211 修学旅行2日目です 4
ここは巨木の森です。
ジャイアント・トロールの木の近くにいます。
記念撮影を終えて、生徒たちは自由に散策しています。
高木 「この木、すごいですね」
志村 「僕も下見のときは驚きました」
加藤 「私もです」
A組の生徒が何やら面白いことを始めました。
生徒が手をつなぎ、ジャイアント・トロールの木を囲むようです。
男子 「先生、手伝って」
私たちも参加します。
しかし、わたしが参加すると撮影ができないので、陽子さんとローラにも参加してもらいます。
それでも人数が足りません。仕方がないので、B組の生徒4人に手伝ってもらいました。
結局、木を囲むのに40人が必要でした。やはり大きいですね。
アンナ「写真を撮ります」
カシャ、カシャ、カシャ・・・
B組もやりたいと言うので、同様に木を囲み、わたしは撮影しました。
撮影のあと、B組も自由に散策をします。
わたしは、陽子さんとローラの三人でマオと遊びます。
マオはとても楽しそうです。
*
30分経ちました。
アンナ「集合してください」
クラスの班ごとに集まり、人数を確認します。
全員揃っています。わたしはトイレを収納しました。
私たちはMTVに搭乗します。最後に志村先生が搭乗して、タラップを上げました。
アンナ「出発します」
MTVはゆっくりと浮上して巨木の森を飛行します。
木と木の間隔が広いので大型のMTVでも飛行に支障はありません。
女子 「森の中を飛んでる」
女子 「すごいね」
女子 「SF映画かアニメみたい」
女子 「だよね」
しばらく飛行したあと、わたしは陽子さんに連絡をします。
アンナ「もうすぐ目的地です」
陽子 「わかりました」
見えてきました。
アンナ「皆さん、前方を見てください」
トロールが森の中を歩いています。
トロールは、高さ18mです。全身が赤茶色の体毛で覆われています。
顔は鼻だけが少しだけ見えていますが、目と耳と口はほとんど見えません。
女子 「巨人?」
男子 「すげえ」
アンナ「巨木の森に住む魔物、トロールです」
MTVは、トロールの周囲を旋回飛行します。
生徒の皆さんは写真を撮っています。
女子 「そんなに近づいて大丈夫?」
アンナ「はい、大丈夫です」
トロールは私たちのことをまったく気にしません。
わたしはMTVを地面すれすれに飛行させます。
下から見上げるとトロールの大きさが実感できます。
女子 「大きい」
女子 「すごいね」
*
トロールは充分に見学できました。
わたしは陽子さんに連絡をします。
アンナ「次の移動先は******」
陽子 「わかりました」
わたしはMTVを上昇させます。B組もついてきます。
巨木の森の上空に出ました。
アンナ「次の場所に移動します・・・転移」
* * *
私たちは草原の上空に転移しました。
近くに魔物が住む森があります。
森の中を大型のMTVで飛行するのは困難ですが、森のすぐ外側には魔物がいます。
魔物を見学するには都合がいいです。
わたしはMTVの降下させます。やはり異世界に来たら、定番の魔物は見ておきたいですよね。
アンナ「あれを見てください」
男子 「ゴブリンか?」
アンナ「はい、そうです」
わたしは2体のゴブリンに近づきます。
ゴブリンは大きさは120cm、全身が緑色です。
2体は腰巻きを身に付け、棍棒を持っています。
わたしはMTVを着地させました。
ゴブリンが武器を襲いかかってきますが、平気です。
男子 「体格は子供なのに、顔はおっさんだな」
女子 「なんか怖い」
男子は面白がっていますが、女子はドン引きです。
ローラを見ると、ちょっと不機嫌そうな顔をしています。
追い払ってはダメですよ。これは見学ですから。
そろそろ交替しましょう。B組も近くから見たいはずです。
わたしはMTVを上昇させ、陽子さんに連絡をします。
アンナ「B組もゴブリンを近くで見てください」
陽子 「わかりました」
今度はB組のMTVがゴブリンに近づきました。
その間にわたしは魔物について説明をします。
アンナ「異世界には、魔素と呼ばれる微粒子が存在します。
その魔素の影響で独自の進化を遂げた生物が魔物です。
魔物の体内には魔石があり、特殊な能力を持っています。
ちなみに、ゴブリンは大きな目と鼻を持ち、視覚と臭覚に優れています」
B組のゴブリン見学が終わったようです。
わたしは陽子さんに連絡をします。
アンナ「陽子さん、次の場所は******」
陽子 「わかりました」
アンナ「次の場所に移動します・・・転移」
* * *
少し離れた草原に転移しました。
そしてMTVを光学迷彩にしました。わたしは地上にいる魔物に近づきます。
アンナ「あれをご覧ください」
女子 「ウサギ?」
アンナ「角ウサギと言う魔物です」
角ウサギは、全長1m、全身が薄茶色です。
アンナ「角ウサギは2種類います。一本角のアルミラージと、
いま目の前にいるジャッカロープです」
アンナ「ジャッカロープは、鹿のような二本の角を持っています。
特殊能力は、優れた聴覚と俊敏性です。
走る速さは、時速100kmを超えます」
男子 「すげえ」
アンナ「それから、角ウサギには鋭い爪と牙があり、雑食性で
何でも食べます」
ローラ「見た目だけは、かわいいのよね」
角ウサギが動き出します。
森からゴブリンが出て来ました。それに気付いたようです。
角ウサギが走り出しました。ゴブリンは慌てて森に逃げて行きます。
男子 「なんだ、あの速さ」
たぶん逃げ切れないと思います。
ゴブリンと角ウサギは森の中に姿を消しました。
男子 「冒険者って、あんなのと戦うのか?」
アンナ「そうですよ」
男子 「俺、角ウサギって雑魚の魔物だと思ってた。
冒険者になるのは絶対無理だ」
高校を卒業したら、冒険者になるつもりですか。諦めてください。
魔法が使えないと、角ウサギを討伐するのは大変です。
*
わたしは千里眼で新たな魔物を発見したので、陽子さんに連絡をしました。
MTVの光学迷彩は解除します。
アンナ「次の場所に移動します・・・転移」




