205 修学旅行初日です 13
205 修学旅行初日です 13」
ここはサンローラの街です。
私たちA組は職人街の見学が終わりました。
そして今、氷屋に到着したところです。
スミスさんと従業員が店頭にいます。
アンナ「スミスさん、こんにちは」
スミス「アンナさん、いらっしゃい」
アンナ「工房を見学してもいいですか?」
スミス「いいですよ、工房にはライラがいます」
女子 「アイス売ってるよ」
女子 「イケメン」(小声)
スミスさんは美形のダークエルフです。10代に見えますが、実際は51歳です。
アンナ「アイスクリームを買うのは自由ですが、
午後6時ごろ夕食にします」
女子 「どうする? アイス買う?」
女子 「アイテムボックスに入れて、お風呂上がりに食べる」
女子 「私も、そうしよう」
女子は皆さんアイスクリームを買っています。
女子 「トートバッグに氷を入れて持ち帰る人がいるよ」(小声)
アンナ「地球のトートバッグはアメリカ発祥ですが、
元々氷を運ぶために作られたバッグです」
女子 「そうなの、知らなかった」
アンナ「ここで買った氷は、自宅やお店で食品を冷蔵保存するために
使われています」
アンナ「それでは工房に行きましょう」
女子はアイスクリームを買っているので、わたしは男子を連れて工房に入ります。
工房には、ライラさんと従業員がいます。
アンナ「ライラさん、こんにちは。見学いいですか?」
ライラ「どうぞ」
男子 「おお・・・」
男子 「かわいい」(小声)
ライラさんは美形のダークエルフです。10代に見えますが、実際は45歳です。
男子がショックを受けるといけないので、年齢は言わないことにします。
アンナ「ライラさん、氷を作るところを見せてもらっていいですか?」
ライラ「いいですよ」
ライラさんが台の上に手をかざします。
四角柱の氷がみるみる成長していきます。
完成しました。
男子 「おお・・・」
アンナ「このように、空気中の水分を集めて氷を作ります。
魔法射撃のアイスジャベリンと基本的に同じです」
アンナ「ライラさん、冷蔵箱を見せてください」
ライラ「はい」
私たちは冷蔵箱を見せてもらいます。
アンナ「これが冷蔵箱です。木製で、中は金属板が張ってあります。
上の段に氷を入れて、下の食品を冷やします」
アンナ「日本でも昭和の時代、電気冷蔵庫が普及する前は、これと
同様のものがあったそうです」
男子 「そうなんだ」
わたしは残り半数の生徒を入れ替えて、氷屋の説明をしました。
*
そのあと私たちは、パン屋、肉屋、食堂を簡単に見学しました。
いま猫耳亭に向かっています。
ポロロ、ポロロ、ポロロ・・・
陽子さんからの連絡です。
陽子 「B組は村の見学が終わりました」
アンナ「A組も街の見学がもう少しで終わります。
B組は飛行島に戻ってください」
陽子 「わかりました」
猫耳亭に到着しました。
もう夕食の時間です。忙しいので中に入ることは出来ません。
女子 「いい匂い」
男子 「カレーの匂いがする」
男子 「行列が出来てる」
女子 「お皿を持っている人がいるけど?」
アンナ「はい。近所に住んでいる人が料理を持ち帰って自宅で食べます」
女子 「なるほどね」
男子 「腹減った」
女子 「私も」
アンナ「私たちも夕食にしましょう」
*
私たちA組は、転移魔法で飛行島に帰ってきました。
夕焼けがきれいです。星も見えています。
女子 「きれいな夕陽」
女子 「写真撮ろうよ」
アンナ「これから夕食にします。撮影が終わったらダイニングに集まってください」
女子 「はーい」
私たちはコテージに入りました。
わたしはダイニングの窓際にペットサークルを出しました。そしてマオを入れます。
マオは伸びをしています。
わたしはマオにフードとお水をあげました。
夕食の準備をしましょう。
*
夕食はフィンランド料理です。
ロヒケイット、リハプッラ、ロソッリ、ムスティッカピーラッカ、パンです。
ロヒケイット
鮭のクリームスープです。
作り方は、まずニンジン、ジャガイモ、玉ネギをブイヨンに煮込みます。
野菜に火が通ったら、ぶつ切りの鮭と生クリーム、バター、調味料、香辛料などを加えます。
鮭に火が通ったら、器に盛り付けてディルをかければ完成です。
リハプッラ
北欧風のミートボールです。
作り方は、まず最初に茹でたジャガイモを荒く潰しておきます。
玉ネギのみじん切りを飴色になるまで炒めます。
そして合挽き肉と潰したジャガイモ、飴色玉ネギ、生クリーム、調味料、カルダモンなどを混ぜて、肉団子を作ります。
肉団子はフライパンで焼きます。焼き上がったら、器にのせてグレービーソースをかけます。
付け合わせはマッシュポテトです。
ロソッリ
北欧風のチョップドサラダです。
最初にゆで玉子を作ります。
次はソース作りです。軽く泡立てた生クリームに酢、塩、砂糖を混ぜてクリームソースを作ります。
そのあと、1cm角のジャガイモとニンジンを蒸します。ジャガイモは黄色で甘味がある品種です。
蒸し上がったら、同じ大きさに切ったリンゴとビーツを混ぜて、軽く塩をふります。
器に盛り付けて、クリームソースをかけます。
最後に、切ったゆで玉子をのせて、ディルをかければ完成です。
ムスティッカピーラッカ
ブルーベリーのタルトです。
最初にタルト生地を作ります。材料は小麦粉、バター、砂糖、卵です。
それらを混ぜて、出来た生地をタルト皿に伸ばて、オープンで仮焼きをします。
次はフィリングです。
本来はケルマヴィーリという乳製品を使うのですが、どういうものかよくわかりません。
今回は水切りヨーグルトで代用しました。
材料は、ヨーグルト、砂糖、卵です。それらをよくまぜます。
そして、焼いたタルト生地にフィリングを流し込み、ブルーベリーをのせます。
それをオーブンで30分くらい焼いたあと、冷やして完成です。
ハパンリンップ
フィンランドでパンと言えば、ライ麦パンが有名です。
ハパンリンップは、ライ麦で作った円形の黒パンです。ほろ苦さと酸味があるのが特徴です。
ペルナリエスカ
酸味のあるライ麦パンが苦手な人もいるので、今回は別のパンも用意しました。
ペルナリエスカは、パン生地にジャガイモを混ぜてつくる薄焼きパンです。
作り方は、大麦粉にマッシュポテト、卵、塩を混ぜてパン生地を作ります。
パン生地は円形に薄く伸ばして、表面にフォークで穴を開けます。
オーブンで焼けば完成です。
焼きたては、中がしっとりしていて、ほんのり甘味があります。バターを塗って食べると美味しいです。
*
夕食の準備が出来ました。
おかわりも用意しました。
皆さん、着席しています。夕食はA組がダイニング、B組がテラスです。
アンナ「飲み物は各自出してください」
わたしは保温用の結界を解除しました。
アンナ「いただきます」