164 ワウラの街です 1
ここは、ワウラの街の入口です。
わたしは陽子さんと街を訪れました。
陽子さんは子猫のマオをスリングに入れて、たすき掛けにしています。
陽子さんは街のことをほとんど知りません。わたしは、街を見せる目的で陽子さんを連れてきました。
街の入口は、以前と様子が違います。入口付近の空き地に馬車やテントがたくさんあります。
それから朝の割には、街に入る人の数が多いです。しかし守衛も多いので、それほど待たずに街へ入れそうです。
わたしは滞在許可証を持っていますが、陽子さんは持っていないので、銀貨1枚で滞在許可証を受け取りました。
私たちは街に入りました。朝市を目指します。
やはり以前よりも人が多く、活気があります。道行く馬車も増えました。
建築中の建物やキララ窓のお店も増えています。
*
朝市が開かれている広場に到着しました。
出店の数が以前より増えています。カラフルな天幕が、モザイクのようできれいです。
アンナ「陽子さんは買い物をしたことがありますか?」
陽子 「いいえ。ありません」
わたしはおカネが入った巾着袋を渡して、おカネの使い方を説明しました。
それから商品の説明もします。
アンナ「陽子さん、野菜や果物は季節によって売っているものが違います。
それから値段がいつも同じとは限りません。相場も覚えてください」
陽子 「はい」
私たちは朝市を見て回ります。
ブドウがありました。飛行島のファームでは栽培していない品種です。
赤紫色で実が楕円形です。鑑定したところ、糖度が高いので美味しいと思います。
わたしは、そのブドウを1房買いました。
このブドウは皮が薄いので、皮ごと食べられます。早速食べてみます。
アンナ「クリーン」
ぱくっ。
アンナ「美味しいです」
このブドウは甘味と酸味のバランスがいいです。
アンナ「陽子さんも食べてください」
陽子 「はい」
ぱくっ。
陽子 「美味しいです」
アンナ「このブドウ、たくさん買いましょう」
わたしは陽子さんにバスケットを渡しました。
アンナ「陽子さん、このブドウを10房買ってください」
陽子 「はい」
陽子さんはブドウを買うことができました。問題ありません。
陽子 「買い物、記録しました。」
私たちは再び市場を見て回ります。
しかし買うものがありませんね。ファームで栽培されているものばかりです。
アンナ「次はパン屋さんに行きましょう」
陽子 「はい」
私たちは、朝市の広場を後にしました。
*
パン屋さんに向かう途中、道端で、『前線』という挟み将棋をしている人を見かけました。二組も。
わたしが商業ギルドに登録したものです。人気があるのでしょうか。
*
ルパンさんのパン屋さんに到着しました。
以前ほどの行列ではありませんが、何人か並んでいます。
ん?
隣のお店でもパンを売っています。わたしはそのお店をのぞいてみました。
売っているのは、菓子パンとケーキです。わたしが教えたパンとケーキです。
それから、小さなイートインコーナーがあります。
お店を拡張したのでしょうか。
私たちはパン屋さんの裏口に向かいました。
アンナ「アンナです。ルパンさん、おはようございます」
ルパン「おはよう、アンナさん・・・そっちの子は?」
アンナ「妹の陽子です」
陽子 「陽子と申します。よろしくお願いします」
ルパン「オレはルパンだ。よろしくな」
陽子 「はい」
ルパン「アンナさん、早速なんだが、いつものコーヒーやチョコレートも
売ってほしいんだが、それ以外に小麦粉、持ってないかい?」
アンナ「ありますよ」
ルパン「売ってくれ」
アンナ「はい」
わたしは、小麦粉、コーヒー豆、チョコレートなどを出して、おカネを受け取りました。
アンナ「ところでルパンさん、お店を拡張したんですか?」
ルパン「ああ、隣の店を買い取った。店が拡張できたのは、アンナさんのおかげだ。
ありがとう」
アンナ「いいえ。ルパンさんが努力した結果ですよ」
わたしは、ルパンさんにレシピを渡しました。高加水パンやケーキのレシピです。
それから、夏は冷たい飲み物が売れると思い、アイスカフェオレを提案しました。
朝のパン工房は忙しいです。わたしは手短かに話を切り上げて、パン屋さんを後にしました。
次は冒険者ギルドに向かいます。
*
私たちは街の中を歩いて、ギルドに到着しました。
アンナ「陽子さん、ここが冒険者ギルドです」
陽子 「はい」
中に入ると、以前よりも人が多いです。
まずは掲示板に向かいます。依頼書が多いです。特に多い依頼は、建築関連と飲食店の求人です。
アンナ「ここが依頼書を貼る掲示板です」
陽子 「掲示板、記録しました」
アンナ「次はカウンターに行きましょう」
陽子 「はい。」
列に並んで待っていると、私たちの順番になりました。
アンナ「登録をお願いします」
陽子さんの冒険者登録をします。
陽子さんは、用紙に記入をしておカネを払い、ギルドカードを受け取りました。
冒険者になるための試験はありません。武器を必要としない仕事がたくさんあるからです。
私たちは扉を出て、建物の裏に回りました。そこにはギルド別館の売買所があります。
ギルド本館とは職員専用の通路で繋がっています。
売買所は、解体場や荷捌き場、倉庫が併設されています。
わたしは、アイテムボックスから大きなイノシシを出しました。
全長は3m、街に入る前に村の付近で駆除したものです。
アンナ「このイノシシを買い取ってください」
職員 「解体場まで運んでくれ」
アンナ「わかりました」
わたしはイノシシを収納して解体場に行き、そこでイノシシを出しました。
買取価格は金貨1枚です。わたしはおカネを受け取りました。
アンナ「冒険者ギルドは、こういうところです」
陽子 「はい。冒険者ギルド、記録しました」
私たちは冒険者ギルドを後にしました。
次に向かうのは商業ギルドです。