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075 貴族です。

 ここは、ワウラの街です。


 わたしは昼食を終えて、猫耳亭を出ました。


男 A 「お前がアンナか?」

アンナ「そうですが、なにか?」

男 A 「一緒にこい。」

アンナ「どちらまで?」

男 A 「ワウラ伯爵様のお屋敷だ。」


 貴族?


アンナ「お断りします。」


『転移』


*    *    *


 教会の近くに転移しました。


 わたしは、貴族に関わる気はありません。どうせ不愉快な思いをするだけです。時間の無駄です。


 これから行くのは、教会の孤児院です。

 いつも街の清掃は孤児達がしています。もちろんわたしが報酬を支払っていますが、子供に労働をさせるのは気が引けます。そのお礼に、差し入れをするためです。


男 B 「お前がアンナだな。」


 またですか。


アンナ「何か御用でしょうか。」

男 B 「伯爵様の屋敷に来てもらうぞ。」

アンナ「お断りします。」


 わたしは走って、礼拝堂に入りました。中では、神官と信者数人が祈りを捧げています。

 教会の中までは、追って来ないでしょう。


男 B 「おい待て。これはワウラ伯爵様の命令だ。」


 教会の中まで、追って来ました。


男 B 「一緒に来い。」


 男が、わたしの腕をつかむ瞬間・・・わたしの背後が眩しく光りました。


女神 「無礼者。アンナに対する無礼は許さぬ。」


 後ろを振り返ると女神像が光輝いていました。男は硬直したまま呆然としています。


女神 「ワウラ伯爵。その名(しか)と聞いた、これから伯爵に神罰を与える。」


 女神像の輝くが増しました。


女神「よいか、二度目は無いと思え。

   今度アンナに手を出せば、この国を滅ぼす(ゆえ)、覚悟せよ。」


 女神像の光が消えて、男は逃げて行きました。


アンナ「お騒がせしました。」


 皆さん、呆然としています。わたしも礼拝堂を出ました。


 わたしが、礼拝堂に逃げ込んだせいで、大事(おおごと)になりました。

 孤児院に行くはずでしたが、敷居が高いです。


 わたしは、お菓子が入ったバスケット、けん玉と竹馬を孤児院に転移させました。


 『お菓子とおもちゃを置いていきます。 アンナ』と書いた紙をバスケットに入れてあります。

 あ、遊び方の説明が・・・

 いえ、心配はいりません。子供は遊びの天才です。自分達で遊び方を考えるでしょう。


*    *    *


 次にわたしが向かったのは、ルパンさんのパン屋です。

 午前中、村で話をしたときに、チーズの売れ行きが今ひとつと言われたので、チーズ料理のレシピを教えることにしました。


アンナ「ルパンさん、こんにちは。」

ルパン「おう。いま丁度手が空いたところだ。」

アンナ「生クリームの件ですが、アキノ商会が取り扱うことになりました。」

ルパン「そうか。わかった。」

アンナ「それと・・・今オーブン使えますか。」

ルパン「ああ。まだ火が入ってる。」

アンナ「それでは、お菓子のレシピを教えます。」

ルパン「ほんとか。楽しみだ。」


 材料は、クリームチーズ、生クリーム、砂糖、玉子、小麦粉です。それらを混ぜて、オーブンで焼きます。


 バスクチーズケーキです。


 問題は、クッキングシートがないことです。

 仕方がないので、容器の底を二重にして、側面は串を入れて、ケーキを取り出すことにしました。

 わたしは材料を混ぜて、オーブンで焼きます。


     *


 数十分後、完成しました。試食します。


 ぱくっ。


ルパン「うめー。」

アンナ「ありがとうございます。」

ルパン「アンナさんは天才だ。」


 すみません。これはインターネットのレシピです。


 試食後、女神ローラの分を確保して、パン屋を出ました。


*    *    *


 今度はダノンさんの食堂に向かいます。


アンナ「ダノンさん、こんにちは。」

ダノン「ひょっとして、新作か。」

アンナ「はい。今オーブン使えますか。」

ダノン「ああ、大丈夫だ。」

アンナ「今日は二品作ります。」

ダノン「ああ。頼む。」


 一品目はピラフです。この街には米料理がないので、人気が出るといいですね。

 作り方は、小さく切った具材と米をスープで炊くでけです。


アンナ「これはピラフという料理です。具材とスープは代えてもいいので、工夫してください。」

ダノン「この米は、前に教えてくれたクスクスに似ているな。」

アンナ「はい。同じような感覚で使える食材です。」


 ピラフを炊き始めました。その間にもう一品作ります。


 わたしはアイテムボックスから、発酵済みのパン生地を取り出して円形に広げました。

 トマトソースを塗り、具材とチーズをのせました。


 ピザです。


アンナ「これはピザという料理です。これも具材とソースを代えてもいいです。

ダノン「わかった。」


 オーブンに入れます。

 ピザを出し入れする道具、ピザピールは魔法で作りました。


     *


 数分後、ピザが焼けました。

 取り出して、カットしました。


アンナ「どうぞ。熱いですよ。」


 ぱくっ。


ダノン「あつっ・・・んま・・・うまい。」

アンナ「ありがとうございます。」

ダノン「アンナさんは料理の天才だよ。」


 すみません。これもインターネットのレシピです。


 わたしは、ローラの分を確保しました。


 そのあと、ピラフも炊きあがり、試食しました。ダノンさんの評価も高いです。

 わたしはピラフに合うインディカ米を提供して、食堂を出ました。




 次は猫耳亭に向かいます。

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