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028 異世界ツアー3日目です。7

 ここは魔物がいる森の中です。

 

 私たちは、少し開けた場所にある泉にやって来ました。


 目の前に鹿の魔物がいます。水を飲んでいます。

 頭胴長4メートル。地球のヘラジカよりも大きいです。

 全身が鮮やかな青色で、背中に斑模様があり、大きな黒い角があります。

 角や全身の毛並みが、陽光でキラキラ輝いています。とても神秘的です。


アンナ「あれは鹿の魔物、ブルーディアです。

    わたしは畏敬の念を込めて、森の主と呼んでいます。」(小声)

4人 「・・・・・・」


 森の主は、私たちの方を向きました。

 わたしと目が合ったような気がしました。


 数秒後、森の主はゆっくりと歩いて、森の奥へ姿を消しました。


美波 「私、写真を撮る気になれなかった。」

秋恵 「その気持ち、何となくわかる。」

菜々子「私も見てることしかできなかった。」

令奈 「あたしも。」


アンナ「森の中はこれくらいにして、次は草原に行ってみましょう。」


*    *    *


 私たちは草原に転移しました。

 ここは湖から流れ出る川の下流側です。草原が広がっています。


 少し離れたところに、牛の群れが見えます。


アンナ「双眼鏡で、あの牛を見てください。」


 皆さん、双眼鏡で牛を見ています。


アンナ「あの牛はオーロックスと言います。

    オーロックスは地球にも生息していましたが、数百年前に絶滅しました。」

令奈 「そうなの?」

アンナ「はい。この世界の生態系は地球とは違っています。

    魔物以外に普通の生き物と、地球では絶滅した生き物が生息しています。

    ここは、とても不思議な世界です。」


アンナ「ギリギリまで近づいてみましょう。」


 私たちは牛の群れに近づきますが、逃げてしまいます。


アンナ「この距離が限界みたいですね。

    写真は撮れましたか?」

美波 「うん。なんとか。」

アンナ「よかったです。この近くに他の動物は、いません。さっきの湖に戻ります。」

秋恵 「また行くの?」

アンナ「はい。皆さんに見せたい生き物がいます。」


*    *    *


 私たちは転移魔法で、湖畔に戻ってきました。

 なかなか岸辺の方に来てくれませんね。アレは。

 

 わたしは、皆さんを水辺の近くに案内しました。

 アイテムボックスから、調理に失敗したのパンを取り出して、ちぎって水辺にまきます。


 しばらくすると、魚が集まってきました。バシャバシャと水音をたてます。

 アレが近づいて来ました。


アンナ「皆さん、撮影の準備をしてください。

    動画をおすすめします。来ますよ。大きいです。」


菜々子「水面に何か見える。」

美波 「こっちに来る。」


 バシャーン・・・


 ソレは魚を咥えたまま、水面から長い首を伸ばしました。


4人 「恐竜!?」

アンナ「プレシオサウルスです。」


アンナ「心配いりません。アレは魚しか食べません。」

4人 「・・・・・・」


 プレシオサウルスは次々と魚を丸呑みにします。


     *


 しばらくすると、プレシオサウルスは魚を食べ終えて、岸辺近くから離れていきました。


令奈 「あんなのがいるの?」

アンナ「はい。わたしも最初に見たときは驚きました。」

菜々子「ものすごい動画が撮れた。」

美波 「スクープ映像だよ。」

秋恵 「異世界恐るべしだね。」


*    *    *


 わたしは湖畔の平らなところに天幕・椅子・テーブル・トイレを出しました。


アンナ「おやつにしましょう。」


 わたしは、おやつと紅茶の準備をしました。


 おやつはドイツのお菓子、シュネーバルです。


シュネーバル

 小麦粉の生地を短冊状にして、適当に丸めます。それを油で揚げて、粉砂糖をかけます。

 ドーナツのようなお菓子です。名前は雪球という意味です。

 本来は雪球くらいの大きさですが、食べにくいので小さいものをたくさん作りました。


アンナ「お菓子は、手で食べてください・・・いただきます。」

4人 「いただきます。」


令奈 「甘くて美味しい。」

菜々子「口の中でほろほろ崩れる。」

美波 「紅茶に合うね。」

秋恵 「うん。美味しい。」


 皆さんはお菓子を食べながら、異世界の生き物について話をしていました。


*    *    *


5人 「ごちそうさまでした。」


アンナ「皆さん、トイレのあとに防寒着を着てください。また寒いところに行きます。

    日が暮れる前に、あと2カ所行く予定です。」


アンナ「なんだか慌ただしいしくて、すみません。」

令奈 「そんなことないよ。たくさん見て回れるから感謝してる。」

菜々子「普通は、観光地の移動で時間がかかるからね。」

秋恵 「魔法で移動時間がかからないのは、チートだよ。」

美波 「残り2カ所が楽しみ。」


 皆さんのその言葉が嬉しいです。


*    *    *


 皆さんはトイレのあと、防寒着を着用しました。


アンナ「それでは皆さん、魔法で移動します。いいですか・・・行きますよ。」


 わたしは千里眼で転移先を確認して・・・


アンナ「転移」




 転移先は、雪が降る銀世界でした。

*プレシオサウルスは恐竜ではなく、首長竜です。

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