214 修学旅行2日目です 7
ここは、南の群島です。
私たちは鳴き砂の海岸から転移してきました。
そして海岸から海中にチューブ状の結界を張り巡らせて、即席の水族館を作りました。
わたしはA組を旗を持ち、先頭を歩いてチューブの中に入ります。
中は海水の影響で涼しいです。
生徒も続いて入ってきます。A組の最後尾は志村先生です。
女子 「うわー、きれい」
女子 「水族館だ」
男子 「すげえ」
アンナ「自由に見学してください」
チューブは通路だけではなく、広い空間も作ってあります。
上下左右すべて海です。要望があれば、チューブの延長も可能です。
わたしは案内をしながら撮影をします。
ローラ「面白いわね、水族館。きれいな魚がたくさんいるわ」
アンナ「はい。わたしもこの海が好きです」
浅瀬にはサンゴ礁が広がっています。
赤、青、黄色の小魚がたくさん泳いでいます。
わたしは、魚の鑑定をしてみました。
ナンヨウハギ、ヒレナガハギ、キンギョハナダイ、アカネハナゴイ、モンガラカワハギ、チョウチョウウオ、ハタタテダイ、ルリスズメダイなど、地球にも生息している魚が多いです。
ローラが気に入り、転生させたのかもしれません。
ん? 鑑定出来ない魚がいます。10cmくらい、尾ヒレが大きい虹色の魚です。新種ですね。
ローラ「アンナ、あの魚に名前をつけて」
アンナ「何かいい名前・・・虹・・・」
アンナ「ニジノハゴロモ・・・どうでしょうか」
ローラ「いい名前ね」
鑑定をすると、ニジノハゴロモになりました。
わたしは、アイテムボックスから小さなハイテーブルを出しました。結界で水槽を作ります。
アンナ「転移」
ちゃぷん。
ニジノハゴロモを海水ごと転移させました。
アンナ「皆さん、異世界の魚です。近くで見てください」
女子 「なになに」
女子 「見たい」
皆さん、集まって来ました。
女子 「きれい」
男子 「異世界らしいな」
生徒の皆さんはスマホで写真を撮っています。
もし地球にもいたら、人気が出ますね。
ニジノハゴロモを一通り見たので、わたしは海に返しました。
女子 「ねえアンナさん、向こうのサンゴを近くで見たいんだけど」
アンナ「わかりました」
わたしはチューブを延長して、サンゴを上から見えるようにしました。
女子 「ありがとう」
この海は、魚だけではなく、サンゴの種類も豊富なので見応えがあります。
*
わたしはサンゴを見ながら、奥に進みます。
砂地の海底が見えてきました。
女子 「チンアナゴがいる」
女子 「かわいい」
砂地から上半身を出しているチンアナゴがたくさんいます。
向こうにはカラフルなニシキアナゴがいます。
ローラ「かわいいわね」
アンナ「はい、かわいいです」
他には、エイ、ハコフグ、赤と白の小さなエビ、赤や青のヒトデがいます。
頭を下にして泳ぐヘコアユの群れがいました。面白いです。
大きな魚がやって来ました。
女子 「なにあれ?」
女子 「大きい」
全長1.5m、青緑色で、頭にコブがあります。
アンナ「あれはメガネモチノウオ、通称ナポレオンフィッシュです」
アンナ「一緒に写真を撮りましょう」
女子 「うん」
わたしは二人の女子とナポレオンフィッシュの写真を撮ります。
カシャ。
女子 「ありがとう」
*
今度は岩場のところにやって来ました。
ここにも生き物がたくさんいます。
岩の隙間に、ウツボがいます。黒と黄色の模様がきれいです。
青いロブスターもいます。
他には、ベラ、ブダイ、カニ、タツノオトシゴ、カラフルなウミウシ、イソギンチャクがいます。
クマノミがいました。
ローラ「あの魚、近くで見たいわ」
アンナ「わかりました」
わたしは、クマノミの近くまでチューブを延長しました。
ローラ「かわいいわね」
アンナ「はい、かわいいです」
女子が数人やって来ました。
女子 「クマノミがいる」
女子 「かわいい」
クマノミは人気がありますね。
女子 「あれ見て」
女子 「何あの魚、すごい色」
40cmのカラフルな魚です。色は水色、ピンク、緑色です。
異彩を放っています。絵の具かペンキで描いたようです。
アンナ「あれは、キヌベラです。日本にもいますよ」
女子 「日本にいるの?」
アンナ「はい。九州、沖縄、小笠原諸島に生息しています」
女子 「この魚が日本にいるって、すごいね」
女子 「うん」
ローラ「キヌベラ、きれいね」
*
高木先生と加藤先生が近づいてきます。
高木 「アンナさん、この水族館すばらしいです」
アンナ「ありがとうございます」
加藤 「水族館は普通、海を再現したものですが、
ここは天然の海ですからね。すごいです」
*
天然の水族館は、生徒や先生からの評判がいいので、長めの時間を取り見学を続けました。
生徒の要望に応じてチューブを延長したり、写真も撮りました。
人が少ないところでは、マオを降ろして遊ばせました。
マオは魚を追いかけたり、飛びかかろうとしたり、楽しそうです。
*
私たちは、1時間以上水族館を楽しみました。
そしてチューブを出て、海岸に戻ります。
男子 「外、暑い」
全員、チューブから出ました。
わたしは魚を驚かせないように、チューブ結界を少しずつ解除します。
女子 「消しちゃうの?」
アンナ「はい」
女子 「もったいない」
アンナ「お魚さんの邪魔になります」
女子 「そうよね」
チューブ結界の解除が終了しました。
次の行き先は、陽子さんと決めてあります。点呼も終わり、私たちはMTVに戻りました。
マオは、キャリーバッグに入れました。
MTVはゆっくりと上昇します。
アンナ「次の場所に移動します・・・転移」