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適合者はこの俺!!!!  作者: こしあん大福
第0章 漆黒の守護者
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第9話 希望

昨日投稿するとか言って投稿しなくて申し訳ないです。

今回は長いので推敲していたら時間がかかってしまいました。

どうぞ、お楽しみください。

「悪ぃんだけど、俺もうリーパーには乗らないわ」


そう言った後、少しの沈黙が流れた。


彼女は唖然というか、憮然というか、何とも言えない感情の混ざった顔でこちらを見ていた。


凝視していた。


俺は沈黙に耐えられず、話し出した。


「カーㇴ、お前には悪いと思ってる。お前の世界の事情もあるし、何より色々教えてくれたしな。でもダメなんだ。」


「どうしてですか...?何か、私が粗相を...?」


彼女は申し訳なさそうな顔で顔を背ける。


「いぃや、違うな。これは俺の率直な気持ちだ。悪い。」


一息ついた。


「色々理由はあるんだけど、一番はどうでもいいからかな。」


「どうでもいい...?一体、何を...」


「そのままの意味だ。俺は、別にこの世界に何一つ期待なんかしちゃいないからだ。アイツが失われた日から、ずっと...」


アイツは、俺のせいで死んだ。



だから、もういいんだ。



例えバケモンが世界を貪ろうが、世界が終ろうがどうでもいい。


俺があの時動いてしまったのは一時の感情で、俺自身はそう思っていない。


「俺はさ、怖いんだよ。臆病者だ。ホントは。散々アイツを追いかけようと思ったけど出来なくて、じゃあせめてアイツの約束守ってみるかって思っても遠くて、かといってアイツみたいに勇気を振り絞れるわけじゃない。」



「俺は、少しの理性と惰性と生き物としての本能で生きているだけで、本当はもう死んでいるのかもしれないからな。」


「そんなことありません...楼汰様は生きておられます。」


彼女の必死な表情が苦しい。


「でも、それでいいと思う自分もいて、その一方で死にたくないと望む俺がいてさ。もう滅茶苦茶になりそうなんだ。」


「っ...」


「世界に絶望して、死んでもいいって思ってるくせして、本能で死ぬのを拒んでる。矛盾してるんだ。」


俺は、カスだと思う。あんだけアイツが逝ったのに追随しようとしたくせに、まだ生き物であることを望んでいる。


「ど、どうして急にそんな風に言うんですか?何か、理由が...?」


「リーパーで初めて戦って思ったんだ。確かにあの異偶は趣味感覚で人を襲う下衆野郎だったけど、そんなクズでもあんな一瞬で跡形も無くしてしまうなんて怖えなって。」


「それは、、、」


「お前たちからしたら、きっと理不尽な目にも合ってきてるんだろうし、とっとと始末したい奴らだろうけど。そんな敵でもあんなぐちゃぐちゃになるなんて思いたくないんだ、俺。」


「...」


「誰かが死んだり、誰かが争ったりするのはもうまっぴらだ。ましてや、それが俺のやる事なら。」


「...また、大切な人を失ってしまうかもしれないんですよ...?」


「いや、俺に大事な人はもういない。少なくともこの世界には。」


それに、いたとしてももう今更だろう。


俺は、あの時から変われていないのだから。


「...辛いこと、嫌な事を押し付けて申し訳ありません......ですが、例え悪魔の所業だと言われても貴方にはやっていかなければいけないのです。私たちは。」


「...それだけじゃないさ。この世界は権力とかそういうのも当然ある。SNS、えっとみんなが自由に見れる自由帳みたいなもんかな。それに投稿されてしまえば、俺なんてすぐ特定されるだろう。」


「それは、困ることがあるのですか?みんな、応援してくださるでしょう...?」


彼女は優しすぎる。その証拠に、さっき悪魔の所業と言った後、何かを出そうとして踏みとどまった。


きっと、俺を脅せるような何かだろう。


彼女の世界だって絶望的なのだ。今の俺と同じ、いやもっとひどいかもしれない。


彼女の意思とは別に、仲間に搭乗者が言う事を聞かなかった場合に備えて何か渡されていて当然だ。


それでも、だとしても俺は戦いたくない。


「それは違うぞ。確かに応援してくれる人もいるかもしれない。でも、その一方であれを人類に向けられたらどうするかとか、俺がもし錯乱でもしたらって不安とか。そういうのが必ず来るんだよ。」


「...!」


「バレるのも嫌なんだ。もうどうだっていいんだ。俺は、アイツが死んだ時点で正直今生きてる奴らなんかどうでもいいんだ。」


「っ?!」


息を呑むのが聞こえた。


もう、話しかけないで欲しい。殺してくれても構わない。俺は何をしてももう動く気はない。


「俺はもう、死んでもいい。ようやく覚悟が決まりそうだ。皮肉だよな、絶対に生きて欲しい奴らの期待の前で、死ぬのを喜ぶなんてよ。」


「...貴方は、私たちとか関係なく、生きていていいんです。そんなに抱える必要は...!」


必死な感情で発された言葉。彼女の想いがこもった、いい言葉なんだろう。


普通ならば。


でも、俺にとっては逆効果だった。


彼女の必死なそれは、俺の逆鱗に触れた。




「いい加減にしろよッ!!!お前に何がわかるんだ!!!!!!」


正直、八つ当たりも入っているとは思う。それでも言わずにはいられない。


何も知らずに、何が生きてて良い、だ。


...ふざけやがって。そんな簡単に、決められることじゃないんだ。







しかし、彼女から返ってきたのは、意外な言葉だった。


「分からないから、知ろうとするんじゃないですかぁっ?!!」


思わず彼女の方を向く。


彼女の顔には、悲しみと、怒りと、そして少しの慈愛の笑みが混在していた。


「分からないから、分からないなりに、知ろうとするんです。私たちは、まだお互い何も知りません。だからこそお互いを知りたい。そんな風に隠されながら、ただ死にたいと言われても納得できません!!!!」


彼女の叫び。


それは、少しだけ俺の命の灯を照らした。


「あの時、貴方は言いました。もうあの時のような思いは御免と。あの時の貴方は、それこそ英雄の様でした。だからこそ、私は安心したのです。」


「言ったさ。だから何だ?!あの時の俺は俺であって俺じゃないんだ!!!俺は、もう嫌だ!!!!」


あの時、俺は約束を果たしていないと思った。


けれどあれも所詮、俺の心を繋ぐための鎖で、結局は自分を奮い立たせるための呪いでしかなかった。


「だったら、何故今まで死ななかったのですか?」


いきなり、何を言い出すのかと思えば。


「そんなの、さっき言っただろ...。俺は、臆病なんだ。そう簡単に、死ぬことは出来なかったんだよ!!!」


「だとしたら、この部屋は何なんですか?貴方の、私を迎え入れた時の態度は。」


「部屋って...。何もおかしいことないだろ。態度だって。」


「本当に、本当にする気があって、死んでも死ななくてもどちらでもいい人が、あんなに生活の跡を残すはずないじゃないですか??!!」


彼女は精一杯声を出す。


「そんなの、人それぞれだ!俺はとにかくもう戦わない。俺は弱いんだ。覚悟すらまともにできない、カスなんだ。」


「そうだとしても、あの時、異偶が出た時、私についてきてくれたじゃないですか??!!」


「あれは、その時はそうするしかなかったからだ。下手に残っても、訳が分からないしな。」


「だとしても、そこでついてきてくれたのが覚悟で、勇気です。貴方にはしっかりとそれがあります。」


「あれは、約束に引っ張られて...」


「...約束?」


俺の馬鹿が。さらっと何言ってんだ。絆されていい気になるな。


「今のは忘れろ。何もない。」


「...その約束がどれだけ重いものかは知りませんが、その人との約束を果たさずに死んで、滅ぼされてもいいんですか?!」


「もうアイツは居ないんだ!!!!この世界に!!だったら、もう約束なんてないようなもんだろ!!!!」


「...でも、それがあなたにとっての心の支えなのではないですか?だから、今言葉に出た。」


「...ちっ、違う!!!!俺は、別に!!!!!」


「その約束と同じように、私たちの世界の事情を押し付けてしまったのは本当に心苦しいです。ですが、貴方にはその約束がある。私たちの事は話半分で構いません。ですから、貴方はせめて、その約束は守るべきなんじゃないでしょうか?差し出がましいようで申し訳ありません。」


「...もう嫌なんだ。うんざりなんだよ。誰かがいなくなっちまうのは。俺は人一倍臆病で弱いんだ。そんな俺に重役を向けないでくれ。たとえ知り合ってまだ一日のお前でも、死んでほしくない。この世界には悪意がかなりある。それにさらされる日が来る。そんな中大事な奴を、全ての脅威から守り切れる気がしない。だから、最初から守らない。希望も持たない。そうすれば何も期待しなくていいんだから。」


俺は全て吐き出した。


もういい加減彼女もうんざりしただろう。


諦めて絶望するか、俺にキレて脅すかする。


誰も、もう俺を生かそうだなんて思えないだろう。


こんなダサい奴、果たして本当に英雄なのか?


そう思って、諦めて欲しい。


そう思った。


だが、


だったが.........


















「だったら、私があなたの希望になります!!!私たちにとってのあなたが希望であるように、私があなたの希望をやってみせます!!!!」


それは、根拠のない、まるで信頼に欠ける言葉だった。


信憑性なんて何処にもない、ただただ魂が込められた想いだった。


きっと信じたら、また後悔する。


だから、断らなければ。


同じ過ちは犯したくはない。


「どうして......、どうしてそこまで俺にする?...会ったばかりで、こんなに腐っている俺に...?」


その言葉を聞いた彼女は、慈しむような表情で俺に言った。


「それは...」



















「世界が終わってしまう前に、貴方が終わってしまうのを見たくないから。」

はじめての長編でした。お楽しみいただければ幸いです。

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