第92話 耐久
お久しぶりです。
残業をすると、何もやる気が無くなりますね。
それでは本編どうぞ。
俺様、いや、俺は黒い姿へと変化した。
やっぱ慣れないな、あの口調。
何だ俺様って。
俺の潜在意識は何を思っているのやら。
しかし念力を操るマシンか。
スィゲロは勝ったとばかりに立ち止まっているが、果たしてそれが正解かどうか教えてやるよ。
紅い姿は確かに優秀だが、それはあくまで推測が出来ればの話。
ま、出来なくても技含め向こうのが強そうだけどな。
兎に角今はこの黒い姿で相手をしよう。
「あ、あれぇ?き、ききき君ぃ、馬鹿なのぉお???...ぷぷ、いくらボクに勝てないからってかつての姿で勝とうとするとは愚策過ぎなぁあい???」
滅茶苦茶煽ってきやがるな。
腹立つがここは我慢だ。
で、ここからが本題だ。
黒い姿は特に何の変哲もない能力なども無い姿だ。
ただ、さっきの赤い姿よりは装甲が厚く、防御性能自体は高いだろう。
それを活かし、ごり押しする。
幸いこのリーパーは解除するまで痛みは感じない。
ならば、どんなに怪我を負おうと相手を追い詰めさえすれば俺の勝ちという訳だ。
奴は幸い、油断しきってこちらを舐めている。
油断は隙になる、絶対にチャンスを掴める時が来るはずだ。
その時まで耐久し忍ぶしかないな。
しかし、今回で2回目の姿を変えて変身した訳だが、どうやら制約があるらしい。
どうもクールタイムが有るらしいこと。
変身自体はそこまでエネルギーを消費しないが、どうも流石にこの相手には黒、よし撃破したから次は紅、なんて器用な真似をする事は出来ないらしい。
流石にずっと変えれていたらなんというか副作用とか増えそうだしな。
そしてもう一つは変身した時の傷は持ち越されるという事だ。
どうやら紅い姿の時、地面に叩き落されて出来た背中側の装甲の傷が持ち越されている。
ただ、その時より深い気がするので恐らく姿によっての割合で決めてるんじゃないかという感じがある。
本当に推測でしかないが、紅い姿の時の方が装甲は少な目なので喰らった分の割合を黒い姿で計算し直すと装甲が厚い分傷の面積も変わっていっているのだろう。
多少デカくなってるようだが、そんな大した差でも無いな。
さて、そんなちょっとした制約を今なんとなくで知った訳だがそんな重くなくてよかった。
もしなんか酷い副作用でも背負わされたらいよいよだななんて思っていたのに。
ま、結局のところ倒せなきゃ意味が無いんだけどな。
こんな事を思っている間に、奴は次の行動を決めたらしい。
「ひ、いひひひひ......!!じゃ、じゃぁあ、あ、諦めたらしい君にぃい、とどめを、さ、さささ刺してあげるよ!!!!」
その言葉と同時に再び奴は能力を使ったらしい。
俺は気が付くと地面から足が浮いていた。
先ほどまでは気が付いたらって感じだった上に奴もカウンターのように使っていたが、隠す必要が無くなってどうでもよくなったのかあっさりと攻撃してきた。
「こ、今度は僕の気が済むまで、い、いいいいたぶり尽くしてあげるからねぇえええ!!!」
さっきと言ってること違くないか?
とどめ刺すんじゃないのかよ、陰湿な野郎だな。
浮いている感覚はかなり気持ち悪い。
例えるならそうだな、トランポリンではねた際の脚が離れてから着くまでの間を繰り返しているって感じかな。
兎に角、気持ち悪いし何より腹が立つ。
奴が鼻の部分を振り回すと俺もまた振り回される。
どうやら念力の力の位置を決めているのはあの鼻の部分の刃らしい。
あそこ、プロペラみたいにも出来るし指示棒にも出来るしで超有能だな。
そのまま俺は回転し、そして急に投げ飛ばされた。
そのまま勢いよく地面へと落下し、受け身など取れず肩から衝突する。
痛みは当然ないが、この後の事を思うと鬱になりそうだ。
.........ただ、やはりこの姿になっておいて良かっただろう。
いくら痛みを受けないからって、装甲は傷つくしその分のコストパフォーマンスは持っていかれる。
紅い姿の時は装甲が薄い分一発喰らっただけでかなり効率が低下した気がした。
だが、今は違う。
地面に落とされ衝撃こそ高かったが、すぐ持ち直せた。
もし民家に落ちれば民家はぺちゃんこだが、これは仕方ないと諦めて欲しい。
今はそんな事を言っている場合じゃないんだ。
持ち直した俺はすぐに奴に向かって駆ける。
当然奴はまた念力で俺を倒そうと吹き飛ばしてくる。
結果、俺は何度も何度も落下し続けた。
民家も、店も、公園も、全てに落ち続けながら、反撃のチャンスを窺った。
そしてその時は訪れた。
念力で吹き飛ばされても起き上がる俺を見かねたのか、ならばと俺を一生動かせないよう固めてきた。
念力は念じる力、一般的には念じてモノを動かすのが一般的だが念じてその場に止まらせるのもまたモノを扱っている力だと言えるだろう。
俺は先ほどまではなんとか踏ん張って耐えていたが、流石に動けないようにする力には勝てず膝をついた。
随分疲れた調子でスィゲロは言った。
「はぁ、はぁ。き、ききき君、中々なかなかしつこいねぇえ。早く、し、死んでくれると助かるんだけどなぁあ!!??」
「はっ、誰がお前の言いなりになるかよ吐息厨。気持ち悪いなさっきから。その語尾の伸ばし方も気持ち悪いし、早くやられて欲しいのはこちらの台詞だよ!!」
返しつつ踏ん張る。
だが、膝が浮き上がったものの奴の念力は強力で、それ以上に動ける気がしない。
「はぁ、ははははははあああいいいひひひひいひひ!!!!!!ど、どどどどうしたのかなぁあ?結局その姿になって何も出来ていないじゃない???何でその姿にぃい、なってみたのかなぁあ????」
バーカ、違ぇよ。
俺の狙いは時間を稼ぐことだ。
紅い姿の時は微量だけどエネルギーを常に消費してんだよ。
それを回復しつつ、なるべくエネルギーを使用しないように耐久してたの。
俺はお前の攻撃を最低限の防御で受け、充電してたんだよ。
なんでそんな七面倒くさい事するかって?
それはな.........。
「......お前を油断させて倒す為だ!!!!FULL POWER!!!!」
「!?............なんで、な、ナナナ何でそんな力がぁあ!?ぼ、僕との戦闘で全て使った筈だろう!?」
確かにお前の言う通り、俺は力の大半を見せびらかした。
実際あのまま紅い姿でやればこんなチャンスを手にはできなかったかもな。
だが、俺は手の内を明かしただけで、別にエネルギーが完全に消えたからどうしようか攻めあぐねてた訳じゃないぞ。
むしろ、どう攻めようかワクワクしてたさ。
こんなカス野郎をどう倒そうかってな!!!
だからあえて、解除したときに明らかに痛そうな傷になりそうでも絶対に吹っ飛ばされたしやられていたんだ。
明らかに俺が弱体化したかのように見えるようにな。
それを気づけなかったのは、どうやら失敗だったみたいだぜ?
俺のフルパワーは、そんな簡単に倒せるもんじゃねえからな。
念力、使って来いよ。
ばっちり返してやる。
奴は俺に危機感をようやく持ったのか念力で押さえつけた上で鼻の刃を再び回転させ襲い来る。
その距離およそ10m。
ただな、お前はいくら何でも舐め過ぎだ。
俺がフルパワ―だって言っているのに、所詮とか思ってるんだろ?
お前の力、恐らく本当はまだ全然余力があるのだろう。
だがこの期に及んでビビッちまったせいで、少し温存しようとしたな?
それが命取りだ。
俺はもう、さっきの吹っ飛ばしの連続と今の固定でお前の念力に慣れちまったんだよ。
フルパワ―の状態でエネルギーをMAXで出力する。
膝が動き出し、負荷が鬼のようにかかる中で無理やり立ち上がる。
それに気づいたか、今更念じる力が強くなるがノってきたリーパーにそんな中途半端が通用するとでも思ったのか?
そして俺の腕からはレーザーブレードがエネルギーMAXで出力される。
立ち上がりながらそのままその剣を前に突き出す。
本来であればこの刃を切り落とすだけの力はレーザーブレードに無い。
だが、今はMAXを出したフルパワ―だ。
出来ない事なんて無い。
そのまま奴の鼻部分だった刃を斬り落とし、地面へと叩き落した。
そしてそのままその勢いで更に刀を奥に入れ、上に腕を振り上げた。
マンモス型の頭を脳天に下から届くように振り上げた為、そのまま切り裂かれて頭の上からひび割れる。
そして頭は勢いよく爆発した。
俺の剣は勢いよく奴の中も外も切り裂き焦げ落とした。
そしてそのレーザーは勢い余って近くの家にまで飛び、近くの建物数軒を軒並み半分にした。
奴のコクピットが何処にあるのか分からないが、もう念力は自由に操れないだろう。
更に言うと、一応まだ動いているは居るらしいが、もう頭の無くなったただの四足歩行のマシンだ。
怖くも無い。
だが、コイツから新しい能力が出てくる可能性も考え、主砲を構える。
と、その胴体の尻尾から声が聞こえた。
「ままま、待ってくれぇええい!!!!!ぼ、ぼぼぼ僕を殺すのか!?...た、たたた頼む、見逃してくれぇえ!!!!.........そ、そうだ、君も知りたいだろ?今回の計画が!!!それを話すからどうかこの場は見逃してくれぇえ!!!!」
「ほう、そりゃ魅力的だな。」
そう、確かに魅力的だ。
まだトァネミは見つかってないしな。
てか、仲間が死にそうだってのにアイツ来ないのか。
薄情な奴だな。
まあコイツもコイツで作戦を売りやがったけどな。
ここで計画を知ることが出来ればこの後の戦いがやり易くなるだろう。
奴らの目的を更に知ることが出来れば、きっとカーㇴ達と相談してどうにか対策を立てられるかもしれない。
非情に魅力的な話だ。
だがな............。
「だが、お前はあまりに無情に命を奪い過ぎた。そんなお前を、俺は絶対に許す事は出来ない。話でチャラに出来るなどと思ってるなら大間違いだ。」
「ま、待って、待て!!!ぼ、ぼぼぼ僕はままままままだ......死ねないんだぁあ!!!!や、やめ」
主砲をチャージし終えた。
こんな奴を、生かしておく価値なんて無い。
作戦を知る事よりも、それよりも散っていった人たちへのせめてもの鎮魂になってくれた方が良い。
言い訳ばかりで自分の死のみを恐れた癖にこの世界の何の罪も無い人たちの命を無暗に奪いやがって。
お前は一生地獄で詫び続けろ。
お前から知る情報なんて、こっちから願い下げだ。
命を奪っておいて、何を助かろうとしているんだ。
お前が助かる道なんて、万に一つも無い。
主砲を放つ。
フルパワ―のエネルギーは、そのままラメの入ったピンクのようにキラキラと輝き、奴を地面ごと削り取った。
そして奴は跡形も無く霧散した。
近くにあった建物も一緒に消し飛んでしまったので、やはりフルパワ―状態での主砲は危ないってのが再確認できたな。
そして、とりあえず。
犠牲者も多いし、街も滅茶苦茶だが。
ひとまず。
勝った。
今回でスィゲロとの決着が着きましたね。
次回は、リーパーVS??? でお会いしましょう。
それでは。




