030 異世界ツアー3日目です。9
ここは、岩場にある洞窟の中です。
わたしは土魔法で、洞窟の入口をふさぎました。
アンナ「洞窟内は暖かいです。防寒着を脱いでも大丈夫です。」
皆さんは、防寒着を脱ぎました。
アンナ「しんがりは、令奈さんお願いします。」
令奈 「わかった。」
アンナ「皆さん、ここは平らなところがほとんどありません。
転ばないように、足元に注意してください。」
4人 「はい。」
わたしは洞窟の中をゆっくり歩き始めました。
洞窟は、登ったり、下ったりを繰り返します。
わたしは、あるものを発見しました。
アンナ「これを見てください。」
皆さんが注目します。
4人 「きれい。」
それは、手のひらほどの結晶群です。
菜々子「これって、水晶?」
アンナ「はい。正確には、魔水晶といいます。魔素の影響を受けた鉱石です。
地球にはありません。」
秋恵 「これを採取するの?」
アンナ「いいえ。採取はしません。奥にもあります。」
令奈 「ほんとに。」
美波 「まだあるんだ。」
* * *
私たちは、また歩き始めました。
少し歩くと、広い空間にたどり着きました。大きさは学校の教室くらいです。
わたしは、魔法で光球の数を増やして四方に飛ばします。
4人 「きれい。」
光が結晶に反射して、キラキラ輝いています。大きさは大小様々で、数十個の結晶群があります。
まるで夜空を見上げているようです。
美波 「色付きのもある。」
アンナ「はい。透明な魔水晶が多いですが、色付きもあります。
わたしが発見したのは、赤、青、黄色、緑、紫です。
それぞれ、色の濃いものと、薄いものがあります。」
* * *
私たちは、写真を撮り、さらに奥へ進みます。
洞窟の中を進むと、徐々に大きな魔水晶が増えてきました。
そして大きな空間にたどり着きました。暗いので全体の様子がよく見えません。
アンナ「皆さん、光の数を増やします。眩しいので目を閉じてください。」
皆さん、目を閉じました。
わたしは光球を多数飛ばして、空間全体が明るく見えるようにしました。
アンナ「皆さん、目を開けてください。」
4人 「うわー・・・」
その空間には、大小様々な魔水晶が無数に存在しています。
空間の大きさは、学校体育館の2倍以上です。
菜々子「これ全部水晶なの?」
アンナ「はい。
魔水晶の大きさは、長さ10メートル以上、直径2メートル以上のものがあります。
わたしはこの空間を、クリスタルホールと名付けました。」
令奈 「すご過ぎて、言葉が出ない。」
美波 「ゲームの中にいるみたい。」
秋恵 「現実離れしすぎ。まさに異世界。」
アンナ「もう少し進みましょう。」
私たちはホールの中心に向かいます。
アンナ「横になっている結晶の上が歩きやすいです。」
わたしは、途中で魔水晶の欠片を2つ拾いました。
アンナ「この魔水晶が地球の水晶と決定的に違うところは、結晶構造にあります。
これを見てください。」
わたしは、拾った魔水晶の断面と欠片を皆さんに見せました。
4人 「きれい。」
アンナ「これは結晶が折れて、その断面が剥がれたものです。」
魔水晶の欠片は、まるで雪の結晶です。
菜々子「さっき見た、雪の結晶みたいね。」
美波 「写真撮らせて。」
アンナ「はい。」
カシャ。
私たちは、また歩き出しました。
目の前に巨大な魔水晶が垂直に伸びています。
アンナ「ここがクリスタルホールの中心です。
この魔水晶は直径が約3メートルで、このホール最大のものです。」
令奈 「大きい。」
秋恵 「このホールの大黒柱だね。」
菜々子「 本当、そうね。 」
美波 「アンナさん、写真撮って。」
アンナ「はい。」
わたしは、巨大な魔水晶と一緒に皆さんの集合写真を撮ります。
カシャ。
アンナ「皆さんにお願いがあります。」
わたしは、皆さんに話を始めました。
クリスタルホールは、スペインのプルピとメキシコのナイカ鉱山を参考にしました。