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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第1章 真紅の雨
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第95話 戦士と疲労

またも久しぶりの更新ですね。

とりあえず、皆さんいつもありがとうございます。


鎌の刃が紅に染まっていく。


エネルギーをコレクトしながら、柄を肩に掛け腰を落とす。


「お、なんか出してくるの?...最高かよ、いいぜどんどん来なっ!!!」


奴はそう言い立ち止まった。


そして鉈を前に突き出す。


鉈の刃にトグロを巻くように赤いエネルギーが昇る。


奴もまた、必殺技を出してくる気の様だ。


面白ェ。


受け切れると思ってんなら甘ェぜ。


鎌を肩に乗せたまま俺様は駆けだした。


ジャッジの時は能力から後攻が良かったが、今は先手必勝だぜ!


そのまま鎌を振り、血の滾るような斬撃を横薙ぎに放つ。


「喰らいやがれ!!!!!! <紅鎌ノ閃(デュージーサイズ)>」


紅の斬撃は以前と変わらず粒上の液体を地面に零しながら奴へと向かう。


そして地面に落ちた礫は、同じく斬撃となって奴に向かう。


その斬撃から零れた液体もまた、地面に落ちれば斬撃に変わる。


無数の斬撃が奴を狙いにかかる。


流石に成す術も無いんじゃないか?


そう思っていると、奴は突如前を向いたまま後ろに高く跳躍した。


「へえ~、そういう感じかぁ~。中々強えじゃん!!!でも、俺も負けてないぜ!!」


トグロを巻いたエネルギーが濃くなり、鉈の周りがまるでドリルのように渦巻く。


あれで斬撃でも放つつもりかァ?


だが、あれで撃ったところで俺様の斬撃は防げないぜ。


何より追尾もするからなァ。


むしろ、空中では自由に動けない分ピンチになる筈だ。


どうすんだよ、デーヴィ君。


と、これもまた突然奴の左手のツメが輝き赤い光を放つ。


そのまま後ろへと振りかぶり大きく円を描くように腕を回して振るってきた。


ツメから放たれた三本の斬撃が追尾する斬撃の殆どを逆に消し飛ばした。


そしてそのまま勢いを失い地面へと落下し道路を引き裂いた。


ま............マジかよ。


俺様の、最強の必殺がいともたやすく。


幸い残った斬撃が奴に向かうが、これくらいどうとでもないとばかりに喰らった。


「おぉ、これだけでも結構喰らうな。全部当たってたらいくら俺でもヤバかったかもな。危ね~~!!!」


軽く明るく言われちまった。


...どうやら俺様の計算違いだったみたいだなァ。


奴が上に逃げたと、誤算だと思っていた。


だが、本当はあえて上へと避け追尾する斬撃を一か所に纏めるのが目的だったらしい。


俺様がかつてジャッジとやり合った時、異偶の殆どを主砲でぶっ飛ばしたのと同じ理屈だなァ。


まさかここで以前の俺様の戦い方を見る事になろうとは。


一か所じゃなく、今度はあちこちから斬撃を飛ばすようにしねえとこれが起きちまう。


しかし、これじゃマズいな。


その"今度"すら無いかもしれねェ。


「そんじゃ、お次は俺の番かな?...いいモン見せて貰ったし、楽しかったし、見せてやるよ。」


な、何が来る?!


再びツメを光らせ、斬撃を放ってくる。


これはさっきと一緒だが、じゃ、あの鉈のエネルギーは何だってんだよ!?


するとその答え合わせをするかのようにソイツは右肘を引き、構えを作る。


「これが俺の最高到達点。 <狂速爪弾(ルナティックバレット)>」


宣言後、奴は右腕を突き出しそのまま鉈からトグロを巻いた赤いエネルギーが放出される。


放たれたエネルギーは高速でこちらへと向かってくる。


しかも、どうやら回る毎に大きくなっているようだった。


その高速のエネルギーは奴がその前に放った、勢いの落ちつつある三本の斬撃へと向かう。


そして触れた瞬間、一瞬で斬撃3つは弾丸へと変化した。


トグロが斬撃を囲い丸形にしたのだった。


それを確認した直後、気が付けば俺様の遥か彼方、ギリギリ残っていたマンションの上半分が消し飛んだ。


そして倒壊していった。


しかもその後ろに見える住宅街が、跡形も無くなっていた。


何が起きたか分からない、光速の如き弾丸だった。


分かったのは、後一歩俺様が左にズレていたら命は無かったって事だろう。


何故か知らんが見逃されたらしい。


見せしめ......って訳じゃないだろうな?


「.........何故、俺様を殺さなかった?今の威力ならば俺様ごと、避難所の人らも殺せた筈だ。」


俺様を見守っている、避難所の奴ら。


その中にいるカーㇴ。


終わったと思っていただけに、何故そこに撃たなかったのかは分からん。


「え?...だって言ったじゃないか。楽しかったし見せてやるって。見せたんだよ。最初からお前を殺す気ならもっとちゃんとやってるよ。俺が楽しみたいから殺らなかった。それだけ。」


...正気か?コイツ。


敵を見逃すばかりか、本当に技は見せつけるだけだったなんて。


楽しみたいがために敵の弱みも、守りたいものも無視してただ戦いだけするとか。


...だがこれでようやくホントに信じられそうだ。


コイツはデスペラードだが、本当に俺様に戦いを挑みに来ただけらしい。


俺様をまだ逃すって事は、まだ遊び足りないって事だろ?


チャンスは消えちゃいない。


次があるならやってやる...!


「ははは、嬉しいな俺と真面目にやってくれる気があってさ。俺もまだまだやり足りないし、もっと遊ぼうぜ。楽しいのに、ここで仲間を呼ぶなんてナンセンスだ。......なぁ、そこで見てるトァネミ。」


......何!?


慌てて周りを見渡すが、何処にも白い仮面の男は見当たらない。


「...彼にはまだ見つかっていないらしいが、俺の戦いの邪魔するのはよしてくれよ。俺はさ、戦いたいんだよ。」


コイツ、救援してくる仲間すら止めるのか?


なんというか、本当に楽しみたいんだな。


...幸い、リーパーの能力のお陰で何処にいるのかはレーダーでもつかめないが音声は入る。


「ふざけるな!!!戦いの邪魔だとぉ、奴には誇りを傷つけられたのだ。自分が許せる訳無いだろう!!!大体、自分たちは仲間では無いか!?何故、自分の方を止めるのだ!!止めるなら奴だろう!!!!」


まぁ、トァネミにもムカついてるから何とも言い難いけど、仲間より戦いを優先するのもまあまあやばい奴だよな。


とはいえそれに助けられてるみたいだしここは静観した方が良いな。


「......仲間?...はは。」


「な、何を笑っているのだ!!!」


「そのさ、仲間を見捨てたのは誰なんだよ?おいおい。」


おっと、これは痛いな。


俺様としちゃ出てこなくてよかったと思ってはいるがスィゲロが戦っている時出てこなかったもんな。


仲間意識で言うならそれも助けてやらなきゃだめだよな。


「そ、それはだな。自分はさっきも言った通り奴に負けたのだ。それでここまで逃げ、なんとか休息をとっていた。奴も幸いそれでいいと言ったのだ。だから...」


「だから、良いと?...本当に面白いなトァネミは。仲間がそれでいいって言ったから、死にかけのスィゲロを放置してずっとおねんねしてた訳か?...まぁそもそも逃げた事をそんな堂々と言ってくるあたりでお前は終わってるんだよ。」


...なんか、コイツ雰囲気変わったかァ?


面白いくらいにトァネミを追い詰めているなァ。


さっきまで戦闘狂だったのに、急に口が達者だ。


陰湿とも言っていいのだろうか。


てかダリアの時もそうだったが、ひょっとして以外とデスペラードって仲悪いのか?


ダリアはそもそも誰も助けに来なかったもんなァ。


ま、アイツの場合友達も居なそうだけど。


「あと、誇りを傷つけられたと言ったね?...その程度の誇りを傷つけられて怒るのなら審判(ジャッジ)の名を語るのは辞めておいた方がいいんじゃないのか?」


「な、何だと!!!!!」


「大体、前から思っていたんだ。あの方から貰ったマシンがあるなら最大限生かすべきだろ。...なんだあの必殺技。逃げる為の技とか、本当にお前戦士か?...その誇り、逃亡が技のお前にお似合いじゃないの。」


うわ、マジで言われたくないな。


俺様も思ってはいたが、まさか敵じゃなく仲間から言われるとは思っちゃいなかっただろうな。


「きっ......貴様ァあああ!!!!よくもそのような事をっ、許さんぞ。今の発言は覚えておけよ。ここで協力しないという事は、あのお方への忠誠を裏切るという事だ。意思に反している。ペナルティとして報告してやる。」


チクリか?


なんか、小学生の頃に居たな、こんな奴。


「なんとでも言ったらどうだ。やってみてくれよ、是非。俺は腕っぷしだけでそこまでの事はあの方も期待しちゃいないのさ。お前はむしろ何やってるんだってペナルティ貰いそうだけどな。」


「ぬ、ぬぅううううううう!!!!!!!!!!!!!......はぁ、はぁ、はぁ、よし分かった。貴様の戯言など知らん。自分は自分とあのお方の為に動く。あの死神は今、弱っている。何より潰せれば後が大きい。ここでやるべきなんだ!!!」


その声が聞こえた。


と同時に、奴の声が本格的に聞こえた。







【正しき側神よ。自分(しんり)(いだ)け!REALIZE JUDGE!】








気が付けば俺様とデーヴィの前に、白と黒のマシンが立っていた。


その姿は忘れたくても忘れられはしない。


正真正銘、ジャッジだった。


しかし、現れた直後。


「戦いの邪魔はよせって言っただろ。......容赦はしてやらないぞ。」


赤い斬撃が奴を襲う。


モロにジャッジをツメで切り裂いた。


「ぐああああっ、な、何をする!?き、貴様本当に許さんぞっ!!!貴様の事はあの方に報告する!!!!」


「ああ、むしろそうするといいさ。お前がどういわれるかは知らないが。」


すると奴は「ぬうううう!!!!!」と言い残しワープして消えた。


何だったんだ。


マジで、変身しただけ???


「ふぅ~、これで邪魔者は消えたな。後は俺たちだけだ。」


嬉しそうにこちらを見るデーヴィ。


仕方ねえ、まだチャンスがあるならそこで.........。


そう思っていた。


だが、俺様はどうやら気づいていなかったらしい。










『急激な思考低減を確認。エネルギー低下。心身の健康状態低下。リーパー、機能を停止します。』


ナレーションが入ったと同時に、動きがロックされた。


一体何が!?...と思ったんだが、それと同時に急激に眠くなってきた。


腹が空きすぎてもはや痛い。


腹が背中どころか空をくっつきそうな程減っている。


眩暈が半端では無く、思わず膝をつく。


な、なんだコレ。


気づけば俺はブラッディから戻り、黒になっていた。


一体なんだ、どうなってんだ。


まさか攻撃?


そう思い前をなんとか見るが、デーヴィはこちらを見つめているだけだ。


ダメだ、眩暈でまともに見れない。


フラフラするし、気持ち悪い。


吐き気もある。


何より兎に角眠い。


眠気で頭をガンガンに痛いし、間接も痛い。


その圧倒的な違和感の中、ふと気づいた。


俺、そういえばずっと気を張っていたな。


思えばカーㇴが攫われてから、ずっとロクに睡眠をとっていなかった。


そしてメシをロクに食っていなかった。


更に言えばカーㇴを助けた戦いで俺は異偶に様々な箇所を食いちぎられ、死より辛い痛みを受けた。


リーパーの修復のお陰で身体自体は元に戻ったが、血は服にべっとりと付いていて何よりあの時点で貧血もいい所だった。


そしてそのまま一睡もせず旅立ち、スィゲロと戦った。


何度も地面に叩き落されてダメージも負った。


何よりその後一旦避難所でメシを食って、マッサージしてもらったがアレがどうやら逆効果だ。


あれで俺の身体は、もう安心してもいいんだと気を緩めてしまったらしい。


さっきまではリーパーの副作用でなんとか体の不調も肩代わりしてもらっていたが、もはやどうにもならないレベルなのだろう。


そんな俺を見かねたデーヴィが話しかけてくる。


「え、どうした?まさかトァネミになんかされたのか?!...あの野郎、結局邪魔しやがったな。」


...根本的な理由は確かにトァネミだが、今回では何もされちゃいないな。


「......身体が、怠いんだ。どうも、ここんとこの連戦で疲れがたまっていたらしい。」


よく考えたらそれもある。


トァネミのジャッジと戦い、ソイツ率いる異偶何十体と戦った。


更にスィゲロの呼び出したまあまあ強い異偶とも戦い、そしてスィゲロもといアメイズとも戦った。


そしてこのデーヴィとの戦闘だ。


そりゃ、疲れるわな。


「...そうか。」


......!


ヤバい、気が緩んでつい要らない事を言っちまった。


これ、マズいか?


コイツはあくまで俺と戦えるのを楽しみにしていたようだった。


だったら、期待外れだと思われてしまうだろう。


そうなった場合、間違いなくこいつは俺を殺しに来るだろう。


どうせ戦えないのならってな。


まだそれならマシだ。


一番マズいのは、それで怒って俺だけじゃなく生き残った人たちまでヤられる事だ。


...本当によく考えたらマズすぎる。


なんとか立て、俺!!


ここの人たちの盾になれ!!!


しんどいだろうが、ここを乗り越えなきゃしんどいもクソも無い!!


もうリーパー自体が動けなかったとしても関係ない。


ブラッディを目覚めさせた時のように、何か出来る可能性だってあるだろ!!


だがその意志に反し、俺の身体は意地でも動かなかった。


クソ、こんな所で!!!


だが身体は梃子でも動かない。


まさか、こんな所に落とし穴があるなんて。


一時期はどうなるかと思ったがなんだかんだやれていたのに。


こんな所で。


「お、おい。こんな事頼みたくないが、殺すなら俺だけにしてくれ...。お前だって、戦いを楽しんだだろ?最期の頼みを、戦士なら聞いてくれるよな?」


まさかデスペラードの善意に縋ることになるとは思っていなかったが、コイツならワンチャン......。


「はぁ~、残念だな。」


ダメそうだ。


終わった。


こ、こうなりゃ自棄だ。


やるだけやって......。


「でも、お前はアイツらと違って自分を差し出す気高さがある。ここで殺すには惜しいな!!!...最後の最後まで俺をワクワクさせてくれるしな。」


...え?


「本当、残念だよ。まさか戦いを中断するなんてさ。...でも、仕方ないよなぁ。アイツら2体に加えて異偶とも戦ったんだろ?じゃ、疲れるもんな。」


わ、分かってくれるのか!?


「そらなぁ。俺はさ、何度でも言うけれど楽しみたいのさ。今回は互角くらいだったけれど、お前が万全ならば凄い強敵な可能性だってある訳だろ?それを易々と摘み取るなんて事、俺には出来ないよ。」


...これは、嬉しい誤算だ。


コイツは本当の本当に戦士だった。


ただ戦いたいだけで、本当にデスペラードとしての動きには興味が無いらしい。


「本当に、気に入ったよ。赤こそ世界一だってわかってもくれるし。」


いや、それは分からん。


「とにかく、次はちゃんと体調整えてからやろうな。俺も更に強くなってみせる。期待してるぜ。......だから、ここは一旦の勝利を譲るよ。」


勝利?


「ああ、次はその最高の称号を俺が奪いに来るからな。...それまでにきちんと療養して最高に強いお前を見せてくれ。......それまで生き残れよ。そんじゃな。」


そう言うと奴は赤い球を投げた。


その玉は空に円のような紋章を作り、その紋章の目玉のような部分が開く。


そこには電脳的な空間が広がっていた。


「それじゃ、身体を治してくれよ。......それと、一つだけ。"種"に気を付けろ。...じゃあな。」


そう言うと奴は飛び上がり、そのまま空間へと去っていった。


そのまま紋章は閉じ、何も空には無くなった。


...俺は、何とか生き残った。


そしてみんなを守り切った。


それだけで十分だ。


やり切ったんだ!!!


嬉しいが、最後の言葉は一体何だったんだ?


種?


一体............。


そう思っていると、急速に俺は眠くなっていった。


そしてそのまま、深く淡い夜の淵へと意識は沈んでいった。





















リーパーは、腰から崩れそのまま座り込んだ。


そして三角座りの体勢で顔を膝に埋め完全に停止した。


そしてそのリーパーは、その顔の小さい鉱石のような部分から光を放出した。


その中には、一人の青年が眠っていた。


地面に放出され横たわった彼を、戦いを見守っていた人々が慌てて回収に向かう。


絶望の淵に落とされた日本の街で、ようやく戦いが終わった瞬間だった。


カーㇴもまた、喜びと安心感と焦りで一杯だった。


今度こそ、楼汰と終了を分かち合いたいと思った。


だが、一方で違和感も感じていた。


それは............。


















楼汰が眠り続け二日が経つが、リーパーが消えなかったからだ。

一区切りついたかと思えば、そうでも無いんですよね。

ここから一気に一章の終わりまで駆け抜けますので着いてきてくださいね!

想定としては、大体あと10話から15話を想定しています。

次回、戦後処理とリーパーの身体でお会いしましょう。

それでは。

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