033 異世界ツアー3日目です。12
ここは台地に設置した、コテージの中です。
夕食が終わりました。
食器を片付けて、皆さんとお茶を飲んでいます。
令奈 「2泊3日、あっという間だったね。」
菜々子「日比谷公園で集合した時には、想像も出来なかった。」
美波 「異世界ってなに?どこに行くんだろうって、感じだったよね。」
秋恵 「日比谷公園から瞬間移動して、意味がわからなかった。」
皆さん、スマホの写真を見ながら、3日間を
振り返っています。
* * *
令奈 「魔法が使えて、楽しかった。」
菜々子「ファイヤーボール、爽快だったね。」
美波 「クリーン魔法、便利だったね。」
秋恵 「アイテムボックスもね。」
*
美波 「街並がきれいだったよね。」
菜々子「初めての馬車。」
令奈 「朝市もよかったよね。」
秋恵 「プリンの実。」
4人 「ww」
*
令奈 「宿もよかったよね。」
秋恵 「ノエルちゃん、可愛かった。」
他3人「うん。うん。」
美波 「日本に帰ったら、ノエルちゃんの画像をプリントしよ。」
令奈 「気に入った写真、みんなで共有しようよ。」
他3人「うん。」
*
令奈 「ギルドの依頼を受けて、冒険者活動。」
秋恵 「ただ登山をしただけ、とも言える。」
4人 「 ww 」
令奈 「登山で見たきれいな花、山の動物。」
秋恵 「空を飛びながら見た絶景。」
菜々子「雲の上から見た、日の出。」
美波 「チーズフォンデュも美味しかった。」
*
秋恵 「キャンプも楽しかった。」
菜々子「バーベキュー、お風呂。」
美波 「きれいな夜空に、二つの月。」
令奈 「初めて見た大きな流れ星。」
*
令奈 「魔物、恐竜、マンモス。」
菜々子「森の主とドラゴンが神秘的だった。」
秋恵 「水晶の洞窟、きれいだったね。」
美波 「きれいな結晶をお土産に出来た。」
美波さんが、アイテムボックスから魔水晶の欠片を取り出します。
*
菜々子「この世界の風習も驚きだった。」
秋恵 「トイレがないとか、お風呂がないとか。」
4人 「 ww 」
令奈 「3日間で10年分の驚きを味わったね。」
美波 「毎日が驚きの連続だった。」
令奈 「私は、アンナさん自身が一番の驚きだった。」
菜々子「ギルドで見た一本背負い。」
秋恵 「魔法で魔物を撃退。かっこよかった。」
美波 「ドラゴンにも動じない。」
菜々子「料理が得意。」
令奈 「料理美味しかった。」
他3人「うん。うん。」
秋恵 「家を所有して、それを持ち歩くとか。」
4人 「 ww 」
令奈 「年下とは思えない。不思議な人。」
アンナ「恥ずかしいです。」
美波 「まだ、アンナさんの写真撮ってない。」
アンナ「写真は勘弁してください。多分おおごとになります。」
わたしは、ミニハットをはずして、手のひらにのせました。
アンナ「これなら撮ってもいいです。」
カシャ。
美波 「この写真があれば、アンナさんを思い出せるよ。」
* * *
アンナ「それでは皆さん、アイテムボックスから私物を出してください。
魔道具を回収します。」
皆さんアイテムボックスから、私物を出しました。
バッグ、スマホ、魔水晶、ギルドカード、巾着袋。
アンナ「ギルドカードとお金は、次回も使えますから、お持ち帰りください。」
秋恵 「よかった。」
令奈 「最後にみんなで、クリーンの魔法使おうよ。」
他3人「うん。」
4人 「クリーン!」
わたしは腕輪型魔道具を回収しました。
* * *
アンナ「皆さん、最後にきれいな星空を見に行きましょう。」
4人 「はい。」
私たちは、コテージから出ました。
アンナ「転移」
* * *
私たちは、星空が見える場所にやって来ました。
4人 「うわー・・・」
令奈 「蛍?」
きれいな星空の下で、無数の蛍が乱舞しています。
魔水晶と同様に、色の付いた蛍もいます。
美波 「宇宙にいるみたい。」
菜々子「蛍見るの初めて。」
美波 「私、感動で泣きそう。」
4人 「・・・・・・」(涙目)
秋恵 「今、うちの頭の中で、閉店のBGMが流れてる。」
令奈 「 ww ばか。ww 」(泣き笑い)
4人 「 ww 」(泣き笑い)
* * *
令奈 「あたしネットで見たとき、詐欺犯かもしれないって思ってました。
ごめんなさい。」
アンナ「気にしていません。」
令奈 「本当に楽しかった。ありがとう。」
アンナ「こちらこそ、ありがとうございます。」
菜々子「充実した3日間、楽しかったね。」
秋恵 「異世界のこと、絶対に忘れない。」
美波 「また異世界ツアーに申し込むからね。」
アンナ「はい。よろしくお願いします。」
アンナ「わたしも本当に楽しかったです。皆さんに出会えて、良かったです。
皆さん、ありがとうございました。」
アンナ「最後に皆さんを鑑定して、検疫を行います。」
アンナ「鑑定」
アンナ「検疫終了しました。問題ありません。」
アンナ「それでは、皆さんを日本に送ります。」
令奈 「またねー。」
菜々子「元気でね。」
秋恵 「また来るからね。」
美波 「バイバイ。」
アンナ「皆さん、またお会いしましょう。」
皆さん手を振っています。わたしも手を振ります。
アンナ「送還」
皆さんは日本に帰りました。
夜の草原に立っているのは、わたしだけです。
目の前に蛍が舞っています。
第1回異世界ツアーは、無事終了しました。
* * * * *
わたしがこの世界に来たころは、日本のものが恋しくてたまりませんでした。
日本から召喚魔法でお取り寄せできるとわかり、日本円を稼ぐつもりで異世界ツアーのガイドを始めました。
ですが、異世界ツアー調査やツアー中にこの世界の魅力に気付きました。景色、街なみ、生き物など。
異世界の魅力に気付けたのは、皆さんのおかげです。そして私自身、ツアーを楽しんでいました。
異世界ツアーを実施して本当によかったです。
* * *
この異世界には、わたしが知らない美しい景色、色々な生き物、美味しい食材が、まだまだあるはずです。
わたしは、異世界ツアーガイドをこれからも続けていきます。
皆さん、本当にありがとうございました。
きっと、また会えます。
それまで・・・さようなら。
最終回・・・ではありません。話はまだ続きます。