060 無料招待2日目です。7
ここは、巨木の森です。
最大巨木の近くでコーヒーを飲んでいます。
アンナ「おやつです。」
友絵 「・・・木?」
真美 「これ・・・バウムクーヘン?」
アンナ「はい。」
友絵 「でも、穴がない。」
アンナ「四角い大きなフライパンを使って、厚焼き玉子みたいに作りました。」
穴なしバウムクーヘンには、ホイップクリームとジャムを添えてあります。
真美 「おやつの写真。」
友絵 「あたしも。」
カシャ、カシャ。
アンナ「いただきます。」
二人 「いただきます。」
ぱく。
友絵 「美味しい。」
真美 「これ焼きたて。」
友絵 「店のバウムクーヘンを時々買って食べるけど、この焼きたては格別だね。」
アンナ「ありがとうございます。」
真美 「しっとりしていて、食べやすい。」
友絵 「コーヒーにも合うよね。」
真美 「それにしても、本当に木そっくりね。」
友絵 「異世界には、食べる木があるのかと思ったよ。」
真美 「異世界なら、あり得る話ですよね。」
バウムクーヘンは、本場のドイツよりも日本の方が多く普及しているそうです。
ドイツでは、専門の職人が作る特別なお菓子という扱いらしく、日本のように気軽に買えないそうです。
* * *
おやつが終わりました。
三人 「ごちそうさまでした。」
わたしは、食器などを片付けました。
真美 「ところで、この最大の巨木、名前ないのかしら。」
友絵 「日本の特別な木には、名前があるよね。」
最大巨木に、名前はつけていませんでした。
アンナ「名前・・・・んー・・・・ジャイアント・トロールは、どうですか。」
友絵 「いいね。」
真美 「色も似ていて、イメージに合ってる。」
この森、最大の巨木は、ジャイアント・トロールと言う名前になりました。
* * *
アンナ「そろそろ移動しますが、やり残したこと何かありますか?」
友絵 「ひとつだけ・・・トイレ。」
真美 「私も。」
わたしは、トイレを出しました。
* * * トイレタイム * * *
二人のトイレが終りました。
わたしは、テーブルやレジャーシートなど全て収納しました。マオはスリングの中です。
アンナ「転移魔法で移動します。いきますよ・・・転移。」
* * *
友絵 「海だ。」
私たちは海に突き出した岬に転移しました。
アンナ「あれを見てください。」
真美 「島?」
友絵 「ん?・・・あの島浮いているような・・・」
真美 「蜃気楼・・・かしら。」
アンナ「あれは空に浮かぶ島、飛行島です。」
真美 「飛行島・・・」
友絵 「異世界らしいね。」
アンナ「今からあの島に行く予定ですが、実はわたしも行くのが初めてです。」
今までツアーで見てきたところは、わたしが事前調査をしてきました。
見所や危険の有無を調べるためです。
真美 「アンナさんが知らない島なの?」
アンナ「はい。」
友絵 「ということは・・・それって、冒険だよね。」
真美 「冒険・・・確かに。」
友絵 「それなら、三人で冒険しようよ。」
真美 「なんだか面白そう。」
アンナ「わかりました。三人で冒険しましょう。」
私たちは、飛行島を冒険することになりました。
行くと決まれば、まずは少しでも事前に調べておきましょう。
わたしは、千里眼で飛行島を調べました。島の地表に危険なものは、見当たりません。
アンナ「飛行島に向かいます。わたしの手を握ってください。」
二人は、わたしの手を握りました。
アンナ「行きます。」
わたしは、ゆっくりと岬を飛び立ちました。
少し高度を下げて、海面のすぐ上を飛んでいます。陽光で海がキラキラしています。
飛行島が近づいてきました。
私たちは、飛行島のほぼ真下にいます。上を見上げると、島がゆっくり動いているのがわかります。
友絵 「動いてるね。」
アンナ「はい。」
わたしは、ゆっくりと上昇しました。
友絵 「大きい。」
飛行島は、上空1000mの高さにあります。大きさは、長さ2400m、幅は1500mです。
葉っぱのような形をしていて、その尖った方を前にして島がゆっくり飛行しています。
私たちは、島から少し離れた真横にいます。そして島の周囲を一周、飛行しました。
わたしはそこから上昇して、島全体を見下ろしています。今のところ、危険はなさそうです。
私たちは、ゆっくりと飛行島に向かって降下しました。
友絵 「ワクワクするね。」
真美 「はい。」
アンナ「わたしもです。」
これから三人の冒険が始まります。