195 修学旅行初日です 3
ここは飛行島です。
私たちA組は広場の射撃場にいます。
アンナ「魔法射撃、終了です」
男子 「めっちゃ面白かった」
女子 「魔法やばいね」
私は、生徒が持っている魔道具の攻撃機能をロックしました。
それにしても、魔法射撃がこんなに盛り上がるとは思っていませんでした。
アンナ「これから庭園の自由見学にします。
30分経過したら、朝食を摂った場所に集合してください」
生徒達「はーい」
A組の生徒は庭園に向かいました。何人かは、飲み物を出して休んでいます。
陽子さんが見当たりません。きっとファームですね。
わたしは魔道具で陽子さんに話しかけます。
アンナ「陽子さんは、今ファームですか?」
陽子 「はい、温帯ファームにいます」
アンナ「A組は魔法射撃が終わりました。
ドラゴン型の的を残しておきます。必要なら起動して使ってください」
陽子 「わかりました」
わたしは庭園で見学しているA組生徒の写真を撮ります。
庭園では夏の花がまだ残っています。秋の花は少しずつ咲き始めています。
ダリア、コスモス、ヒガンバナ、キンモクセイ、キキョウ、リンドウ、オミナエシ、カワラナデシコなど。
ちょっと休憩にしましょう。わたしはイスに座ります。
マオはスリングから出しました。芝生の上で遊んでいます。
千里眼でA組の生徒を見てみましょう。皆さん、楽しそうに庭園を見学しています。
飛行島の端に何人かの生徒がいます。
男子が島から飛び降りる真似をしました。
女子 「キャー」
結界があるので落ちることはありません。
女子 「もう、ビックリするでしょ」
男子 「 ww 」
女子に怒られています。
わたしは冷たい麦茶を出して飲み始めました。マオにはお水をあげます。
A組の女子が二人、近づいてきました。
女子 「ここ、座っていいですか?」
アンナ「どうぞ」
女子 「私もお茶飲もう」
二人の女子はお茶を飲み始めました。
女子 「アンナさんって、何歳ですか?」
アンナ「17歳になったばかりです」
女子 「えっ、うちらと年一緒じゃん」
アンナ「はい、そうです」
女子 「ずっとここに住んでいるの?」
アンナ「異世界に来て半年くらいです」
女子 「その前は日本にいたの?」
アンナ「そうです」
女子 「どうしてこっちに来たの?」
アンナ「それは・・・・色々と事情がありまして」
女子 「・・・・・・」
暗い話になってしまいます。修学旅行にふさわしくありません。
女子 「子猫、かわいいね」
空気を読んでくれました。助かります。
女子 「この子、名前なんて言うの?」
アンナ「マオです」
女子 「かわいい」
*
A組の自由見学はそろそろ終わりです。生徒がわたしのところに集まってきました。
わたしは、スリングにマオを入れてたすき掛けにしました。
A組の生徒が全員揃いました。
アンナ「これから異世界農場の見学に行きます」
私たちはファームゲートに向かいます。
わたしは旗を持ち、先頭を歩きます。最後尾は志村先生です。
ゲートに着きました。
アンナ「2列に並んでください。これから緑の魔法陣に入ります。
転移先はファームです。転移したら、すぐに魔法陣から離れてください。
そうしないと、次の人が転移出来ません。注意してください」
アンナ「それでは行きます」
わたしは緑の魔法陣に入りました。
*
転移先は温帯ファームです。すぐに魔法陣から離れます。
生徒が次々と転移してきます。班長が指示を出しているので順調です。
最後に志村先生が転移してきました。
実際は、わたしの転移魔法で移動可能ですが、魔法陣の方がワクワクしますよね。
アンナ「ここは温帯の作物を栽培しているファームです。
地上ではなく異空間です。
時間が進むアイテムボックスみたいなところです。
広さは10km四方で、水田、畑、果樹園があります」
アンナ「作物は異世界独自の品種もありますが、
ほとんどは、地球と同じものです」
アンナ「今いる場所はファームの中心にある作物の集積所です。
収穫した作物は、わたしやツアー客用の食材に利用します。
当然食べきれないので、街で販売もしています」
アンナ「この空間には、害虫がいないので無農薬栽培をしています」
女子 「広いね」
女子 「いろいろ栽培しているみたいね」
アンナ「それでは移動しますが、歩くと時間がかかるので転移魔法を使います」
アンナ「よろしいですか・・・行きますよ・・・転移」
*
私たちは野菜畑の中にある空き地に転移しました。
アンナ「作業しているのは、人ではなくゴーレムです。
魔法で動くロボットみないなものです」
男子数人が農作業をしているゴーレムを見に行きました。
志村 「作業の邪魔をしないように」
男子はロボットが好きです。気になりますよね。実際には案山子みたいですが。
アンナ「天候はすべて魔道具で管理しています。
光学魔法で太陽や空を、水魔法で雨を、風魔法で風を起こしています」
志村 「SFみたいですね」
アンナ「はい」
女子 「あれは何?」
女子生徒が、離れたところにある木箱に指をさします。
ちょうどゴーレムが作業をしています。
アンナ「ミツバチの巣箱です。行ってみましょう」
みんなでハチミツの採取を見学します。
アンナ「ファームでは、受粉とハチミツを採取するために養蜂をしています。
これは重箱方式と言って、木箱を上下に重ねて巣箱にしています。
上の木箱にはハチミツが貯蔵されていて、
下の木箱ではハチが子育てをしています」
わたしはゴーレムが取り出した上の木箱を生徒に見せました。
アンナ「巣箱の中は、こうなっています」