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215 修学旅行2日目です 8

 ここは、大陸から離れた海の上空です。


 私たちは、天然の水族館を見たあと、南の群島から転移してきました。


男子 「火山?」

アンナ「はい、火山島です」


 島の火山は噴火をしています。火口からは溶岩や噴煙が出ています。

 そして真っ赤の溶岩は海に向かって流れています。

 わたしは動画の撮影を開始します。


 島の直径は約2km、中央に火山があります。

 日本で数年前に噴火が始まった西之島(にしのしま)に似ています。

 わたしは風下(かざしも)を避けて、火山島の周囲を旋回飛行します。


男子 「すげえ・・・」


志村 「かなり近いけど、大丈夫ですよね?」

アンナ「はい。噴石に当たっても、このMTVは壊れたりしません」


 MTVは、噴石や有毒ガスがあっても平気です。噴火の直撃でも耐えられます。


 わたしは、ギリギリまで火口に近づきました。


ローラ「昔を思い出すわね」


 見た目は5歳ですよ。昔を語られても・・・

 天地創造を思い出しているのかもしれませんね。


志村 「火山の噴火を間近で見ることは貴重な体験です」


 わたしは、火口付近をしばらく飛行しました。


志村 「今度は島の地上と溶岩を間近で見たいです」

アンナ「わかりました」


 わたしは、火口付近から(ふもと)に向かって飛行します。

 山と島の地表は冷えて固まった黒い溶岩で覆われています。


 海岸に来ました。


男子 「海が茶色になってる」

アンナ「噴火の影響で海水の一部が変色しています」


志村 「海の中に入れますか?」

アンナ「はい」


 今度は海中に入ります。


女子 「なにあれ?」


 直径1mくらいの丸い石がたくさん転がっています。


アンナ「あれは枕状溶岩です。出来るところを見に行きましょう」


 わたしは、島の周囲に沿って海中を進みました。


男子 「すげえ」

アンナ「ここが流れている溶岩の先端です」


 海水で冷えた溶岩の壁から、赤い溶岩が飛び出し、枕状溶岩を形成しています。


男子 「こうやって出来るのか」

女子 「面白い」

志村 「すごい光景です」


 わたしは溶岩を鑑定しました。


アンナ「これは、高温で流動性が高いパホイホイという種類の溶岩です」

女子 「パホイホイ、面白い名前」


 私たちは、しばらく溶岩の様子を眺めていました。


ローラ「おやつが食べたいわ」


 幼女ローラは()きたようです。


アンナ「わかりました」


 午後3時を過ぎました。おやつにしましょう。


ローラ「おやつは飛行島の庭園で食べたいわ」

アンナ「はい」


 わたしは陽子さんに連絡をしました。

 MTVは浮上させて離水、ゆっくり上昇します。


志村 「僕も、生徒も、いい体験が出来ました」

アンナ「それはよかったです」


アンナ「この火山島は、もっと大きくなるかもしれません。

    あるいは、島が陥没してカルデラを形成するかもしれません」


アンナ「もし、噴火が収まり島の形状を維持できれば、

    やがて鳥が種を運び、植物が育ち、新しい生態系できる

    可能性があります」

志村 「夢がありますね」

アンナ「はい・・・次は飛行島に戻って、おやつにします」

志村 「わかりました」


アンナ「飛行島に戻ります・・・転移」



*    *    *



 飛行島の上空に転移しました。

 MTVはゆっくりと降下して着地します。


アンナ「お疲れ様でした」


 志村先生が先に降りて、生徒が続きます。

 わたしはマオのキャリーバッグを持って、最後に降りました。

 MTVは収納します。


 わたしは庭園の芝生の上にテーブルとイスを出します。


アンナ「皆さん、座ってください」


 わたしは、おやつを出しました。

 マオにも子猫用のおやつを用意します。


     *


 今日のおやつはスウェーデンの伝統菓子セムラです。


セムラ

 まず、カルダモンを練り込んだブリオッシュタイプのパンを焼きます。

 パンの上部を切り、マジパンと生クリームを盛り付けます。

 その上に切ったパンをのせて、粉砂糖を振りかけたら完成です。


 日本でも、小さなセムラを売るお店がありますが、今回作ったのは北欧サイズの大きめです。

 本来はイースター前の断食前日に食べるそうですが、ここは異世界なので気にしません。

 ちなみに北欧では、お菓子を食べながら会話を楽しむコーヒーブレイクをフィーカと言います。

 スウェーデン語のカフィー(コーヒー)を逆さにした言葉です。


     *


女子 「シュークリームかな?」

女子 「マリトッツォ?」


アンナ「このお菓子はセムラといいます」

女子 「セムラ・・・」

女子 「初めて聞く名前ね」


アンナ「飲み物はコーヒーがおすすめですが、

    好きなものを飲んでください」


アンナ「いただきます」

全員 「いただきます」


 ぱくっ。


女子 「美味しい」


 わたしは、おやつの説明をしました。


女子 「パンがちょっとスパイシーだよね」

女子 「こんなパン初めて」

女子 「アーモンドのペーストが入ってるよ」

女子 「ほんとだ」


ローラ「このお菓子、コーヒーに合うわね」

陽子 「ローラ様、お(くち)の周りにクリームが・・・」


 ふきふき・・・


ローラ「陽子ちゃん、ありがとう」


     *


女子 「水族館と火山島、面白かったね」

女子 「うん」


 スマホの写真を見ながら会話をしている生徒が多いです。

 先生方も同様に楽しい会話をしています。

 皆さん、フィーカを楽しんでいます。


     *


 おやつが終わりました。


アンナ「ごちそうさまでした」

全員 「ごちそうさまでした」


 わたしは食器を片付けます。


 ん? 何かが飛行島に近づいてきます。

 この反応は・・・




 ドラゴンです。

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