045 コンビニ店員の憂鬱 (別視点)
* 別視点 友絵 side *
ここは、100円コンビニの店内。
友絵「ありがとうございました。はぁ。」溜め息
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ことの発端は、2ヶ月ほど前に起きた。
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マリトッツォ(いちごホイップ)1個いただきました。
お支払いします。お釣りは寄付します。
すみません。
アンナ
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謎の手紙。それと、お金。
何これ?って、思った。
調べてみるとマリトッツォが1個足りない。
つまり、この110円が代金だよね。意味がわからない。
その後すぐに、千円札と商品名が書かれた紙が置かれてた。
調べてみると、書かれた商品が足りない。
千円は代金だよね。
商品は、いつ無くなったの? お金は、いつ置いたの?
* * *
それ以降がすごかった。
商品名が書かれた紙にバーコードがプリントされているだよ。どうやったのこれ?
確かにバーコードがあれば、レジ入力が楽だよ。
でも、こんな手の込んだイタズラする?ふつう。
普通に買って普通に支払えば、いいじゃん。
そんなことが何度か続いた。
決まってそれは、シフトがあたしのときだった。
店長に相談すると購入と同様に処理してくれって言われた。
ある日店長に頼んで防犯カメラの録画映像を見せてもらった。衝撃だった。
商品が突然消える。レジの近くに紙と現金が突然現れる。そんなのあり? 何かの手品?
どうなってんの?
この怪奇現象は、同僚の間で幽霊事件と呼ばれるようになった。
幽霊って、お菓子食べるの?
それからアンナという人物も気になる。
商品を簡単に盗めるのに、ちゃんとお金は支払う。募金もする。
悪い人ではない気がするんだけど。
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ここ数日は、幽霊事件が起きていなかった。
なのに突然のコレ。
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友絵さんへ
いつもお世話になっております。日頃の感謝を込めて、あなたを
『 異世界ツアー 1泊2日の旅 』
に特別に無料でご招待したいと思います。
下記のどちらかに、○を付けてください。
Yes / No
希望日 ____________
希望日の朝6時に「なかよし公園」にお迎えに参ります。
アンナ
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は?
なんであたしの名前知ってるの? なんで近所のなかよし公園知ってるの?
もう怖いよ。どうしよう。
Yes を選んだらどうなる? 異世界に行くの?
行けるものなら、行きたいよ。でも・・・
『異世界に行ったら、スライムでした。』
みたいなの、絶対やだからね。蜘蛛になるのも、絶対無理。
No を選んだらどうなる?
無料で招待するって言ってるのに、断ったら怒るんじゃないの?
このアンナっていう人、怒らせたら絶対ヤバイと思う。
もうどうしよう。
こういう厄介事は、早めに片付けたほうがいいよね。
もうどうにでもなれ。
私は、Yes に、○を付けて、明日と明後日を希望日にした。
ん? 記入したのはいいけど、この紙どうすんの?
友絵「あ、消えた。もうどうなんてんの?」
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翌朝、なかよし公園、午前5時55分。
これって、やっぱりドッキリかな。
一応テレビに映るかもしれないから、いい服着て来た。化粧もバッチリ。
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緊張する。もうすぐ6時だよ・・・
3、2、1・・・
真美 「わっ。」
友絵 「えっ?」
真美 「???」
アンナ「ようこそ、異世界へ。」