183 下見です 3
ここは飛行島付近の上空です。
MTVに教師二人を乗せて遊覧飛行をしています。
わたしは飛行島の真下を飛行したあと、陸地に向かいました。
内陸の上空を飛行しながら、森、草原、山、川、湖などを案内します。
二人はスマホで景色を撮影しています。
アンナ「この陸地は大きな大陸の一部です」
加藤 「きれい」
志村 「人工物がないですね」
アンナ「はい。こちらの世界は街や村などで、まとまって生活しています。
地球よりも凶暴な生き物が多いですから」
志村 「なるほど」
わたしは内陸を飛行したあと、飛行島近くの海岸に戻ってきました。
そして高度を下げて着水、海上を航行しました。
加藤 「すごい」
志村 「船にもなるのか」
今度は海中を潜航します。
加藤 「すごい・・・きれい」
志村 「これはすごい」
海の中は透明度が高く、頭上の海面が陽光でキラキラしています。
二人は、海中を撮影しています。
わたしはしばらく海中を潜航しました。
*
アンナ「それでは飛行島に戻ります」
わたしはMTVを浮上させます。そして離水、飛行して島に戻りました。
MTVは飛行島に着地して、側面を開放しました。
アンナ「お疲れ様でした。遊覧飛行は終了です」
私たちは、MTVを降りました。
MTVは収納します。
加藤 「空と海の両方が体験できて、すごいですね」
志村 「地球では、体験できないです」
アンナ「この乗り物はツアーで、よく使います。
修学旅行では、たくさんの人が乗れるように大型にする予定です」
*
私たちは広場に来ました。
アンナ「次は、魔法を体験していただきます」
わたしは周囲に吸収型の結界を張り、魔道具の的をふたつ用意しました。
アンナ「ファイヤーボール」
パリン。
アンナ「アイスジャベリン」
パリン。
的は攻撃魔法で壊れますが、すぐに再生します。
アンナ「魔法名を言葉にしなくても、イメージすれば魔法が使えます
やってみてください」
二人は攻撃魔法の射撃を始めました。
パリン、パリン・・・
加藤 「これ面白いです」
志村 「楽しいですが、この魔法を使うことがありますか?」
アンナ「攻撃魔法を使うことはありません。
ですが、地球では出来ない体験です。
生徒が喜ぶと思います」
志村 「そうですね」
加藤 「特に男子は喜ぶと思います」
*
攻撃魔法の射撃は終了しました。
わたしは魔道具を回収して、結界を解除しました。
次は飛行島の庭園を案内します。
志村 「島の周囲に柵がないけど、大丈夫ですか?」
アンナ「はい。大丈夫です。島の縁に向かって歩いてください」
志村 「あれ? なにか柔らかい壁のようなものが・・・」
加藤 「なにかありますね」
アンナ「島の周囲には結界が張ってあるので落ちることはありません」
志村 「これなら生徒が転落することはありませんね」
加藤 「はい。大丈夫です」
そのあと、庭園の植物を簡単に説明して、池や温室などを見学してもらいました。
アンナ「コテージに戻って、昼食にしましょう」
*
私たちはコテージに戻ってきました。
二人をテラスに案内します。
テラスにペットサールを出したあと、マオにキャットフードと水を与えます。
わたしはテラスにテーブルとイスを出して、料理を並べました。
今回は陽子さんも一緒に食事をします。
昼食はレバノン料理です。
メニューは、ムサカ、ジャッダラー、カリフラワーの素揚げです。
料理は一つの皿に盛り付け、ワンプレートランチにしました。
ムサカ(レバノン風)
ムサカとは、ギリシャ、トルコ、中東、バルカン半島などで広く食べられている料理です。
以前ギリシャ料理としてツアー客に出しましたがレシピが違います。
作り方は、ナス、パプリカ、玉ネギ、大豆、ラム肉をフライパンで炒めます。
トマトソース、赤ワイン、調味料、香辛料で味付けをします。
中東風の肉野菜炒めです。
ジャッダラー
まず最初に玉ネギのみじん切りとオリーブ油で飴色玉ネギを作ります。
次にコメ、レンズ豆、塩で炊き込みご飯を作ります。
器に盛り付けて、飴色玉ネギをのせたら完成です。
レバノンでは、パンと一緒にサラダ感覚で食べるらしいです。
今回はムサカと一緒に食べることにします。
カリフラワーの素揚げ
カリフラワーを油で揚げたあと、塩、胡椒、クミンなどを振りかけます。
*
アンナ「飲み物はアイテムボックスから好きなものを出してください」
加藤 「料理の写真を撮ってもいいですか?」
アンナ「はい、どうぞ」
カシャ。
加藤 「レバノン料理・・・初めて食べます」
志村 「ぼくもです」
アンナ「いただきます」
三人 「いただきます」
ぱくっ。
加藤 「うん。美味しいです」
志村 「極端な味付けではないので、食べやすいです」
わたしは料理の説明をしました。
二人は食べながら聞いています。
加藤 「このレンズ豆、日本では見かけない食材ですね」
志村 「生徒達が知らない料理を食べるのはいい体験でなります」
加藤 「はい」
志村 「揚げたカリフラワーが美味しい」
加藤 「はい。茹でてマヨネーズで食べる調理法しか知りませんでした」
アンナ「なにか料理のついて要望はありますか?」
志村 「異世界独自の料理はないんですか?」
アンナ「ありますが、煮る、焼くなどのシンプルな調理法で、
味が単調です。あまりおすすめできません」
志村 「そうですか」
加藤 「料理は美味しい方がいいです」
志村 「料理はアンナさんにお任せした方がいいですね」
加藤 「はい」
*
食事が終わりました。
アンナ「ごちそうさまでした」
三人 「ごちそうさまでした」
わたしは食器類を魔法で片付けます。
いま陽子さんも含めて四人でお茶を飲んでいます。
アンナ「このあと、観光地をご案内する予定です。
なにか要望はありますか?」
志村 「そうですね・・・異世界の街を見たいです。
それと恐竜」
加藤 「私は景色がきれいなところ。
それと、写真で見たクリスタルホールが見たいです」
志村 「いいですね。ぼくも気になっていました」
アンナ「わかりました」
私たちはトイレを済ませたあと、コテージから出ました。
観光地には陽子さんとマオも連れて行きます。
アンナ「まずは異世界の街から、ご案内します」
アンナ「転移魔法で移動します」
わたしは転移先を千里眼で確認しました。
アンナ「転移」
私たちは街の近くに転移しました。