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082 猫耳亭3 (別視点)

* 別視点 パティ side *


 ここは、ワウラの街。猫耳亭の従業員用ダイニング。


 パティは、うわさになっているワウラ料理を見てくるように、夫のソニーから言われた。

 そして娘のミラと共に、兄が経営する宿にやって来た。


 パティはいま猫耳亭の人達と食事をしている。


*    *    *


 アンナさんは、王女様かもしれないわ。それ以外、考えられない。

 結婚相手が気に入らなくて、逃げているのかもしれないわね。


 いま食べてるのは、宮廷料理よ。みんな、よく平然といていられるわね。


ザック「パティ、食べながら聞いてくれ。

    ソニー君(夫)と一緒に宿で働いてくれないか。

    今日はアンナさんがいるから、なんとかやってはいるが、

    アンナさんにも都合がある。」


 それはそうよね。


パティ「実際に食堂の営業を見てから考えるわ。」

ザック「わかった。」


*    *    *


 美味しかった。


全員 「ごちそうさまでした。」


 ご、ごちそうさまでした。


エマ 「ノエルはミラちゃんと遊んでなさい。」

ノエル「いいの?」

エマ 「大丈夫よ。」

ノエル「ミラちゃん、つみきでおしろつくってあそぼ。」

ミラ 「うん。」

パティ「ノエルちゃん、ミラのことお願いね。」

ノエル「はい。」


     *


エマ 「パティさん、一緒に外の様子、見に行きましょう。」

パティ「はい。」


     *


 なにこの行列。うそでしょ。私、夫の食堂の行列なんて、見た事ないわ。

 お皿を持って並んでいる人はなにかしら?


パティ「エマさん、お皿を持っている人はなんですか?」

エマ 「近くに住んでいる人が持ち帰って食べるの。割引してね。」

パティ「はい。」


     *


エマ 「ザック、昼と同じよ。普段の倍の行列になっているわ。」

ザック「わかった。宿泊客に料理を出したら開店しよう。」


     *


 なんだか、ドキドキする。


エマ 「パティさん、とりあえず私の指示で動いてね。」

パティ「はい。」


エマ 「お待たせしました。開店します。」


 お客さん、いっぱい入って来た。


エマ 「本日からカレーライスを始めました。どちらか選んでください。」


 カレーライスの注文が多いわ。あれだけ美味しければ当然ね。


     *


 なにこの忙しさ。


 忙しい。忙しい。忙しい・・・


*    *    *


 終わった。閉店。燃え尽きたわ。


パティ「エマさん、行列が出来るのはこの食堂だけですか?」

エマ 「いいえ、他にダノンさんの食堂とルパンさんのパン屋も行列が出来るわ。

    どちらもアンナさんが指導しているそうよ。」


 パン屋にまで、行列?


パティ「いまアンナさんはどこですか?」

エマ 「もう帰ったわ。」


 えー。話、聞きたかった。


パティ「明日の朝、パン屋を見に行きたいです。」

エマ 「どうぞ。でも昼は宿の食堂を手伝ってほしいの。お願い。」

パティ「わかりました。」


 それにしても疲れたわ。



*    *    *    *    *



 翌朝。


 行列ができるパン屋。初めて見たわ。

 ミラのこと、ノエルちゃんにお願いしちゃったから、お土産に子供が食べるパンあるかしら。


 ようやく、買う順番ね。


 小さいパンがたくさん買えたわ。バスケットを持ってきてよかった。

 座るところがほとんどないから、みんな立ったまま飲み食いしているのね。すごい人気(にんき)


 この女性二人・・・


パティ「話に割り込んですみません。

    あの、いま話していた女神様のこと、私にも教えてください。」


   ***  かくかくしかじか  ***


 え、神罰で領主様が消えた? メイドの前で。

 あやうく、国が滅びかけた?

 商業ギルドがてんてこ舞い?

 え、料理レシピが格安で、大量に売り出された?


 朝ならギルドは()いているはず。夫のためにレシピを買わないと。平民に買える値段かしら。


     *


 うそでしょ。商業ギルドに、すごい行列。みんな考えることは一緒ね。諦めましょう。


     *


 この街にいれば、料理は教えてもらえるわ。兄さんやアンナさんから。

 それに、客が減る一方の食堂にいても、じり貧よ。


 決めたわ。私。カーサの街には帰りません。夫をこの街に呼びます。来ないなら、離婚よ。

 夫あての手紙を書くわ。宿に戻りましょう。


 お土産も買ったし。このパン、名前なんて言ったかしら。


 まりと・・・




 忘れちゃったわ。

*ソニー (パティの夫 猫獣人 22歳)

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