199 修学旅行初日です 7
ここは飛行島のコテージです。
生徒と先生は客室を確認しています。
わたしと陽子さんはダイニングにいます。
わたしはダイニングの窓際にペットサークルを出してマオを入れました。
テーブルとイスは準備してあります。
ダイニングだけで60人くらいの食事は可能ですが、少し狭く感じるので、テラスも利用します。
アンナ「陽子さんはダイニングの食事を並べてください。
わたしはテラスの食事を並べます」
陽子 「わかりました」
わたしはテラスに出ました。まずはテーブルとイスをきれいにします。
アンナ「クリーン」
そして、ランチョンマット、先割れスプーンと料理を並べます。
料理には保温の結界が張ってあります。
ダイニングとテラスには、おかわりコーナーを用意しました。
ウェディングパーティーのビュッフェで使った魔道具です。
昼食の準備が出来ました。
先生方がダイニングに入ってきました。生徒達も集まってきます。
アンナ「A組はテラス、B組はダイニングで食事をします。
夕食は逆にする予定です。同じ班の人にそう伝えてください」
アンナ「陽子さん、マオにフードとお水をあげてください」
陽子 「はい」
アンナ「先生方は窓際の席です」
その席からダイニングとテラス両方が見えます。
*
全員着席しました。
昼食はレバノン料理の「ハシュイー」です。
ハシュイー
鍋にブイヨン、米、牛粗挽き肉(米と同量)、刻んだ玉ネギ、塩、胡椒、シナモンなどを入れて作る炊き込みご飯です。
シナモンを入れると中東風になり、料理のいいアクセントになります。
この料理はレバノン風牛丼みたいなものです。
ハシュイーを盛り付けたあとは、上に目玉焼きをのせます。
付け合わせは、カリフラワー、アスパラガス、ジャガイモ、ニンジンなどの蒸し野菜とフムスを添えました。
ワンプレートランチです。
*
アンナ「おかわりは、あちらに用意してあります。飲み物は各自出してください」
わたしは料理の結界を解除しました。
アンナ「いただきます」
全員 「いただきます」
ぱくぱく・・・
男子 「うめえ」
男子 「肉多すぎだろ」
男子はものすごい勢いで食べています。
女子 「美味しい」
女子 「私、ダイエットのことは考えない」
そうです。ダイエットは日本に帰ってから考えてください。
わたしはA組とB組の生徒に料理の説明をしました。
*
わたしと陽子さんは、窓際の席で先生と一緒に食事をしています。
加藤 「このご飯、美味しい」
志村 「肉入りごはんにシナモン、意外に合いますね」
高木 「このペースト美味しい。これなんですか?」
アンナ「ひよこ豆のペーストです。フムスと言います。
中東諸国の料理です」
加藤 「野菜に合いますよね」
高木 「はい」
*
男子がおかわりを始めました。
一人の女子が恥ずかしそうに、おかわりしています。
恥ずかしいことはありません。堂々とおかわりしてください。
*
食事が終わりました。
アンナ「ごちそうさまでした」
全員 「ごちそうさまでした」
アンナ「恐れ入りますが、食器はクリーン魔法できれいにしてください。
食器の回収はわたしがします」
魔法を使うのは、あくまで異世界体験です。片付けを楽にするわけではありません。
*
さて、食後休憩のあとは街と村の見学をする予定です。
私たちは、街や村での迷惑行為について話し合っています。
志村 「迷惑行為の罰則は、本日午後の外出を禁止。
それは班ごとの連帯責任にしました」
加藤 「更に、不法行為のときは、停学や退学もあり得る
ということになりました」
アンナ「わかりました」
わたしが日本にいたとき、修学旅行の生徒による窃盗や落書きなどの器物損壊事件がニュースになっていました。
停学や退学は当然の処分と言えます。
*
アンナ「それでは街と村の見学に行きましょう」
わたしはマオをスリングに入れてたすき掛けにしました。
生徒達はコテージを出て、クラスごとに整列します。
人数が多いので、見学場所はクラスごに分かれます。
アンナ「陽子さん、B組は任せますね」
陽子 「はい」
わたしはA組の旗を持ちました。
アンナ「A組はこれからアンナミラの村を見学します。
魔法で移動します・・・転移」
* * *
私たちA組は、アンナミラの村に転移しました。
ここは村の広場です。近くに集会所があります。
B組は先にサンローラの街を見学して、その後アンナミラの村を見学する予定です。
アンナ「この村の名前はアンナミラと言います。
まだ出来て数ヶ月の新しい村です。
村の名前からもわかるように、この村の開拓には
わたしも関わっています」
あ、ジミーさんがいます。
アンナ「志村先生、あの人が村長さんです。挨拶に行きましょう」
志村 「はい」
アンナ「ジミーさん、こんにちは」
ジミー「アンナさん、いらっしゃい。今日から見学でしたね」
アンナ「はい。今回、見学の引率をする志村先生です」
志村 「志村です。お世話になります」
ジミー「ジミーです。この村の村長をしています。
今日は新しい村役場が完成したので、引っ越しをしているところです。
ご案内できず、すみません」
志村 「お忙しいところ、面倒をおかけします」
ジミー「アンナさん、村の中はご自由に見学してください」
アンナ「はい、ありがとうございます」
志村 「ありがとうございます」
ジミー「私はこれで失礼します」
ジミーさんは、荷車を引きながら大通りの方に向かいました。
アンナ「それでは、村をご案内します」