098 新婚旅行2日目です。3
ここは島がたくさんある大きな湾です。
これから、魔法で作ったボートでクルージングをします。
アンナ「出発します。」
ボートは砂浜を滑るように進み、海上を巡航します。
朝美 「すごーい。」
政樹 「おもしれえ。」
前回よりも操船が上達しました。魔法で揺れを相殺しているので、ほとんど揺れません。
わたしは湾内を巡り、二人は撮影します。
*
面白い岩を見つけました。中央に穴が空いています。ボートが楽に通れる大きさの穴です。
わたしは岩の向かって直進して、穴を通過します。
政樹 「おお。」
今度は離水して、飛行します。
朝美 「すごーい。」
政樹 「魔法はなんでもありだな。」
はい。魔法はなんでも出来ます。
二人は透けて見える船底から海を見たり、写真を撮っています。
探索魔法に反応がありました。湾のすぐ外を数頭泳いでいます。
アンナ「これから珍しい生き物を見に行きます。
その生き物を見ると幸運が訪れると言われています。」
政樹 「昨日見たけど・・・カーバンクル。」
朝美 「いいの。余計なこと言わなくて。」
わたしはボートを着水させました。もうすぐ湾の外側です。海の色は濃いブルーになりました。
わたしはその生き物の群れを目指します。どうやら向こうもこちらに向かっているようです。
ボートの近くを一緒に泳いでいます。その生き物は海面をジャンプしました。
アンナ「横を見てください。」
朝美 「イルカ?」
アンナ「はい。そうです。」
政樹 「ピンク?」
アンナ「はい。ピンクのイルカです。」
朝美 「異世界のイルカはピンク色なの?」
アンナ「はい。異世界でも珍しいイルカですが、ピンクのイルカは地球にもいますよ。」
政樹 「そうなんだ。」
数は少ないですが、東シナ海とアマゾン川に生息しています。
わたしはゆっくりボートを停めました。イルカはボートの周囲を泳いでいます。
わたしは動画撮影の準備をしたあと、水魔法でウォーターボールを複数作り、
海上から2mの空中に浮遊させました。
動画の撮影を開始します。
イルカはウォーターボールに気付き、ジャンプしてそれを割ります。
わたしは次々とウォーターボールを作ります。イルカはそれを次々と口先や尾びれで割っていきます。
朝美 「すごーい。」
政樹 「すごいな。」
今度は、魔法で直径1mの水のリングを作り、空中に浮遊させました。
イルカはジャンプして、リングをくぐります。
朝美 「すごーい。」
政樹 「イルカショーみたいだな。」
イルカは知能が高いので、遊びをするのが大好きです。
*
イルカはしばらくボートの周囲で遊んだあと、ジャンプしながら泳いで、いなくなりました。
政樹 「あれ? どこかに行っちゃった。」
朝美 「でも楽しかった。」
アンナ「魚の群れを見つけたので、食べに行ったみたいです。」
朝美 「そうだったのね。」
アンナ「私たちも昼食にしましょう。」
政樹 「もうそんな時間か。」
アンナ「はい。」
朝美 「時間が経つのを忘れるよね。」
わたしはボートで湾内に向かいます。砂浜がある島を見つけたので上陸しました。
ここで景色を見ながら昼食にしましょう。
わたしは、天幕、椅子、テーブルなどを出して昼食の準備をします。
*
昼食はブラジル料理です。
ムケッカ・バイアーナ
白身魚、エビ、イカ、トマト、玉ねぎなどを炒めてココナッツミルクで煮込みます。
とろみがある方が日本人好みなので片栗粉を加え、最後にパセリをちらしました。
アホース・テンペラード
玉ねぎとニンニクで作る炊き込みご飯です。調理はピラフとほぼ同じです。
ムケッカを試食したときにご飯が合うと思い、米料理にしました。ムケッカと一緒に食べます。
マンジョッカ・フリッタ
毒のないキャッサバを素揚げして、軽く塩をかけました。
*
朝美さんは料理の写真を撮っています。
カシャ。
アンナ「いただきます。」
二人 「いただきます。」
ぱくっ。
政樹 「うめえ。」
朝美 「美味しい。」
わたしは料理の説明をしました。
朝美 「魚介とココナッツって相性がいいのね。それにご飯にも合う。」
アンナ「はい。わたしもそう思います。」
政樹 「このポテト、めちゃめちゃうめえ。なんだこれ?」
朝美 「ほんと。外はサクサク、中はもちもち。美味しいね。」
アンナ「キャッサバを素揚げしただけです。」
政樹 「キャッサバ?」
アンナ「日本人には馴染みのない食材ですが、タピオカの原材料です。」
朝美 「そうなの? 知らなかった。」
キャッサバは、日本で注目されてもいい食材だと思います。
ちなみに、わたしの好きなポン・デ・ケージョもキャッサバ粉で作られています。
* * *
昼食が終りました。
アンナ「ごちそうさまでした。」
二人 「ごちそうさまでした。」
朝美 「きれいな海を見ながら美味しい食事、よかったね。」
政樹 「うん。最高だった。」
アンナ「ありがとうございます。」