072 ギルドです。2
ここは、ワウラの街です。
わたしは、猫耳亭を出て、商業ギルドに来ました。ここに来るのは初めてです。
中に入り、女性職員に声をかけました。ネームプレートがついています。『マギー』
アンナ「アンナといいます。猫耳亭で話を聞いてここに来ました。」
マギー「お待ちしていました。ご案内します。」
わたしは、奥の部屋に通されました。
ジーナ「私は商業ギルドミストレスのジーナです。」
マギー「サブミストレスのマギーです。」
ジーナさんは、35歳くらいで、マギーさんは20歳くらい、二人共女性です。
アンナ「アンナです。」
ジーナ「座ってください。」
マギー「早速ですが、ギルドからお願いがいくつかあります。
それは商業ギルドの会員登録、特許と料理レシピの登録、
それから売ってほしい物品があります。」
マギー「まず最初は、猫耳亭の透明窓のことを聞いてもいいですか。」
アンナ「あれは、キララと言います。」
わたしは、キララと小さなナイフをアイテムボックスから出します。
そして、キララにナイフの刃をいれて、薄く剥がしました。
アンナ「これは天然の鉱石です。」
わたしは、キララをマギーさんに渡しました。
マギー「猫耳亭の透明窓と同じものです。」
ジーナ「採掘場所をおしえてくれますか。もちろん報酬は支払います。」
マギーさんが書類を3枚用意しました。
商業ギルド会員登録書、鉱石の権利に関する仮契約書とその控えです。
わたしに不利益はないので、全ての書類にサインしました。
驚いたことに、わたしの名前が刻印された金属製の会員証がすでに用意してありました。
準備がいいですね。
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マギー「次は特許の件です。まずは遊戯盤ゼンセンを登録してください。」
ゼンセン?・・・ゲームのことですね。わたしが、孤児院の子供達にプレゼントしたものです。
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図のように表裏が白黒のコマを並べます。コマを進めながら相手を挟んで取る、挟み将棋です。
味方と協力して、敵を倒すイメージのゲームです。
名前は『前線の絆』といいますが、子供達は、ゼンセンと呼んでいるみたいです。
子供は遊びの天才です。そのうち誰かが、本来の遊び方を見つけると思います。
わたしは、ゲーム以外にトイレと先割れスプーンも特許登録させられました。
先割れスプーンは『アンナスプーン』と呼ばれているそうです。もう好きに呼んでください。
*
マギー「次は、料理のレシピ登録をお願いします。」
料理のレシピは、宿・食堂・パン屋・肉屋でわたしが教えたものです。
書類に全てを書くのは面倒なので、わたしはレシピノートを取り出して、魔法で転写しました。
二人は唖然としていました。能力の出し惜しみは、しません。
マギー「アンナさん、レシピの販売価格は、登録者が決めることになっています。
いくらに設定しますか。」
アンナ「無料でお願いします。」
マギー「それはできません。」
アンナ「わたしは冒険者です。お金には不自由していません。」
ジーナ「うわさは聞いていますよ。魔物を一人で討伐、丸ごと納品して金貨を稼ぐと。」
マギー「そんなことが出来るのは、この大陸でアンナさんだけです。」
そうなんですか。
冒険者とは、楽して稼げる気楽な職業だと思っていました。
結局、レシピは一件あたり最低金額の大銀貨5枚に設定しました。日本円で5万円相当です。
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マギー「最後に、売ってほしいものがあります。
それは、コーヒー、ココア、チョコレート、砂糖、胡椒です。」
わたしはそれらを、文字通り売る程出しました。
ギルド側が提示した金額がかなり高額でした。
特に高額だったコーヒー、ココア、チョコレートは価格を下げて買ってもらいました。
ジーナ「アンナさん、ありがとうございました。」
マギー「ありがとうございました。以上で終了です。」
アンナ「ココアとチョコレートに関しては、不当な利益を得ることのないように
注意してください。神罰がくだりますよ。」
わたしは、そう言い残してギルドから出ました。
次は、パン屋に向かいます。
*ミストレスとは、マスターの女性版です。