186 下見です 6
ここは、南にある群島の上空です。
私たちは鳴き砂の海岸から転移してきました。
志村 「ここは、さっきとは違う海ですよね?」
アンナ「はい。南にある群島です」
加藤 「きれい」
わたしは群島の上空をしばらく飛行しました。二人はスマホで撮影をしています。
*
アンナ「島の海岸に着地します」
着地して、皆さんMTVから降りました。
わたしは千里眼で海底を確認して、海岸からチューブ状の結界を海中に伸ばしました。
即席の水族館です。
アンナ「中に入りましょう」
私たちはチューブ状結界の中に入りました。
アンナ「即席の水族館です」
志村 「すごい。魔法でこんなこともできるんですね」
加藤 「床も透明なので、海底がよく見えますね」
志村 「サンゴ礁が間近に観察できます」
加藤 「きれいな魚」
志村 「生徒に見せたいです」
加藤 「はい」
二人は海の中を見学しながら、スマホで撮影をしています。
*
アンナ「次の場所をご案内してもよろしいですか?」
加藤 「はい」
志村 「お願いします」
わたしはチューブ状結界を少しずつ短くして消滅させました。
私たちはMTVに乗り、垂直に上昇します。
アンナ「転移」
* * *
ここは巨木の森の上空です。
アンナ「目の前に見える大きな木が、この森最大の巨木、
ジャイアント・トロールの木です。
高さ170m、幹の直径は15mあります」
加藤 「大きい」
志村 「アメリカのセコイアより大きいですね」
わたしは巨木の横をゆっくりと降下して、着地しました。
二人はMTVを出て撮影しています。
アンナ「スマホを貸してください。
お二人の写真を摂ります」
加藤 「お願いします」
わたしは加藤さんから借りたスマホで二人の写真を摂ります。
カシャ。
スマホを返しました。
加藤 「人物が小さいです。顔がほとんどわかりませんね」
志村 「逆に木の大きさが実感できます」
アンナ「この近くに大型の魔物がいます。見に行きましょう」
私たちは<MTVに乗り、巨木の森を飛行しました。
二人は巨木の森を撮影しています。
加藤 「まるでSF映画かアニメみたいです」
志村 「異世界らしいですね」
見えてきました。
アンナ「あれが、森の魔物トロールです」
加藤 「巨人」
志村 「大きい」
わたしはトロールの周囲を旋回飛行しました。
二人はトロールを撮影しています。
アンナ「次の場所に移動しますが、よろしいですか?」
加藤 「はい」
志村 「いいですよ」
アンナ「転移」
* * *
ここは大陸の北側にある草原です。
マンモスの群れがいます。
志村 「あれマンモスですか?」
アンナ「はい。そうです」
加藤 「大きな牙」
二人がマンモスを撮影したあと、わたしは洞窟の近くにMTVを着地させました。
そしてMTVから降りました。
アンナ「直接クリスタルホールに行きます。
お二人は目を閉じてください」
二人は目を閉じました。
アンナ「転移」
* * *
転移先は真っ暗ですが、ハートケイブの前です。
わたしは光魔法で照明を作り、クリスタルホールに拡散させました。
アンナ「目を開けてください」
加藤 「すごーい」
志村 「これはすごい」
アンナ「ここから見ると、ホールの入口がハート型のフレームになっています」
加藤 「本当にハートの形」
加藤先生がハートケイブの写真を撮っています。
アンナ「ホールの中へ、どうぞ」
加藤 「すごーい、きれい」
志村 「写真で見るより、はるかにすごい」
アンナ「中央に行きましょう」
私たちはホールの中央に向かいます。
アンナ「落ちている魔水晶の欠片をお土産に
ひとつずつ持ち帰ってください」
志村 「いいんですか?」
アンナ「はい」
加藤 「きれい、雪の結晶みたい」
二人は中央に向かう途中で欠片をひとつずつ拾いました。
ホールの中央に来ました。
加藤 「アンナさん、写真を撮ってください」
アンナ「わかりました」
わたしは加藤先生からスマホを受け取りました。
アンナ「撮ります」
カシャ。
わたしは、加藤先生にスマホを返します。
アンナ「次の場所に移動しますが、よろしいですか?」
加藤 「はい。名残惜しいですが・・・」
志村 「下見です。仕方がありません」
アンナ「移動します・・・転移」
洞窟の入口に戻ってきました。
アンナ「MTVに乗ってください」
MTVに全員乗りました。
アンナ「転移」
私たちは次の場所に転移しました。