093 新婚旅行初日です。7
ここは、ユニコーンを撮影した場所から離れた別の森です。
わたしは朝美さんにスマホを返しました。
二人はスマホを見ています。
朝美 「うまく撮れてる。」
政樹 「顔が少し緊張してるけど。」
二人 「 ww 」
うまく撮影できて、よかったです。わたしも緊張しました。
朝美 「ところで、ここはどこなの?」
アンナ「さっきの場所とは別の森です。」
ここは、ゴツゴツした黒い岩がたくさんあります。溶岩が冷えて固まったものです。
大きな木はなく低木の広葉樹が広がる樹海の森です。
アンナ「ここには滅多に見られない魔物がいます。」
わたしは探索魔法を使いました。
アンナ「向こうです。行きましょう。」
私たちは森の中を歩きました。
朝美 「変わった木だね。」
政樹 「ほんとだ。」
この森、独特の木です。
茶色の樹皮が古くなると剥がれ落ち、新しい黄色い樹皮が現れます。
異世界独自の虎柄みたいな木です。
アンナ「魔物が近くにいます。」(小声)
朝美 「どこ?」(小声)
アンナ「隠れています。木の上です。」(小声)
二人は上を見ますが、姿は見えません。
アンナ「その魔物を見た人には、幸運が訪れると言われています。」(小声)
朝美 「ほんとに。」(小声)
アンナ「はい。古くからの言い伝えです。」(小声)
政樹 「見たいな。」(小声)
わたしはアイテムボックスから、数個の木の実を取り出しました。
この木の実は、振ればカラカラと音がします。魔物の好物です。
わたしは木の実を振り、音たをたて、少し離れた木の根元に投げ落としました。
反応がありました。
アンナ「わたしが木の実を投げた木の上を見てください。」(小声)
政樹 「なにかいる。」(小声)
朝美 「どこ?」(小声)
政樹さんが指をさしました。
政樹 「ほら、あれ。」(小声)
朝美 「いた。」(小声)
わたしは、もう一度木の実を振り、投げ落としました。
アンナ「撮影の準備をしてください。」(小声)
二人はスマホを構えます。
魔物が降りて来ました。木の実を前足でつかみ、食べています。
朝美 「かわいい。」(小声)
アンナ「カーバンクルです。」(小声)
大きさは尻尾を含めて60cmくらいです。
色は、くすんだ黄土色、頭から尻尾にかけて背中に茶色の縞模様があります。
尻尾が長く、リスに似ていますが耳が大きいです。目は緑色、額に赤い魔石があります。
わたしは、まとめて木の実を目の前に落としました。
二人はカーバンクルの写真を撮っています。
朝美 「ほかにもいる。」(小声)
全部で三匹降りて来ました。
政樹 「かわいいな。」(小声)
一匹が私たちの目の前までやってきました。首をかしげて、こちらを見ています。
朝美 「かわいい。」(小声)
他の二匹もやって来て、木の実を食べています。
アンナ「朝美さん、スマホを貸してください。」
わたしはスマホを受け取り、少し後ろに下がりました。
カシャ。
二人とカーバンクルの集合写真が撮れました。
わたしはスマホを朝美さんに返しました。
大きな魔物の気配があります。こちらに近づいています。
朝美 「あ、逃げちゃった。」
アンナ「凶暴な魔物が近づいています。魔法で移動します。」
アンナ「転移」
* * *
私たちは海岸に転移しました。
政樹 「おお。」
朝美 「きれいな海。」
二人は海の写真と撮っています。
朝美 「アンナさん、写真撮って。」
アンナ「はい。」
わたしは、朝美さんからスマホを受け取りました。
青い海をバックして、二人の写真を撮ります。
カシャ。
わたしはスマホを返しました。
朝美 「ちいさな島がある。」
アンナ「これから、あそこに行きます。」
三人で手をつなぎました。中央は朝美さんです。
私たちは、魔法で海面の上を飛んでいます。
政樹 「空飛ぶ魔法はいいな。」
朝美 「鳥になったみたい。」
政樹 「きれいな形の島だな。」
私たちは着地します。
周囲はマングローブ、中央にはヤシの木があります。
朝美 「きれいな鳥がたくさんいる。」
二人は写真を撮っています。
ここは天敵がいない鳥の楽園です。
朝美 「写真撮って。」
アンナ「はい。」
わたしは、朝美さんからスマホを受け取りました。
マングローブと海をバックに写真を撮ります。
カシャ。
わたしはスマホを返します。
次の瞬間、足元が大きく揺れました。
政樹 「地震。」
朝美 「津波が来る。」
私たちは手をつなぎ、飛翔しました。
大丈夫です。