメというかそういうフィクション系に居そうなあまりにも絶世の美少女なのもあって注目されていた。
とあるオタクは彼女の事をえみリンそっくりだと喜んでいたが、誰なんだソイツは。
彼女もまた、「人違いですね。私そっくりな人、この世界にも居るのですか?」などと聞いてきたが。
映画を見て気が済んだ後、暫く散策した俺たちは腹が減っていた。
それもその筈、丁度お昼時だ。
映画館のあったショッピングセンターでも良かったが、人が多いとカーㇴが目立つに目立つ為あまり良くないと場所を移す事にした。
その近くから車で走らせ、しばらく動くことにした。
「あの、今から何処に行くんですか?!私、ご飯なら何処でもいいでーす!!」
魅羽は楽しそうだ。
それに対し稔は少し困った顔で、
「お前、少しは遠慮しろよ。さっきだってお前、グッズ買ってもらおうとしてたじゃん。お兄ちゃんたちは色々と考えてくれてるんだからさぁ。」
と返した。
「気にすんなよ、本来お前らぐらいであれば沢山欲言って沢山遊んでもらうのが普通だしな。遠慮なんてすんな、子供は我儘言うくらいが一番健全なんだよ。」
「で、でも......。」
「ほら、こういってくれてるじゃん!!わーい!!!!」
「お、お前なぁ...。」
楽しそうだ。
彼らも、今の出来事を通して元に戻っていくといいよな。
なお隣でカーㇴは、「ごはん.........。」とつぶやきつつどうやらまだ見ぬ食事に心を躍らせているようだった。
別にいいけど、そんな大層なモンは出てこないぞー。
「まぁ、気軽に食えて値段もお手頃なファミレスでいいよな?」
と聞けば、稔が
「勿論です!」
と返す。
「ふぁみ...れす...ですか?」
カーㇴの質問はそうなるだろうな。
ていうか、その翻訳機はどうしたんだよ。
「翻訳機ですか?これは、言葉は分かるんですがどうもその世界特有の言語とか流行りとかは分からないらしく......。」
いや別に流行りでも無ければ特有でも......。
と思ったが特有と言えば特有なんだろうか。
「ファミレスってのは、ファミリーレストランの事だ。」
「ファミリ―レストラン。家族経営の料理屋の事ですか?」
「いや違う。ってかそれはもうただの料理屋だろうな。ファミレスってのは、子供を連れた家族連れでも気軽に行ける飯屋の事だよ。」
「なるほど、そんなものがあるのですね。気軽に行けないお店があるという事ですか?」
「うーん、まぁファストフードとかそこら辺を除けば居酒屋とか所謂チェーンじゃない店とか高級店は子連れ家族にゃ行きにくいだろうな。」
「なるほど、子供を持っているといけない店がある。......と。」
なんか書き溜めてるな。
何だ?
「ああ、コレですか?これは、元居た世界に帰った時、もし要望があれば子供たちとかに話してあげようかと。実際に行ける人は限られてますからね。その世界の文化なんてものは学者だけじゃなく、子供たちや民衆も気になるモノなんですよ。」
なるほどな。
確かに俺らも他の珍しい国に行った奴の手記とか見てへえ~ってなる事あるしな。
そういうもんか。
確かに現地の飯とか文化なんてモンは気になるもんだしな。
まあ別世界のってのはスケールが違うな。
流石異世界だ。
......ていうか、そうだよな。
カーㇴも、もしこの世界が平和になってあっちでも騒動が終わったら帰っちまうんだよな。
別に引き止めたい訳じゃない。
ただ、ずっと最近は一緒に居たせいで、カーㇴが居なくなる未来が見えなくなってただけだ。
そうしたら、俺はまた............。
ダメだ、余計な事は考えないようにしよう。
それに稔たちだっている。
彼らと仲良くしていけばいい。
そうだ、そうしよう。
稔たちは後ろの席で何やら盛り上がっている。
どうもさっきの映画になったアニメの2期について話しているようだ。
楽しそうだな。
隣ではカーㇴが、「ところでファストフードとか何ですか?...早い、お店?お店が走るって事ですか?」
と聞いてくる。
一緒にハンバーガーチェーンに行ったときに説明したような気がするがな。
.........これがもし子供が生まれたら見えてくる光景なのかもな。
たまの外出にファミレスへ家族を連れて行く。
隣では、俺に質問をする子供が居てそれに運転しながら答えてやる。
後ろでも盛り上がっている子供が居て、ミラーで確認すれば寝顔だって見える。
なんか、いいなこういうの。
俺は無理だろうけど、そういう生活だってあるんだよなって気になる。
...って、それで行くと妻は誰なんだよ。
カーㇴは完全に子供だし、俺はロリコンでは無いしな。
カーㇴは何というか、娘ではないな。
......姪?
しっくり、來る?ような?
来ないような。
大きさも関係あるんだよな。
こんな大きいのに質問責めって、なんというかちぐはぐだ。
小さい子なら分かるんだけどな。
ま、この世界初心者だからしょうがないところだが。
カーㇴはかわいいから、きっと貰い手なんていくらでもいるだろう。
その男は大変だな。
カーㇴは真面目だしいい子だけど、ちょっと抜けてる所があって且つ腹ペコだからな。
稼いでいいモン食わせてやって欲しいな。
...............あそっか。
いいモンつってもあっちじゃ食いモンは重視されていないのか。
じゃあ、まあ。
こっちの世界で、浴びる程食べて行けばいいんじゃないかな。うん。
そ、まだまだカーㇴも子供だ。
本人は立派な大人だレディーだって言うけど、高校生はまだ子供だ。
あちらの世界では大人でもこちらじゃ子供でしかないな。
なら、もっと食って大きくなれ。
それが俺の望み、かな?
今のカーㇴ、流石に前よりは大きくなった感じはするがまだまだ腕とかが薄い。
もっと食べないと今にも折れそうだ。
ま、食べさせ過ぎて拒食症になっても困るが。
暫くし、ファミレスに着いた。
客はまばらで、この分ならすぐに席に付けそうだ。
と思ったら案内された。
席に着くと、メニューを見ながら注文を決めるのだが.........。
「皆様は何にされるのですか?」
「そうだなぁ~、やっぱ僕はハンバーグで!!美味しいしボリューム有るし!!」
稔はハンバーグにするようだ。
ファミレスのハンバーグで値段相応と言われがちだけど美味いんだよな。
で、魅羽は。
「......ちょっと多いかもしれないんだけど、唐揚げ定食が良いです!」
なるほど、唐揚げか。
いいじゃん。
量も5個と割と多め。
でもやっぱ小学生って沢山食べる時期だし、割と行けるだろ。
ここら辺はやっぱ小学生って感じだな。
食うモンはある程度予想出来る。
で、俺はどうしようかなっと。
悩んでいると同じように魅羽からメニューを受け取ったカーㇴが苦悶の声を上げた。
「んぅ~~~...どうしましょう。...ちなみにお二人が頼む唐揚げとハンバーグというのは?」
「えぇ~~~!お姉ちゃん知らないの!!」
「そりゃ、別の世界の人なら知らないでしょ...。えっとね、唐揚げは鶏肉を揚げたものだよ。ハンバーグは肉を捏ねて焼いたやつ。」
めっちゃ端折ったけど、大体あってるな。
「ハンバーガー、フライドチキンとは違うんですか?」
あー、確かにその二つは食ってるか。
「んーとな、確かにハンバーガーの中に入ってるのはハンバーグだけどあれとは全く違う。あっちはパンにはさむようになっていて、こっちはそのまま食うようになっているんだ。フライドチキンはぁ~、んーと、スパイスとか入れるのがフライドチキンで唐揚げはそのまま醤油みたいな?違うか。」
んー、分からんな。
ハンバーグだったら説明できたが、フライドチキンはムズイな。
カリカリのフライドチキンとか骨付き唐揚げとかあるし、意外と差って無いんじゃないのか。
と思っていると、稔が答えた。
「確か下味だった筈です。えーと、フライドチキンが肉には味を付けなくて、唐揚げは衣も肉もどちらも付ける、だったかな?」
なるほど!
確かに、言われてみるとそんな感じがする。
「賢いな、稔。お前何処でそんなの覚えるんだ?」
「あぁ、これは母さんから。前に唐揚げ作ってくれた時に聞いたんです。」
そっか。
それは、いい記憶だな。
「はい、そんな差があるって聞きました。」
「なるほど、ありがとうございます。......私は、どうすればいいんでしょうか。全部美味しそうです。」
そうか、そうなるよな。
「...カーㇴ、前々から思ってたんだが.........その、意外と食べるよな、お前。」
「えっ!?............ダメ、でしたか?」
「いやむしろ食うのは良い事なんだが。今までの食事、ひょっとして全然足りなかったじゃないかなって。」
「いえ、健康の為にはむしろ食べ過ぎない方がいいってお聞きしているので。」
「...でも足りなかったり、それでひもじいならそれはそれで身体に毒だぞ。」
「そうなんですか?......で、でしたらその......。」
「ああ、好きなだけ食べていいよ。どうしようかなって思えるなら、思わなくなるまで食べていい。ま、幸いお金は払われてるからな。」
政府から半ば強制的に振り込まれている英雄料だ。
これがあるから正直ファミレスくらいなら全商品全制覇できるだろうな。
流石にやらんが。
「で、でしたらこの親子丼?というのと天丼?というのとカツ丼というのを食べてみたいです!!」
全部丼もの!?
いや、食べていいとはいったがいきなりでそれ、大丈夫なのだろうか。
まぁ本人がいいって言ってるし、大丈夫か。
あ、俺はパスタにしました。
由緒正しいナポリタン、やっぱこれよな。
頼む際にドリンクバーを頼んだのだが、これもまたひと悶着あった。
基本的に俺はこういうファミレスに来た時は必ずと言っていい程ドリンクバーを頼む。
色々あって楽しいし、偶に来る店だとサーバーから出るジュースとかが変わってたりするんだよな。
あれがなんか嬉しかったり寂しかったりするんだ。
てことで全員分頼み、セットだった為パンかライス、あるいはサラダかスープをか選べる事になったのだが............。
「僕はパンで、ライスもいいけどやっぱハンバーグだとパン選びたいですね。」
「えー、私は唐揚げ定食だからサラダがいいなぁ~。サラダで!」
「俺はパスタだしスープにするかなぁ、カーㇴは?」
全員が選んでいたのだが...。
「え、セットというのはその4つの中から好きなモノを選べるのですか?でしたら、やはりこの世界で食べた白き宝石、ライスでお願いします!!!」
えぇ!?
お前丼ものだぞ!!?!?!?!
そう突っ込んだが、何がおかしいのかとでも言わんばかりの反応をされた。
俺がおかしいのか?!
店員さんも思わず苦笑していたが、とりあえず頼めた。
頼めなかったらどうしようとかちょっと思っていた。
待っている最中にカーㇴはというと何やらバッグから出そうとしていた。
店員がセットのモノとグラスを持ってきてくれた時、ばっとこっちを向き、
「えっ!?もう届いたんですか!?」
と言った。
「流石に飯はまだだよ。これはさっきのセットの奴な?」
と言うと、
「あははははは!!!前々から思ってたけど、やっぱカーㇴさんってちょっと変わってますね!」
と稔に笑われ、
「はははははは!!!!!お姉ちゃんお腹減ったの???...ふふふ、それにしたってせっかちだなぁ。」
と魅羽にすら突っ込まれ赤面しているカーㇴが可愛かった。
流石にちょっとかわいそうでもあったが。
グラスが来たのでドリンクを注ぎに行くと、カーㇴが恐る恐ると言った表情と歩き方で着いてきた。
別にそんな怖いモンでも...と思ったが、流石に異世界の謎はまだ怖いか。
「そ、そのドリンクバーとやらは一体何なのですか?直訳すると飲み物を提供する場所を飲むってことじゃないですか?」
とカーㇴは怯えていた。
そういう事ね。
「ま、百聞は一見に如かずだ。見てみろよ。」
と機械を指すと、彼女は不思議そうに見つめた。
ちょうど少年がジュースを注いでいる所だった。
「あれは、一体?」
「あれで飲み物を注ぐんだ。ドリンクバー頼んでるから飲み放題だぞ。いくらでも注いでいい。ただしセルフサービスだ。」
「え?!あれ、どれだけでも飲んでいいと!?一体、どんなご褒美なんですか!?」
「いや、ご褒美って言うか...。」
「という事はここからここまで、全部飲めるって事で!?」
コーヒーのドリッパーからスープジャー右のジュースの入れ物まで全部囲うように手を振り驚くカーㇴに、苦笑せざるを得ない。
そんな驚く事か?
「驚きもしますよ。この世界の美味しすぎる食べ物、というか飲み物をどれだけでも飲めるって。」
まあ、そう言われるとそうか。
「...ちなみにいい事教えてやろうか。」
「?......何でしょうか。」
「普段だったらあまり出来ないような、自分だけの組み合わせも作れるんだぜ。アイスティーと山ぶどうジュースとか、コーラとレモンティーとか。」
「!?!?!?!?............そんな、そんな事をやってもよろしいのですか?」
「ま、それが醍醐味だと思ってる奴もいるみたいだしな。俺は普通に飲むが、お前はやってもいいと思うぞ。...ただしちゃんと飲み切れよ。自己責任でな。」
「!.........はい!」
結局カーㇴは丼が3つ来るより先にドリンクバーの端だけ制覇した。
4回も行っててよく腹がぽちゃぽちゃしないなと少し尊敬するよ。
と、ご飯が来たみたいだ。
来た人から食べていいと言ってあるので、みんなそれぞれで食べ始める。
一番最初に来たのは稔のハンバーグと俺のパスタだ。
滅茶苦茶トマトとソーセージの匂いがするぜ。
そしてあっちでも激しめの音を立てて肉汁が迸っている。
と思っていたらカーㇴの親子丼と魅羽の唐揚げ定食も来たので食べ始める。
うん、やっぱパスタと言えばナポリタンだな。
このなんとも言えないトマトの酸味と甘み、そして1枚1枚が厚めに切られたソーセージにフォークが止まらない。
持ってきた烏龍茶がソーセージの脂を取り、再びパスタの味を際立たせてくれる。
セットで頼んだスープは優しめの味付けで浮かんだ玉ねぎが旨い。
中々乙だぜと思いながらスプーンを口に運ぶ。
ふっ、完璧な布陣。
そう思っている俺の隣では稔がナイフでハンバーグを切り分け、ソースに付けて食べていた。
ただ小学生、最初にハンバーグの肉を全て切ってから食べていた。
「やっぱり美味しい!!このデミグラスが美味しいんですよ!肉汁もよく出ていて、兎に角旨い!!」
思わず目を瞑ってこくこくしてる、コイツもなんだかんだ子供でかわいいんだよな。
その上で丁寧にバターナイフでマーガリンをとり、パンにつけて食べている。
それはそれで美味しいのか思わず笑顔だ。
しっとりしたパンにバターって合うよな。
しかし、稔はどうやら飯を食べる際は喋りながら食う癖がありそうだ。
感想は大事だが、あまり言い過ぎると飯は冷めるしマナー的にも良くないしだな。
ちょっと行きすぎたら注意も必要か?
因みに稔はコーラを飲むようだ、完璧に小学生だぜ。
魅羽は唐揚げを結構なスピードで食べている。
あっという間に定食の味噌汁と漬物、セットのサラダが消え今や唐揚げとキャベツしか残っちゃいない。
凄いスピードだ、一切言葉を発さないぜ。
そして旨そうに食ってる、これ作った人が見たら大喜びって笑顔だな。
「唐揚げは旨いか?」
と聞くと、親指を立てて返してきた。
そうか、言葉はいらないか。
旨いもんな。
途中で喉に詰まったか慌ててグレープの炭酸飲んでたっけ。
なお残ったキャベツはそんな好きじゃないんだろう、ドレッシングすらかけずに放置されていた。
そしてカーㇴ。
途中で運ばれてくる丼ものを一切寄せ付けず、かなりのスピードで食べきっていた。
まず最初に来た親子丼。
うわ~と言いながら中の卵を裂き、鶏肉と一緒に美味しくかきこむ。
思わず写真が撮りたくなるいい笑顔だ。
「この世界に来た時から思ってはいましたが、やはりお出汁というのは偉大ですね!!これで肉も卵も味が際立っています。凄いです!!」
溶き卵を出汁でとじたものを鶏肉と挟む親子丼。
マジで旨いよな。
それで言うと同じように卵を出汁でとじたけど相方が豚肉なカツ丼は最高だと思う。
と、みるみるうちに親子丼が消えていく。
カーㇴ、食べんの早すぎじゃね?
セットで来たライスを、コメが足りないとばかりに親子丼にかけてて仰天しそうになった。
まだお前、丼二つ残ってんだぞ???
その後カツ丼を食べ始めた訳だが、滅茶苦茶旨そうに食ってる。
「これ美味しいです~~。元の世界に戻ったら食べられないと思うと、とても悲しいですね......。」
そんな気に入ったのか、作り方は教えられるけどなぁ。
流石に肉とか卵とか出汁は無理だもんなぁ。
カツ丼はあっという間に消えた。
「このとんかつと言う物が外はサクサク中は肉厚で素晴らしいです!!下のコメは出汁を吸い込んでとても深い味わいになっていますし...。凄いです、この世界の食事は!!」
大興奮だな。
とんかつは当たり外れが割とあるけど、どうやらそこまで下手なモンじゃなかったらしい。
ファミレスじゃ中々ハズレもないか。
「この上に乗ってる三つ葉?とかいう草もいいですね。なんというか、これがあるお陰で完成して見えます!」
おー、三つ葉の良さに気づくとかやるな。
ただ、三つ葉を草って言うと一部の奴らに怒られるぞ。
パクチーなら問題ないだろうけどな。
「そろそろ味変しようかな。魅羽、塩取って。」
稔が何やらやり始めた。
残り数キレも無いハンバーグにどうやら塩をかけて食べるようだ。
塩だけってのは通だな。
小学生の癖して中々しゃれた食い方するじゃないか。
「う~ん、冷めた肉の落ち着いた肉汁を塩が味付けしてて美味し~!!」
お前はグルメリポーターか。
なんだ落ち着いた肉汁て。
でも、ハンバーグで塩はあまりやらないかもな。
今度俺も試してみよっと。
と、俺もそろそろ食い終わりそうだ。
スープも飲み終わったし、あとはパスタだけだな。
最後に味変で粉チーズを振ろう。
まだギリギリ冷めきっていないパスタにチーズ、コレが至高なんだわ。
最高かよ。
あー、ここがファミレスでなくて俺が運転者じゃなければ酒飲んでるな。
魅羽はというと唐揚げを元々アルミでセットにされていたマヨネーズを付けて食べている。
一口食べた後、もう辛抱ならんと言った感じでどんどんつけて食べる。
やっぱ子供はそうじゃなくちゃな。
太るとか気にすんな、食べろ食べろ。
.........ただ、キャベツも食べろよ?
さっきの状態から一切減ってないぞ。
と、ここでセットのライスを単品で食べ始めたカーㇴが喋りかけてくる。
「この米も色々あるのですね。ただご飯としてあるだけじゃなく、水分量や質、種類など様々な工程によって美味しさが変わるだなんて。私たちにとっては青天の霹靂ですよ。」
まぁ、そうだろうなぁ。
前聞いた話的に、全く食事に関しては進んで無さそうだし。
何かが一歩進んでるとその分何かが遅れるもんなんだろうな。
と、かつ丼も食い終わり最後の天丼へ向かう。
この時には俺は食べ終わり、稔と魅羽もあと少しだった。
ていうか、一つでしかも丼よりボリュームの無い俺となんで二つ食ってるカーㇴが同じスピードなんだよ。
早すぎるだろ。
マジでおかしいってか、それで飲み物もがばがば飲むし一体どういう身体の作りしてんだ?
先ほどから5回くらいドリンクバー行ってるが、健康的に大丈夫か?
まぁいいや、好きに食えって言ったの俺だしなぁ。
「これも美味しいです!!」
そんな俺の気持ちも素知らぬ顔で天ぷらを次々頬ばるカーㇴ。
今回はシンプルに海老天2本、かぼちゃ、サツマイモ、白身魚(鱚か?)、マイタケの天丼らしい。
「この黄色いものはサツマイモ同様甘くておいしいです!この隣の茸も食感楽しいですし味わい深いです!!」
そりゃよかったな。
てか、何でも食うよなホント。
「はぁ~食べた、ありがとうお兄ちゃん。」
「ごちそうさまでした!!......って、カーㇴさん凄い食べてる...」
2人も食い終わったか。
「カーㇴさん食べ過ぎると太るよ?」
「こら魅羽。そういう事言わない。ていうか、そもそもこの人こんだけ食べてもいいぐらい痩せてるしもっと食べるべきだろ。」
「いやいやお兄ちゃんこそ分かってないよ。女性っていうのは案外みんなスタイルに気を遣ってるもんなんだよ。」
「そうか?...いや、そうかもな。でも少なくともカーㇴさんは気にしてなさそうだぞ?」
「...確かに。」
うん、一切気にしてないから二人も気にすんな。
というか、確かに言われてみると太る事を気にしない女性って珍しいな。
「え?太る?私がですか?......大丈夫です。私は、一番エネルギーのかからなかった軽量タイプですから。」
「...?あー、前に言ってたエネルギーのかからないってやつか?それさ、前にも聞いたけどどういう事なの?てか答えになってるかそれ?」
「気にしないでください。皆様には関係ありませんから。」
「いやいや、そう隠されると気になるって。てかお前さ...」
続けようとすると、魅羽が突如俺の目を見ながら自分の口に人差し指を立たせる。
「しーっ、ダメだよ岩動さん。エネルギーのかからないなんて、いわば体重の話じゃん。それをわざわざ突っ込むなんて野暮だよ。」
「いや魅羽、お前が言えた事じゃないだろ。さっきお前突っ込んでたじゃん。」
「お兄ちゃんは黙ってて。女子同士ならいいの。でも岩動さんは男性だからダメ。」
そういうモンかね。
体重の話だったのか?
でも、言われれば確かに隠す理由も分からんでも無いか。
ちょっと釈然とはしないが。
「あっ、この魚も美味しいです。骨まで食べれるんですね。.....そしてこのエビというモノの身!凄い柔らかいです。ミャクドンくらい柔らかいです。」
「.........ミャクドン?」
「あー、えっと私たちの世界のサポート道具です。この世界のクッションに近いかもしれません。」
「ほーん、そんなのがあるんだな。でも食いモンだしなぁ。」
「はい、それに似たようなふわふわさで、しかも味わいも美味しいです。...その上まさか最後の尻尾まで美味しいだなんて。ここは天国です。」
「ファミレスだよ」
魅羽が思わず突っ込んでいて笑いそうになっちまった。
まぁでも、そんなある意味で終わってる食事世界のカーㇴからしたら神の世界かもなぁ。
旨いし安価だし。
色々と思う所もあるんだろうが、とりあえずは今を堪能してほしいなと切に願う。
さてと、食ったしそろそろ行くか。
そう思っていると、カーㇴが何やら期待した表情でこちらを見る。
「...どうしたカーㇴ。」
「え?...いやいや、分かっていますよ。この世界ではご飯を食べた後はデザートを食べて別腹に入れるのがルールなんですよね?」
そんなルールはねえよと突っ込みそうだったが、ふと見れば魅羽と稔もこちらを何気なく見ている。
しょうがない、もうちょっと食ってくか。
「分かったよ。何にするんだ?」
結論から言うと、カーㇴはまたも三皿食べた。
フードファイターかなんかかよカーㇴは。
いくらね、食べれるからって甘い物を三皿も行くな。
急にエネルギーを過剰摂取するのも良くないぞ。
ていうか健康のためには食べ過ぎないのがいいんじゃなかったのかよ。
全く、俺らも余計な事言ったけどそれにしたってだな。
と、お小言を言いたくなったが楽しそうな3人を前に言う気も失せ、なんだか楽しくなったわ。
こういうの、またその内やりてえな。
また、その内な。
因みに俺がバニラアイス、魅羽はイチゴパフェ、稔がティラミス、カーㇴはバナナパフェ・チョコサンデー・パンケーキだ。
...カーㇴは多分この世界から帰れないんじゃないか?????
堪能した後少し近くを歩いてそれから帰る事にした。
幸い散歩道っぽいのがずっと続くため、何処かに車を停める事が出来れば歩けそうだ。
公園の駐車場が空いていたのでそこを利用させてもらう。
さてと、それじゃ行こうぜ。
ここは公園のすぐそばの川のほとりを歩く散歩道で、沿って歩けば大分進める。
川のせせらぎのお陰で音的にも涼しいし、しかも実際涼しい。
草が生えていて、そこに虫が飛んでいて非常に情景が良いな。
なんというか、少年系漫画を思い出す風景だ。
時々吹く風が涼しくて、ちょっと嬉しい。
俺たちは歩きながら思い思いに話した。
カーㇴは魅羽に笑いかけながらこの世界のもっと旨い飯を聞く。
魅羽はあまりこの世界を知らないカーㇴに驚きながら稔に茶々を入れつつ話す。
稔は俺に、今日の感想を拙いながらに伝えてきた。
ちょっと照れくさそうなのが、かえって気持ちよかったぞ。
少年らしいなって思った。
俺も、今日は満足だ。
さてと、そろそろ帰ろうか。
そう思いその場から離れる俺たちを、監視する目があった。
その目は白い仮面に閉ざされ、そして俺たちを睨みつけていた。
そいつは目くばせし、そのまま俺らへとゆっくり近づく。
そこにはナイフが握られていた.........。
「くたばれ!!!!!!」
気づけば、俺の背にナイフが振り下ろされていた。
他の3人が慌てて後ろを指さすのを見ながら俺は、ただ落ち着いて笑っていた。
最高と最低が隣り合わせ。
折角ご飯を味わう平和な回だったのに、白い仮面のせいで台無しです。
という事で次回「白VS黒」。
お楽しみに。




