００６ 異世界ツアー初日です。４
ここは街の外壁が見える街道です。
アンナ「皆さん、街に入る手続きを説明します。まずは銀貨１枚を用意してください。
お金は入街税として、入口で支払ってください。」
令奈 「銀貨１枚ね。」
アンナ「その際、滞在許可証が発行されますので受け取ってください。行きましょう。」
街の入口前に詰め所があり、守衛が二人います。
守衛 「許可証は、持っているか。」
アンナ「わたしは持っています。これです。
他の４人は持っていません。許可証の発行をお願いします。」
守衛 「一人銀貨１枚だ。」
皆さん、それぞれ銀貨１枚を支払い、
木製の滞在許可証を受け取りました。
守衛 「よし。入っていいぞ。」
令奈 「ちゃんと言葉が理解できる。」
アンナ「さあ行きましょう。ここはカント大陸、タマイサ王国、ワウラの街です。」
私たちは街の中に入りました。
４人 「うわー。」
わたしは注意事項を説明します。
アンナ「この世界は人族以外に、獣人、エルフ、ドワーフなどが暮らしています。
じろじろ見たり、指をさしたりしないでください。」
４人 「はい。」
アンナ「写真を撮るのはかまいませんが、街並みや建物だけにしてください。
不審に思われないように気をつけてください。」
４人 「はい。」
＊ ＊ ＊
歩いて到着したのは、冒険者ギルドです。
アンナ「ここが冒険者ギルドです。」
菜々子「看板の文字が理解できる。」
アンナ「用紙に書くのは下の名前だけです。登録料は銀貨１枚です。入りましょう。」
女性職員がいるカウンターに向かいます。
アンナ 「４人の登録をお願いします・・・」
冒険者A「なんだ、なんだー。小娘が集まって
冒険者ごっこかー。」
４人 「・・・・・・・」
冒険者B「おい、無視するんじゃねーよ。」
柄の悪い男性二人組が近づいて来ます。
アンナ 「近寄らないでください。」
冒険者A「何だと。生意気だぞ、こいつ。」
男が近づき、わたしの肩をつかみかかります。
わたしは相手の右腕をつかみ、腰を落として投げ飛ばします。
ドーン！
４人 「・・・・・・・」
冒険者B「兄貴、大丈夫ですか。」
もう一人の男が、倒れた男に近寄り、肩を貸しながら体を起こします。
冒険者B「兄貴しっかりしてください。ちくしょう！覚えてやがれー。」
二人の男はギルドから出て行きました。
４人 「おー。」
パチパチパチ・・・拍手が起こります。
菜々子「見事な一本背負いだね。」
アンナ「一応、冒険者ですから。さあ皆さん、登録しましょう。」
わたしは、こっそりギルドから、抜け出します。
扉を出ると、先ほどの男二人がそばにいます。
男二人 「・・・・・・」
アンナ 「ご苦労様でした。お怪我はありませんか。」
冒険者A「平気、平気。」
アンナ 「これ報酬です。」
わたしは銀貨５枚を渡します。
アンナ 「それでは今後もよろしくお願いします。」
冒険者A「ああ、お安い御用だ。よし、飲みに行くぞ。」
冒険者B「はい、兄貴。」
はっきり言って、ヤラセです。
ギルドのテンプレは重要です。盛り上がったので問題ありません。
わたしはギルドに戻りました。
令奈 「あれ？ どこ行ってたの？」
アンナ「ちょっと知り合いが見えたので、あいさつを・・・」
令奈 「そう。」
＊ ＊ ＊
数分後、登録終了。ギルドカードの木札を受け取り、外に出ます。
令奈 「・・・・・」
アンナ「どうかしましたか？」
令奈 「ギルドカードって、血を垂らして登録するわけじゃないのね。」
アンナ「はい。そういうハイテクは、この世界にはありません。あれはアニメの話です。」
令奈 「そうなんだ。」
アンナ「それでは皆さん、そろそろお昼なので、昼食にしましょう。」
おすすめの食堂に行きます。
