080 猫耳亭1 (別視点)
* 別視点 パティ side *
ここは、ワウラの街の入口。
パティは、猫耳亭の主人ザックの妹。隣街のカーサに住んでいる。猫獣人20歳。
パティの夫ソニーはカーサの食堂で働いている。客は減る一方。
最近ワウラ料理のうわさが耳に入るようになってきた。
パティは、夫からワウラの街を見てくるように言われた。
そして3歳の娘、ミラと共に馬車でワウラの街にやって来た。
* * *
パティ「街に着いたのに、まだ入れないのかしら。」
ミラは疲れて、眠っているわ。
馬車の乗客が料理の話をしているわね。そんなに美味しいのかしら。ワウラの料理。
他に、スプーン? トイレ? 透明窓? 一体なんの話かしら。透明窓は、板ガラスのことよね。
*
やっと街に入れたわ。
パティ「馬車を降りるわよ。ミラ。」
にぎやかで、人が多いわね。それに街がきれいね。ごみが落ちていないわ。
*
女神様? 神罰? 貴族? なんの話かしら。
とにかく兄さんの宿に行きましょう。
*
猫耳亭に着いたわ。少し休みたいわね。
パティ「兄さん、入るわよ。」
ザック「パティ、いいところに来た。あとで厨房手伝ってくれ。」
パティ「なに? いきなり。」
エマ 「パティさん、お久しぶりね。」
パティ「お久しぶりです。エマさん。」
エマ 「2年ぶりかしら。ミラちゃん大きくなったわね。」
パティ「ノエルちゃんも大きくなりましたね。」
エマ 「ノエル、パティ叔母さんとミラちゃんよ。」
ノエル「こんにちは。」
パティ「こんにちは。ノエルちゃん。」
エマ 「いまお茶いれるから、座って。」
パティ「はい。」
ノエル「ミラちゃん、おかしあげる。おばちゃんもどうぞ。」
パティ「ありがとう。かわいいお菓子ね。」
ぱくっ。
パティ「美味しい。」
何かしら。ビスケットの中身。初めて食べる味ね。
パティ「ミラ、これ美味しいわね。」
ミラ 「うん。」
パティ「エマさん、このお菓子の中身何ですか?」
エマ 「チョコレートよ。」
パティ「ちょこれーと?」
初めて聞く名前ね。このチョコレートどうやって作ったのかしら。想像できないわね。
ワウラ料理のうわさは、これのことね。きっと。
エマ 「さあ、どうぞ。カフェオレよ。砂糖を入れた方が美味しいわ。
ミラちゃんは、ミルクココアね。」
砂糖を入れる飲み物、贅沢ね。いい香り。
パティ「美味しい。」
初めて飲む味ね。
パティ「ミルク以外に何が入っているんですか?」
エマ 「コーヒーよ。」
こーひー? なにかしら? ミラが飲んでいるのは、別物よね。
パティ「ミラ、お母さんにちょっとちょうだい。」
ごくっ。
パティ「美味しい。何が入っているんですか?」
エマ 「ココアよ。飲むチョコレートと言った方が早いかしら。」
コーヒー、チョコレート。絶対、高級食材だわ。
パティ「どこから仕入れているんですか?」
エマ 「アンナさんから買っているわ。」
アンナさん?
エマ 「いまザックに料理を教えている人よ。」
???
パティ「兄さんが料理を教えているのよね。」
エマ 「逆よ。ザックが教わっているの。」
本当に? あの子、私より年下よね。やっぱり意味が・・・え?
いま気がついたわ。
パティ「エマさん、窓にガラス入れたの?」
エマ 「それガラスじゃないの。キララって言うのよ。」
きらら? また知らない単語ね。近く見たいわ。
パティ「高かったでしょう?」
エマ 「さあ、知らないわ。アンナさんが改装してくれたから。」
アンナさん? 透明窓って、これのことね。
ん? 裏庭のアレ何かしら?
パティ「エマさん、あの小さな小屋は何ですか?」
エマ 「トイレよ。見て来ていいわよ。」
トイレ? 見ればわかるわね。
この小さな階段は、意味があるのかしら。
中は、ここに座って・・・使い方がわかったわ。
でもこれ、貴族が使うものかしら。初めて見るわ。聞いてみましょう。
パティ「エマさん、アレ、どうしたんですか?」
エマ 「アンナさんが作ってくれたわ。」
また、アンナさん?
アンナさんって、何者かしら?




