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189 王都 1(別視点)

* 別視点 マギー side *


 いま私は、王都に向かう馬車の中にいます。


 もうすぐ王都ね。

 馬車の旅は快適だった。少し退屈だったけど。でも地獄のような忙しさのギルドに比べれば天国ね。

 料理も美味しかった。特に美味しかったのは、カレーライスね。肉は残念ながら干し肉だったけど、味は猫耳亭と一緒だった。

 カレールウを考案したアンナさんは偉大ね。街では相当売れているし、今回の献上品にも含まれている。カレーライスは王都でも流行しそうね。


     *


 馬車が停まった。王都に着いたみたい。

 

 いま門を(くぐ)って王都に入ったわ。街並みが見えてきた。王都に来るのは久しぶりね。


 話では、このまま公爵邸に向かうらしい。そして離れの屋敷に滞在するのね。

 私は平民だけどいいのかな。カベスカ公爵は、ただの貴族じゃないのよ、王の親族よ。


     *


 ここが公爵邸ね。到着したわ。

 メイドさんが馬車の扉を開けてくれた。馬車を降りてもまだ体が揺れているみたい。


ポール「マギー、すぐに着替えてくれ。これから拝謁のため、王城に向かう」

マギー「これからですか?」

ポール「そうだ。私も今聞いたところだ。陛下が献上品をご覧になりたいそうだ」

マギー「わかりました」 


 私は部屋を借りてドレスを着替えます。メイドさんが着付けや身だしなみを手伝ってくれました。

 ドレスの色は青色です。パーティーで着る派手なものではなく、よそ行きの服です。


 私は馬車に乗りました。

 王城に行くのは、私とお代官様と侍女一人です。

 私たちが乗る馬車以外に荷馬車が一台あります。献上品を積んだ馬車です。

 二台の馬車は、王城に向かいます。


     *


 王城に到着しました。

 私は馬車を降りました。


ポール「ここは貴族専用の通用口だ。本来は荷物搬入はできないが、

    献上品は搬入できる規則になっている」


 十人以上の王城職員がいます。ワゴンもたくさん並んでいます。

 職員は荷馬車から献上品を降ろしてワゴンに乗せます。そしてワゴンを押しながら職員は城の中に入って行きます。


担当官「ポール様、マギー様、ご案内いたします」

ポール「頼む」


 私たちは担当官について行きます。

 案内されたのは大広間です。献上品もそこに運び込まれ、テーブルに並べていきます。

 お代官様と担当官が目録と照合しています。


 献上品がすべて運び終わりました。ワゴンを押した職員は全員退室しました。


ポール「大丈夫だ。すべて揃っている」

マギー「お代官様、料理のレシピはどうされましたか?」

ポール「心配ない。すでに料理長に渡してある」

マギー「そうですか。わかりました」


ポール「間もなく国王陛下、宰相、城の会計主任が来られる。献上品の説明は私がするが、

    私が知らないことや補足があれば、その時は頼む」

マギー「はい」

ポール「それから会計主任は、そろばんの件で同伴されるそうだ。

    計算書類を何枚か用意するらしい。マギーはそろばんで計算を頼む」

マギー「かしこまりました」


 国王様のお名前はルイ・タマイサ、宰相様のお名前はビル・ジョーホン、事前にお代官様から聞いていました。


     *


 コン・・・コン。


 ノックと言うより、合図みたいね。


担当官「国王陛下のご入室です」


 緊張する・・・部屋に入ってきた。

 私とお代官様は(こうべ)を垂れ、右手を胸に当てます。


国王 「(おもて)を上げよ」

ポール「陛下の(めい)を受け、参上しました」

国王 「そちらはギルドの職員か?」

ポール「はい。マギーです」


 私は一歩前に出て、膝折礼(カーテシー)をします。


マギー「ギルドのマギーと申します。お会い出来て光栄でございます」

国王 「よろしく頼む」

マギー「はい」


国王 「早速見せてもらおう」

ポール「はい」


     *


 国王様は献上品をご覧になり、お代官様が説明をしています。


国王 「ビル(宰相)、調理道具は料理長に渡しておけ」

宰相 「承知しました」


     *


 国王様がきれいな箱の前に立ちました。


国王 「ポール、中に入っているか?」

ポール「はい、中にチョコレートが入っております」

国王 「そうか。冷蔵の魔道具を貸した甲斐があった。

    夏は溶けてしまうと聞いていたからな」


 この箱は冷蔵の魔道具で、国宝だそうです。


     *


 国王様は次をご覧になります。


国王 「これがキララか」

ポール「はい」

国王 「薄くて軽い。ビル、城の鎧戸をこれに改装することを検討してくれ」

宰相 「承知しました」


     *


 国王様は次をご覧になります。


国王 「これが遊戯盤か」

ポール「はい、ゼンセンと言います。

    戦場の前線で敵兵を挟撃(きょうげき)する遊戯盤です」

国王 「面白そうだ。ビル、後で相手をしてくれ」

宰相 「承知しました」


     *


 国王様がスプーンを手に取りました。


国王 「これがアンナスプーンか」

ポール「はい」

国王 「ポール、数は足りているか?」

ポール「はい。晩餐会に必要な数は揃えてあります」


国王 「機能的で見た目が美しい。これは銀製か?」

ポール「マギー」

マギー「はい。わたくしがご説明いたします。

    これは銀ではなく、クロムという金属を混ぜた鉄の合金、

    ステンレスでございます」

国王 「鉄? ()びてしまうのではないか?」

マギー「心配には及びません。普通に使用する分には錆びることはごさいません」

ポール「ステンレスの地金も持ち帰っております」

国王 「そうか・・・ビル、使い道を検討してくれ」

宰相 「承知しました」


     *

     

 最後の献上品です。


国王 「これが計算する道具か?」




ポール「はい、そろばんと言います」

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