086 ツアーの準備です。
ここは飛行島のコテージです。
わたしは、リューキの街から帰ってきました。これから、昼食の準備をします。今日はアレが食べたいです。
日本そば
材料のソバの実は以前わたしが採取したものです。
ネットでそば打ちを検索して、江戸御三家そばの薮そば、更科そば、砂場そば、すべて作ります。
陽子さんと一緒にそばを挽き、そば打ちをしました。いい香りがします。
それぞれのそばに合った三種類のそばつゆも作りました。それと、そば茶も作り、天ぷらを揚げます。
天ぷらの具材は、定番を一通り。変わり種として、半熟卵、ブロッコリー、ハムとチーズ。
デザート代わりにりんご、アイスクリームも天ぷらにしました。
今日の昼食は天ぷらそばです。
せっかくなので、女神ローラにスマホで連絡しました。
アンナ「一緒におそば食べませんか。」
ローラ「食べる。」
わたしと陽子さんは天界に召喚されました。庭園の東屋です。もちろんマオも一緒です。
* * *
私たちは天界で天ぷらそばを食べます。
三人 「いただきます。」
つるつる・・・
ローラ「美味しい。」
陽子 「美味しいです。」
ローラ「そばを食べるのは久しぶりね。」
アンナ「そばの挽きたて、打ち立ては最高です。」
ローラ「天ぷらもサクサクで美味しいわ。」
アンナ「ありがとうございます。」
ローラ「ソバ茶、いい香りね。」
* * *
昼食が終わりました。
三人 「ごちそうさまでした。」
* * *
私たちは飛行島のコテージに戻ってきました。
わたしはマオをひざにのせています。そしてスマホでSNSを見ています。
相変わらず冷やかしが多いです。次のツアー客は、どうしましょう。
わたしは、美波さんから連絡がきていることに気付きました。
美波さんは、第一回異世界ツアーの参加者です。
内容を読みました。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
アンナさんへ
美波です。
わたしが勤めている商社の女性社員が、先日結婚しました。
結婚と言っても入籍をしただけです。
いま地球では、新型コロナウイルスの流行で披露宴も新婚旅行もできません。
先輩夫婦を異世界に召喚して、新婚旅行させてください。お願いします。
* * * * * * * * * * * * * * * * * * *
美波さんの依頼引き受けます。
わたしは美波さんに連絡をして、その先輩を紹介してもらいました。
女性の名前は朝美さん、
旦那さんは政樹さんです。
わたしは朝美さんと連絡を取りました。
希望を聞いたところ、クリスタルホールに行ってみたいとのことでした。
観光スポットひとつは決まりました。
他の観光地はどうしましょう。やはり新婚向けの場所がいいですよね。
わたしは、新婚旅行に相応しい観光地を探すことにしました。千里眼と飛翔魔法を使って各地を巡ります。
まだまだわたしの知らないところがたくさんありますね。
それから、インターネットでレシピを検索して、新しい料理も作ります。
* * * * *
2週間が経ちました。
今日は、朝美さんと政樹さんのツアー初日です。
* * * * *
ここは、朝美さんの自宅近くにある公園です。
時刻は、日本時間の午前5時55分です。
政樹 「絶対、騙されてるって。」
朝美 「そんなことない。美波はうそなんかつかない。」
政樹 「本当の異世界に行くわけじゃないだろう。
どうせなんとかランドにようこそ、みたいなやつだよ。」
朝美 「だって写真だって、あるもん。」
政樹 「そんなの合成か、CGに決まってるよ。」
朝美 「時間になったら、わかるよ。」
政樹 「公園で待っていれば、異世界に行けるのか。」
朝美 「そう言ってたもん。」
政樹 「誰が?」
朝美 「アンナさんが。」
政樹 「誰だよ。そいつ。」
朝美 「異世界ツアーのガイドしてる人。」
政樹 「異世界ツアー? アニメの見過ぎだよ。」
朝美 「ほんとだもん。」
政樹 「異世界? 行けるものなら行ってみたいよ。」
朝美 「6時になったらわかるよ。」
政樹 「そうだな。6時になったら、公園の前にマイクロバスが停まって、
中から着ぐるみの変なやつが降りて来て、
なんとかランドにご案内しまーす。とか言うんだよ。きっと。」
*
午前6時。
アンナ「ようこそ、異世界へ。」
お待たせしました。ツアー開始です。