063 無料招待2日目です。10
ここは、飛行島です・・・たぶん。
私たちは、小ピラミッドの中に入り、魔方陣で転移しました。
今、亜寒帯の農地&牧場にいます。
二人は羊の写真を撮っています。ここの羊は人懐っこいです。
真美 「アンナさん、写真撮って。」
アンナ「はい。」
わたしは、真美さんからスマホを受け取りました。二人はしゃがんで、子羊と並んでいます。
カシャ。
わたしは、真美さんにスマホを返しました。
*
ちなみに、この羊はスイスの固有種シュバルツナーゼと同じです。ドイツ語で『黒い鼻』という意味です。
顔が黒いのですが、白い体毛が長く、顔が少し隠れて、鼻とその周囲だけが黒く見えます。
目鼻口がどうなっているのか、近くで見ないとわかりません。
この羊の写真をネットで見たとき、ぬいぐるみの写真だと思いました。動画を見て驚きました。
わたしは、世界で最もかわいい羊だと思います。
*
アンナ「あまり時間がありません。そろそろ移動します。」
友絵 「おねがい、もう少しだけ。」
アンナ「その羊なら、地球にもいますよ。」
二人 「えっ、ほんとに?」
アンナ「はい。」
ただし日本の動物園には、いないそうです。
私たちは、白い魔方陣に入りました。
* * *
小ピラミッドに戻ってきました。
アンナ「次に行くところが、ツアー最後の場所になると思います。」
友絵 「それって、隣のピラミッド?」
アンナ「はい。そうです。」
真美 「隣のピラミッドも、どこかに転移するのよね?」
アンナ「たぶん、そうだと思います。」
友絵 「今度はあたしも一緒に行くよ。」
真美 「私も。」
アンナ「・・・・・・わかりました。一緒に冒険しましょう。」
私たちは、隣の小ピラミッドに向かいました。
入口の足元には、赤色の丸い印があります。三人で中に入ります。
すると、中央の床に赤く光る魔方陣が現れました。
赤です・・・いやな予感がします。
わたしは、スリング内のマオを見ました。そっと撫でました。おとなしくしています。
マオを連れて行くべきか迷いますが、置いていくのはかわいそうです。マオも一緒に連れて行きます。
私たちは、赤い魔方陣に入りました。
* * *
転移先は、周囲が石造りの小さなドーム型空間です。壁には松明の灯りがあります。
わたしは、探索魔法を使いました。ここから出た通路の向こうには魔物がいます。
ん? なにか反応が変ですが、たぶん魔物です。
アンナ「ここは、ダンジョンです。」
二人 「ダンジョン?」
アンナ「はい。わたしもダンジョンは初めてです。」
友絵 「異世界の冒険にダンジョンは必要だよね。」
真美 「ちょっと怖いけど、面白そう。」
アンナ「あの通路を出た先に魔物がいます。注意してください。」
二人 「はい。」
私たちは、通路に向かいました。通路の壁にも松明があります。
通路を出た先は、広い空間になっています。
通路を出ました。一体のゴブリンがこちらに気がつき、向かってきます。
わたしはゴブリンを追い払うために、弱い火魔法を撃ちます。
アンナ「ファイヤーボール」
直撃しました。ゴブリンは光に包まれて消滅しました。
友絵 「やった。」
真美 「さすがね。」
わたしは、ゴブリンがいた場所に歩いて行きました。ゴブリンが見当たりません。完全に消滅しました。
残っていたのは魔石だけです。大きさは2cm、透き通った赤色の魔石です。
いま倒したゴブリンは、本物の魔物ではなく、この魔石を核にして、魔素を動かす擬似生命体ですね。
簡単に言えばゲームです。
友絵 「それ魔石?」
アンナ「はい。そうです。」
真美 「見せて。」
アンナ「はい。どうぞ。」
友絵 「これ、お土産にもらえないかな?」
アンナ「それはできません。それは魔物の核です。
日本に持ち帰れば、なにが起こるかわかりません。」
友絵 「そうだよね。」
真美 「あきらめましょ。」
わたしは、魔石を返してもらいました。
アンナ「このダンジョン内の魔物は本物ではありません。リアルなゲームのようなものです。
実際に戦ってみますか?」
友絵 「あたしはいいけど、真美はどうする?」
真美 「私もやってみます。」
二人は前衛、わたしは浮遊して援護することにしました。
ダンジョンで戦闘を開始します。