216 修学旅行2日目です 9
ここは飛行島の庭園です。
おやつが終わりました。
食器の片付けをしていると、ドラゴンの接近を感知しました。
アンナ「ドラゴンが接近しています。ですが心配は、いりません」
生徒 「ドラゴン?」
志村 「アンナさん、大丈夫ですよね?」
アンナ「はい、大丈夫です」
見えました。グリーンドラゴンです。
飛行島の上空を旋回飛行しています。
男子 「すげえ、ドラゴンだ」
男子たちはスマホで写真を撮っています。
ローラ「来たわね」
グリーンドラゴンは、ゆっくりと降下して広場に着地して、翼をたたみました。
わたしはローラと一緒にドラゴンに近づきます。
志村 「みんなは近づかないように」
高木 「ローラちゃん、危ないわよ」
ローラ「大丈夫よ」
生徒と先生は遠巻きにドラゴンを見ています。
ドラゴンは頭を降ろします。
ローラは小さな手でドラゴンの頭に触れました。
なでなで・・・
ドラゴンは目を細めて喜んでいます。猫みたいです。
ローラ「ビールが飲みたいって、言っているわ」
アンナ「はい」
わたしはアイテムボックスから木樽で作ったエールを出しました。
上蓋を取り、切ったホップを大量に入れます。
エールが泡立ち、ホップの香りがします。
ローラ「いい香りね・・・飲んでいいわよ」
ドラゴンは即席ビールを飲み始めました。
わたしはバナナの葉を敷いて、イノシシの丸焼きを出します。
今回の丸焼きは以前とは違います。お腹の中にピラフが詰め込んであります。
米、野菜、内臓をコンソメで炊いたものです。
アンナ「どうぞ」
ローラ「食べていいわよ」
バリバリ、パクパク・・・
骨ごと美味しそうに食べています。
ローラ「美味しそうね。私も食べたいわ」
今おやつを食べたばかりですよね。
陽子 「お取りします」
陽子さんは、アイテムボックスからナイフを取り出し、肉を切り分けます。
そして皿に肉とピラフをもりつけて、先割れスプーンと料理をローラに渡しました。
ローラ「陽子ちゃん、ありがとう」
わたしはテーブルと子供用のイスを用意しました。
アンナ「座ってください」
ローラ「ありがとう」
パクパク・・・
ローラ「美味しい・・・ビールが飲みたいわね」
さすがにそれは、まずいです。
アンナ「アイテムボックスに入っています。
ビールは天界に召喚してください」(小声)
ローラ「わかったわ」
いつの間にか男子が近くに来て、ドラゴンを触ったり、写真を撮っています。
男子 「すげえ」
男子 「かっこいい」
男子 「本物のドラゴンだ」
男子 「ワイバーンとは全然違う」
男子がペタペタ触っていますが、ドラゴンは気にせず食べたり飲んだりしています。
女子も近づいてきて、ドラゴンに恐る恐る触っています。
それにしても、タイミングがいい来訪ですね。
ひょっとしたら、ローラが招いたのかもしれません。そんな気がします。
*
ドラゴンの飲食が終わりました。
ローラ「美味しかったって、言っているわ」
アンナ「ありがとうございます」
ドラゴンは体を起こして身震いをしました。
からん。
鱗が一枚落ちました。
ドラゴンは爪の先で鱗をつまみ、わたしに差し出します。
ローラ「もらっておきなさい」
アンナ「はい」
アンナ「いただきます」
エメラルドのような、きれいな鱗です。
アンナ「写真を撮ってもいいですか?」
ローラ「大丈夫よ」
わたしはドラゴンの前に結界で作った台を設置します。
アンナ「A組の皆さん、写真を撮ります」
撮影の用意ができました。
アンナ「撮ります」
カシャ。
アンナ「次はB組の撮影をします」
撮影の用意ができました。
アンナ「陽子さん、お願いします」
陽子 「はい」
陽子 「撮ります」
カシャ。
ドラゴンは2回ともカメラ目線でした。
アンナ「ドラゴンさん、ありがとうございます」
ドラゴンは翼を広げます。
アンナ「いつでも来てください。歓迎します」
ドラゴンは、ゆっくりと上昇します。
生徒 「バイバーイ」
生徒は手を振っています。
ドラゴンは飛行島の上空を一回だけ旋回飛行して、飛び去って行きました。
女子 「アンナさん、それ見せて」
アンナ「はい、どうぞ」
わたしは女生徒にドラゴンの鱗を渡します。
女子 「きれい、思ったよりも軽い」
女子 「私も見たい」
女子の皆さんは、ドラゴンの鱗に興味津々です。
加藤 「すごかったですね」
高木 「驚きました」
志村 「ハラハラしました」
女生徒から鱗を返してもらいました。
アンナ「ツアーを再開します。皆さん集合してください」
わたしはMTVを出します。陽子さんとは打ち合わせが済んでいます。
生徒が全員揃ったので、MTVに搭乗しました。
MTVはゆっくりと上昇します。
アンナ「移動します・・・転移」