092 新婚旅行初日です。6
ここは恐竜が生息する島です。
ステゴサウルスを見たあと、休憩にします。
おやつは、パン屋で買ったチョコクリーム入りのメロンパンです。
お皿にのせて、二人に配りました。
アンナ「飲み物はアイテムボックスから好きな物を出してください。」
政樹さんはサイダー、朝美さんはアイスティーです。わたしはアイスカフェオレにします。
アンナ「いただきます。」
二人 「いただきます。」
わたしは、さっきの食べかけを食べます。
政樹 「ビターチョコのクリーム、うまいな。」
朝美 「うん。美味しいね。」
パン屋のルバンさん、いい仕事しています。日本人が美味しいと思うレベルですよ。
*
政樹 「それにしても、恐竜が見られるとは思わなかったな。異世界、最高だよ。」
朝美 「でしょう。でも異世界の話をする私のこと散々馬鹿にしたくせに。」
政樹 「ごめん。悪かった。俺がバカでした。」
朝美 「まあいいけどさ。私も楽しいから」
政樹 「全日程、恐竜三昧がいいな。」
朝美 「えー。」
アンナ「新婚旅行が恐竜ツアーになってもいいですか?」
朝美 「それはだめ。」
政樹 「わかったよ。」
花嫁に花を持たせてくださいね。
* * *
おやつが終りました。
アンナ「ごちそうさまでした。」
二人 「ごちそうさまでした。」
*
休憩とトイレタイムが終わり、全て片付けました。
アンナ「魔法で移動します・・・転移」
* * *
転移した場所は、岩場と草原が入り交じったところです。
恐竜がいます。2頭のアンキロサウルスです。
けんかをしているみたいです。縄張り争いでしょうか。
体高は約2メートル、全長は約10メートルです。全身が茶色、頭部や背中に突起がたくさんあります。尻尾の先はハンマーのようになっています。モンスターを狩るゲームに出て来そうです。
政樹さんは、恐竜のけんかを撮影しています。
昭和の怪獣映画みたいです。
*
勝負がつきました。1頭が逃げて行きます。
政樹 「すげー動画撮れた。やべえ。」
朝美 「すごい迫力だったね。」
政樹 「化石やロボットじゃない本物の恐竜。いいねえ。」
けんかしたばかりの恐竜は気が立っているかもしれません。近づくのを少し待ちました。
*
アンナ「一緒に写真撮りましょう。」
二人はアンキロサウルスの側に立ちました。恐竜の大きさが実感できますね。
撮影します。
カシャ。
別アングルで・・・
カシャ。
わたしは朝美さんにスマホ返しました。
朝美 「すごいね。この写真。」
政樹 「博物館で撮った写真みたいだな。」
朝美 「ほんとね。」
政樹 「これが本物の恐竜だなんて、誰も信じないよな。」
二人 「 ww 」
アンナ「次の場所に移動します。」
政樹 「次も恐竜がいいな。」
朝美 「アンナさん、こいつの言うこと聞いちゃだめだからね。」
アンナ「はい。わかってます。」
アンナ「まだ見ていない、魔物を見に行きます。」
政樹 「魔物。それもいいな。」
アンナ「それでは魔法で移動します。」
アンナ「転移」
* * *
ここは、以前にツアーで来た森の中のです。
泉から少し離れたところに転移しました。木漏れ日がきれいです。
私たちは少しずつ泉に近づきました。
泉には魔物の気配があります。前回見た青い鹿ではありませんが、別の魔物がいます。
アンナ「腰を下ろしてください。あれを見てください。」(小声)
朝美 「馬?」(小声)
アンナ「ユニコーンです。」(小声)
政樹 「おお。いいね。」(小声)
ユニコーンは、全身が白。競走馬のように筋肉質です。頭に長い角があります。
木漏れ日の中で水を飲むユニコーンはとても神秘的です。
アンナ「これ以上近づくのは難しいです。ユニコーンはこちらを警戒しています。」(小声)
アンナ「ここから写真撮れますか。」(小声)
政樹 「望遠でなんとか撮れるかも。」(小声)
カシャ、カシャ。
政樹 「なんとか写ってる。」(小声)
朝美 「一緒に写真撮りたいね。」(小声)
そうですよね。
三人で打ち合わせをしました。
三人 「・・・・・・・・・・」
朝美 「わかった。」
政樹 「なるほどね。」
わたしは朝美さんのスマホを受け取り、後ろに下がりました。千里眼を使い、アングルを確認します。
二人は泉を背にして、ゆっくり立ち上がりました。
アンナ「転移」
カシャ。
アンナ「転移」
わたしは、最初の転移でユニコーンに近づき撮影して、すぐに別の森に転移しました。
ヒット&アウェイです。
うまく撮影出来たはずです。