235 秋です 1
ここは飛行島です。
夏が終わり、涼しくなってきました。なんだか空が高く感じます。
今わたしは、朝のランニングをしています。庭園内の木々が色づき始めました。
数日前まで忙しかったのが嘘のような穏やか日々です。
修学旅行は人数が多いので大変でした。
A組とB組のあとは、C組とD組、E組とF組のツアーを実施しました。観光地と料理の内容はほぼ同じです。
陽子さんがいたので本当に助かりました。大きなコテージを建てたのも正解でしたね。
客室のシングルベッドはキングサイズのベッドに入れ替えて、通常のツインルームに戻しました。
ダイニング、リビング、テラスのテーブル等も片付けて通常に戻しました。
修学旅行9日間の収益は合計で約2800万円です。すごい金額です。
ツアーガイドはとても楽しかったです。半年ぶりに学生気分を味わうことが出来ました。
*
あの日からもう半年が経ったわけですね。
あれは、二年生に進級して間もないころ、下校途中で100円コンビニに行くため、道路を渡るときの出来事でした。
横断歩道の信号が緑になり、歩き始めたとき・・・
ドン・・・
えっ? 一瞬なにが起きたのか理解出来ませんでした。
意識が薄れる中で、衝突したのが自転車だとわかりました。
自転車は車道の信号を無視したのです。しかも右側走行でした。
わたしは怒るというより呆れました。
事故の相手は同じクラスの男子生徒です。名前は・・・覚えていません。
わたしは意識を失い、次に目を開けると天界にいて、目の前にはローラがいました。
それが異世界生活の始まりです。
*
さて、ランニングが終わり、軽く筋トレとストレッチしてシャワーを浴びました。
そのあとダイニングに行くと、幼女ローラがいました。マオをなでなでしています。
最近ローラは、ここに来ることが多くなりました。
ローラ「お腹がすいたわ」
アンナ「わたしもです。陽子さん、朝食にしましょう」
陽子 「はい」
今日の朝食は、鳥肉と根菜の炊き込みご飯、サンマの塩焼き、ジャガイモと玉ネギのみそ汁、スイカの漬物です。スイカは、緑色の固い部分を浅漬けにしたものです。味はウリと同じです。
マオには、フードとお水、サンマを少しあげました。
三人「いただきます」
パクパク・・・
ローラ「お味噌汁に豆乳を入れたのね」
アンナ「はい、豆乳を入れるとコク出て、味がまろやかになります」
ローラ「それからスイカの漬物が美味しいわね」
アンナ「はい、夏に食べたスイカです。皮を捨てるのはもったいないです」
ローラ「ところで、朝ごはんのあとは何をするの?」
アンナ「ファームと街に行く予定です」
ローラ「私も行くわ」
アンナ「わかりました」
*
朝食が終わりました。
三人 「ごちそうさまでした」
陽子さんが食器をを片付けます。
わたしはマオをキャリーバッグに入れました。
アンナ「マオ、これからお出かけしますよ」
マオ 「ミャー」
マオのキャリーバッグは陽子さんが持ちます。
私たちはコテージを出て、温帯ファームに向かいます。
アンナ「これから、キノコ狩りと栗拾いをします」
ローラ「面白そうね」
本来はゴーレムが作業をしていますが、秋を楽しむために自分で収穫がしたいです。
わたしは二人にバスケットを渡して、森に入りました。
マオはキャリーバッグから出して自由にしました。わたしの後ろをトコトコついて来ます。
わたしは見つけたキノコを次々とバスケットに入れます。
*
30分が経ちました。
ローラ「いっぱい採れたわ」
アンナ「わたしもです」
三人とも、バスケットいっぱいのキノコが採れました。
シイタケ、シメジ、マイタケ、エリンギ、マッシュルーム、5種類のキノコです。
わたしはバスケットを回収しました。
そして森を出たあと、栗の林に向かいます。
わたしは、二人に空のバスケットを渡します。
ローラ「いっぱい落ちているわね」
アンナ「はい」
三人で栗拾いを始めます。
手は結界でコーティングしたので、手袋や道具は必要ありません。
マオは落ちている栗のイガに興味津々です。
ローラ「マオちゃん、とげとげに触ると痛いわよ」
マオはイガを見つめて、そーっと前足を伸ばします。
チクッ。
マオはびっくりして飛び上がりました。
マオは栗のイガに懲りて、わたしの足元でスリスリしています。
栗拾いも順調です。
*
30分が経ちました。
ローラ「重いわ」
陽子 「ローラ様、私がお持ちします」
ローラ「ありがとう」
陽子 「たくさん採れました」
アンナ「わたしもです」
わたしはバスケットを回収しました。キノコも栗もたくさん収穫できました。
そしてマオはキャリーバッグに入れました。
アンナ「陽子さん、キャリーバッグを持ってください」
陽子 「はい」
アンナ「アンナミラの村に向かいます・・・転移」
* * *
私たちはファームからアンナミラの村に転移しました。
まずはジミー村長に会うため、村役場に向かいます。
村役場の前に来ました。すると向こうから・・・
ジミー「アンナさん、おはようございます」
アンナ「おはようございます」
ジミー「甜菜の収穫が始まったので、畑を見に行っていました」
アンナ「そうでしたか」
ジミー「今日は何かご用ですか?」
アンナ「先日は旅行の見学に協力していただき、
ありがとうございました。
今日はそのお礼を兼ねて植樹をするためにきました。
森の一部を切り開いて果樹を植えてもいいですか?」
ジミー「どのような果樹ですか?」
アンナ「栗と柿です」
ジミー「栗はわかりますが、柿は渋くて食べられませんよ」
アンナ「甘い品種の柿です」
わたしはアイテムボックスから、切って皮を剥いた柿を出しました。
アンナ「食べてください」
ぱくっ。
ジミー「美味しい・・・甘い品種があるのは知りませんでした」
アンナ「植樹可能な場所を教えてください」
ジミー「はい、案内します」
私たちはジミーさんの案内で森に向かいます。
ジミー「この辺りは伐採しても構いませんが、
ここの木は建築資材に使えます。
いただいてもいいですか?」
アンナ「はい、そのつもりです」
伐採作業を始めます。




