表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
170/243

170 ワウラの教会 (別視点)

* 別視点 マリア side *



 ここは、ワウラの街にある孤児院。

 いま子供達に勉強を教えているのはマリア。孤児院の責任者である。

 そしてマリアは教会の司祭でもある。 


 突然、部屋に神官が入ってきた。



*    *    *



神官 「司祭様、大変です。すぐ来てください」

マリア「どうしたのですか?」

神官 「急いでください」

マリア「しばらく自由時間にします」


 私は、子供達にそう()げて、隣にある教会に向かいました。

 神官は、かなり(あわ)てています。一体何事でしょうか。

 向かった先は礼拝堂です。


 ああっ! 女神様!


 女神様の像が光り輝いています。

 私はすぐに女神様の像の前に(ひざまず)き、こうべを垂れました。


 状況が理解できません。


 礼拝堂には、数名の神官と助祭のエバ、多くの信者がいます。

 みな祈りを(ささ)げています。


 なぜ女神様の像が光っているのでしょうか。

 女神様は何かを告げられたのでしょうか。

 神託、あるいは・・・・・・神罰でしょうか。

 気になります。


     *


 以前に女神様の像が光ったのは1ヶ月以上前です。

 その時は、アンナさんに対する狼藉(ろうぜき)が原因でした。

 そして神罰がくだり、貴族は行方不明になりました。

 (あや)うく国が滅亡するところでした。


     *


 どれくらいの時間が経ったでしょうか。時間がとても長く感じます。

 このままでは(らち)が明きません。状況を把握する必要があります。

 私は覚悟を決めて、発言します。


マリア「女神様、お告げをお願いいたします」


 ・・・・・・・・・・


 返答がありません。


 私が来る前に、何かを告げられたのでしょうか。

 私は、隣にいる助祭のエバに小さな声で質問しました。


マリア「エバ、お告げはありましたか?」(小声)

エバ 「いいえ」(小声)


マリア「女神様は、いつから光っているのですか?」(小声)

エバ 「司祭様が来られる少し前からです」(小声)


 女神様は、何をお考えなのでしょうか。


 私は、恐る恐る顔を上げて女神像のお顔を拝見しました。


 まさか、女神様は大変お怒りなのでは・・・

 もうすでに神罰は始まっているのではないか・・・

 この国が・・・この世界が、滅びるのではないか・・・


 私はどうすれば・・・女神様・・・ローラ様・・・め・が・み・さ・・・ま・・・



 < 司祭マリアは失神して、その場に倒れた >

 < 女神ローラはこのとき、隣の敷地で手打ち野球をしていた >



*    *    *



 ここは? 応接室のソファー?


エバ 「司祭様、大丈夫ですか?」

マリア「私はどうなったのですか? 女神様は? お告げは?」

エバ 「司祭様は失神されました。女神様からのお告げはありません」

マリア「女神様の像は、どうなりましたか?」

エバ 「少し前に光りが(おさ)まりました」

マリア「礼拝堂に行きます。」

エバ 「私もご一緒します。お体、大丈夫ですか?」

マリア「大丈夫です」


 寝ている場合ではありません。

 女神様の前で失神するとは、なんたる失態、自分が情けないです。


     *


 私は礼拝堂に入りました。中では十数名の信者が、お祈りをしています。

 私は女神様の像を見上げました。確かに光りは収まっています。

 私は跪き、こうべを垂れ、祈ります。

 そして、先ほどの失態を心の中で謝罪しました。


     *


 お祈りをしていると、子供達の大きな声が聞こえます。


 女神様の像が光っていたときも、子供達の声が聞こえていたような気がします。

 子供達は、一体何をしているのでしょうか。


 私はお祈りを終えて、立ち上がりました。


マリア「子供達のところに行きます」

エバ 「ご一緒します」


     *


 孤児院の庭に行くと、子供達が遊んでいます。私の知らない遊びです。

 あの天幕と黒板は、何かしら?


マリア「天幕と黒板はどうしたの?」

子供達「アンナさんにもらった」

マリア「アンナさんは、どこ?」

子供達「もういないよ。用事があるんだって」

マリア「アンナさんは、何をしに来たの?」

子供達「手打ち野球を教えてくれた」

マリア「今やっている遊びのこと?」

子供達「うん」

子供達「陽子さんとローラちゃん、すごかったよね」


 陽子さん? ローラちゃん?


マリア「その二人はアンナさんと一緒に来たの?」

子供達「うん」

マリア「二人はどういう人かしら?」

子供達「陽子さんは・・・メイドさんかな」

子供達「ローラちゃんは5歳くらいの女の子」

マリア「その二人は街の人かしら?」

子供達「知らない」


 陽子さんとローラちゃんは、アンナさんとどういう関係でしょうか。

 アンナさんが人を連れて来たことはありません。


 ローラちゃん? まさか・・・




 女神様と同じ名前なのは、偶然・・・よね。

マリア 司祭 24歳 (孤児院の責任者)


エバ  助祭 21歳

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ