029 異世界ツアー3日目です。8
ここは大陸の北方です。
大陸の北方とはいえ、初夏なのに雪が振っています。
わたしは、手のひらを上に向けます。雪が手の上に落ちました。
えっ?
わたしはアイテムボックスから、紺色の布を出します。
舞い降りた雪が、布の上に残ります。
アンナ「皆さん、これを見てください。」
皆さん、集まってきました。
菜々子「何これ。きれい。」
秋恵 「すごい。」
令奈 「こんな雪、初めて見た。」
美波 「接写で撮れるかな。」
カシャ。
美波 「撮れた。きれい。」
大きさが15ミリメートルもある、雪の結晶です。
わたしは、こんな大きな雪の結晶を初めて見ました。しかも結晶の形がそれぞれ違います。
皆さん寒さを忘れて、雪の結晶に見入ります。私たちは、しばらく雪の結晶を観察しました。
* * *
大きな生き物の気配が近づいてきます。
アンナ「皆さん、大きな生き物が近づいて来ます。
決して大きな声は出さないでください。心配はいりません。」(小声)
わたしは布を片付けました。
アンナ「あちらを見てください。」(小声)
森の中から、大きな生き物が1頭出てきました。
美波 「ぞう?」
菜々子「あれって、まさか・・・」
アンナ「はい。マンモスです。」
4人 「・・・・・・」
アンナ「ギリギリまで近づいてみましょう。」
私たちは、ゆっくりマンモスに近づきました。
マンモスは長い鼻で、低木の雪を払い、葉をむしって食べています。
菜々子「大きい。」(小声)
秋恵 「毛が長い。」(小声)
令奈 「牙がすごい。」(小声)
美波 「いい写真撮れた。」(小声)
* * *
しばらくすると、食べ終えたマンモスはどこかへ行ってしまいました。
秋恵 「今日も驚きの連続だね。」
アンナ「わたしがお見せしたいのは、マンモスだけではありません。
まずは、移動します。」
私たちは魔法で、小さな山の岩場に転移しました。
マンモス見た場所から、それほど離れていません。
アンナ「こちらです。」
私たちは少し岩を登り、立ち止まりました。
アンナ「ここです。」
4人 『?』
アンナ「わたしは、探索魔法でダンジョンを探しているときに、ここを偶然発見しました。」
令奈 「ダンジョンって、あるの?」
アンナ「わかりません。まだ発見していません。」
以前、女神ローラにダンジョンの有無を質問しましたが、
「そういうのは、自分で調べたほうが面白いわよ。」と言われました。
存在は否定しなかったので、ダンジョンはあるとわたしは考えています。
菜々子「ここに何があるの?」
アンナ「ここに小さな隙間があります。」
わたしは岩の隙間を指さしました。
アンナ「この隙間の奥に空間があります。その中を見に行きます。」
わたしは、土魔法で岩の隙間を広げて、皆さんが通れるようにしました。
本来なら、ヘルメットを着用するところですが、皆さんには、防御魔法がかかっているので、必要ありません。
アンナ「この中は真っ暗です。ライトの魔法で光球を作ってください。」
わたしも魔法で光球を作りました。
アンナ「さあ皆さん、入りましょう。」
私たちは、洞窟に入って行きました。