172 街の案内です 2
ここは飛行島のコテージです。
ワウラの街に行った翌日の朝です。
外は雨が降っています。珍しくはありません。時々雨雲の下に飛行島を降ろして、水を補給しています。
水は、庭園と池、ファーム(農場)で利用しています。
わたしは朝食後、リビングにいます。マオと遊びながらペットショップのサイトを見ています。
子猫用キャットフードを購入します。
マオのごはんは今、離乳食に子猫用フードを混ぜたものにしています。
フードの種類を変えても残さずに食べてくれます。好き嫌いをしない、とてもいい子です。
子猫用フードだけでも、たくさん種類があります。
あ、面白いものを見つけました。これも買いましょう。
『召喚』
わたし子猫用フード数種類と、あるものを召喚しました。
今度は、購入した商品のメモ書きとおカネを・・・
『転移』
送金して、お取り寄せが完了しました。
外は雨がやんでいます。
ポロロ、ポロロ、ポロロ・・・
電話です。
ローラ「街に出かけましょう」
アンナ「はい」
ローラ「家の外で待っているわ」
アンナ「わかりました」
わたしはマオをスリングに入れて、たすき掛けにしました。
アンナ「陽子さん、ワウラの街に行きましょう」
陽子 「はい」
昨日、陽子さんにワウラの街を見せましたが、全てを回ることができなかったので、今日も街に行きます。
わたしと陽子さんは、コテージを出ました。扉の外には、幼女ローラが立っています。
アンナ「おはようございます」
陽子 「ローラ様、おはようございます」
ローラ「おはよう、アンナ、陽子ちゃん」
アンナ「これを使ってください」
わたしは、ローラの肩に黒猫のポーチをかけました。先ほどお取り寄せしたものです。
ローラの白いワンピースに似合いますね。
アンナ「中におカネとハンカチが入っています」
ローラ「ありがとう」
アンナ「それでは、ワウラの街に行きます・・・転移」
* * *
私たちはワウラの街の入口に転移しました。
昨日と同様、周囲にはたくさんのテントと馬車があります。
今ワウラの街では宿が不足しています。そのため他の街から来た人がこの場所で寝泊まりしているそうです。
さて、私たちの順番になりました。わたしと陽子さんは滞在許可証を持っています。
ローラは、守衛に銀貨1枚を支払って、滞在許可証の木札を受け取りました。
木札を見ながら、ローラはニコニコしています。下界の体験は全てが面白いみたいです。
私たちは街に入り、歩いてダノン食堂に向かいます。
街の中を歩いていると、今日も挟み将棋をしている人を見かけます。人気があるのかもしれません。
*
ダノンさんの食堂に到着しました。
食堂の外観は変わっていません。予想が外れました。てっきり改装していると思っていました。
今の時間帯は、朝食が終わり一段落しているころです。
私たちは食堂の裏口に向かいます。
アンナ「ダノンさん、おはようございます」
ダノン「ようアンナさん、いらっしゃい」
アンナ「紹介します。妹の陽子です。
もしかすると、わたしの代わりにここに来るかもしれません。
その時は、よろしくお願いします 」
陽子 「陽子です。よろしくお願いします」
ダノン「おいらはダノン、よろしくな」
アンナ「この子は・・・友達のローラです」
ローラ「ローラよ。あなた料理とっても美味しいわ」
ダノン「ありがとよ」
ローラは友達ということにしました。
陽子さんは見た目が日本人なので、わたしと少しは似ていますが、ローラはどう見てもわたしの妹には見えません。
ダノン「そうだアンナさん、食材を売ってくれ」
アンナ「はい。何がほしいですか?」
ダノン「小麦粉、米、香辛料、塩、コーヒーだ」
アンナ「わかりました」
わたしは、それらを出して、おカネを受け取りました。
アンナ「昨日、商業ギルドにも食材を大量に売ってきたので、
しばらくは食材に困らないと思いますよ」
ダノン「そうか。それは助かる」
アンナ「食堂は順調ですか?」
ダノン「ああ、まあ食堂は一応順調なんだが・・・」
アンナ「何かありましたか?」
ダノン「従業員を雇ったから、忙しいのは改善された。
だが、客席が足りなくてな。客を捌くのが大変だ」
アンナ「食堂の拡張は出来ないんですか?」
ダノン「いま隣と交渉中だ。ただ、金額の折り合いがつかねえ。
隣を買い取ったら、ピザとパスタの専門店にしたいんだが・・・」
アンナ「いいですね」
ダノン「やっぱり、離れた物件を探すしかねえかなあ」
ローラ「大丈夫よ。もう一度、隣と交渉してみなさい。うまくいくわ」
なんですか、その自信は・・・何か企んでいますね。
ダノン「だといいが・・・根気強く交渉してみるか」
ローラ「それがいいわ」
ダノン「ありがとよ」
わたしはアイテムボックスから、イタリア料理のレシピを何枚か出しました。
アンナ「ピザとパスタのレシピです。使ってください」
ダノン「ありがてえ、助かる」
アンナ「私たちは他にも用事があるので、お暇します」
ダノン「アンナさん、ありがとう」
アンナ「はい。また来ます」
私たちはダノン食堂を後にしました。次は、猫耳亭に向かいます。
*
猫耳亭に到着しました。
改築の予想は立てていましたが、想像以上に大きいです。まだ完成していません。
しかも改築しながら営業は続けているようです。
宿屋というよりホテルみたいです。客室数は何倍になるのでしょうか。大きな建物になりますね。
宿の入口は変わっていません。私たちは中に入ります。
アンナ「こんにちは」
エマ 「アンナさん、いらっしゃい・・・かわいい、だっこさせて」
アンナ「はい。どうぞ」
エマさんはマオをだっこします。
エマ 「お名前は?」
アンナ「マオです」
エマ 「マオちゃん、かわいい。ノエルが赤ちゃんだったころを思い出すわ」
どういう意味でしょうか。猫獣人は謎です。
エマ 「これから昼食にするから、一緒に食べましょう」
アンナ「はい」
私たちは、従業員用のダイニングに通されました。
前よりも従業員が増えていますね。
エマ 「ザック見て、マオちゃんよ、かわいいでしょう?」
ザック「どこの子だ?」
エマ 「アンナさんの子よ」
わたしは産んでいません。
ザック「ノエルの小さいころに似ているな」
エマ 「でしょう」
やはり猫獣人は謎です。
アンナ「ザックさん、こんにちは」
ザック「いらっしゃい・・・そちらの二人は初めてだな。
みんなが揃ったら紹介してくれ」
アンナ「はい」
ノエルちゃんとミラちゃんが来ました。
ノエル「かわいい・・・ノエルもだっこしたい」
エマ 「やさしくね」
今度はノエルちゃんがマオをだっこします。
そこにローラが加わります。幼女三人がマオをなでなでしています。
子猫と幼女が三人。これは祭りですね。幼女祭りです。
「異世界幼女祭り」というタイトルでラノベを出版すれば人気が出そうです。
皆さん、ダイニングに集まってきました。