161 恐竜ツアー3日目です。10
ここは、林と茂みがある平原です。
私たちは、羽毛のティラノサウルスを追いかけてここまでやって来ました。
そして魔法で鑑定が出来ない新種の恐竜を発見しました。
アンナ「新種の恐竜です。」
中村 「マジか?」
アンナ「はい。わたしも知りません。初めて見る恐竜です。」
中村 「吉田が発見したのか。すげえぞ、吉田。」
吉田 「はい。」
西川 「吉田さん、すごいよ。」
吉田 「うん。」
私たちは新種恐竜の撮影を開始しました。
新種の恐竜は全長15m、頭の高さは6mです。
全身は緑と茶色の斑模様です。まるで兵士が着る迷彩服のようです。
鼻の上に大きな角があり、上あごから二本の牙が突き出しています。
そして後頭部から尻尾の先まで続くギザギザの突起があります。
見た目は二足歩行の肉食恐竜ですが、前肢が発達していて、腕のように見えます。
あまりにも現実離れした恐竜です。
中村 「とんでもねえ化け物だな。」
西川 「肉食で間違いないですね。」
中村 「ああ、草食にあんな牙必要ねえだろ。
それになんだあの角、昭和の怪獣かよ。」
西川 「マジでやばいです。」
新種恐竜が歩き始めました。歩く先には羽毛のティラノサウルスがいます。
互いが認識しました。睨み合っています。
羽毛 「グルルル・・・」
新種 「ガルルル・・・」
中村 「あの新種、絶対やばいぜ。」
西川 「ティラノサウルスがかわいく見えます。」
吉田 「うん。かわいい。」
そうです。かわいいです。
新種 「グォー・・・・・・・・・・」
ティラノサウルスが逃げました。
中村 「格が違うぜ。賢明な判断だ。」
西川 「はい。逃げるが勝ちです。」
吉田 「よかった。」
新種恐竜は湖に向かって歩き始めました。私たちはMTVで後を追います。
西川 「風格がありますね。」
中村 「ティラノが逃げ出すくらいだからな。王者の風格だ。」
西川 「地球にいたら最強の恐竜ですね。」
中村 「ああ、史上最強の生物で間違いないぜ。こいつは。」
西川 「会長、名前どうします?」
中村 「名前か・・・吉田が発見したんだ。ヨシダサウルスだろ。」
吉田 「えー。」
アンナサウルスにならなくて、よかったです。
中村 「喜べ。名誉なことだ。」
西川 「いま鑑定したら、ヨシダサウルスって出ました。」
吉田 「えー。」
中村 「アンナ、この恐竜、地球にいるのか?」
アンナ「わかりません。いるかもしれないし、いないかもしれません。」
西川 「もし化石が発見されて、誰かが名前をつけたらどうします?」
中村 「俺はヨシダサウルスって、呼ぶぞ。」
西川 「僕もそう呼びます。」
中村 「地球名は、俺たちだけのシノニム(異名)にすればいいだろ。」
西川 「そうですね。」
吉田 「・・・・・・」
湖が見えてきました。
しかし、捕食対象の生き物はいません。先ほどの咆哮で逃げたようです。
ヨシダサウルスは立ち止まって呆然としているように見えます。
アンナ「記念撮影をしましょう。」
中村 「そうだな。新種恐竜発見の記念だ。」
西川 「いいですね。」
吉田 「うん。」
わたしはMTVを空中に固定して、外に出ます。アングルを確認して、
恐竜の近くに三人を・・・
アンナ「転移」
カシャ。
アンナ「転移」(MTVへ)
三人を恐竜の前に転移させて撮影したあと、すぐにMTVに戻しました。わたしも戻ります。
わたしは、三人にカメラの画面を見せました。
中村 「おう、いいな。よく撮れてる。」
西川 「ヨシダサウルス、かっこいいですね。」
吉田 「うん。かっこいい。」
グゥー・・・
中村 「そういえば、腹減ったな。」
西川 「19時を過ぎています。」
中村 「もうそんな時間か。」
アンナ「夕食にしましょう。」
中村 「そうだな・・・ということは、ヨシダサウルスがツアー最後の恐竜か。」
西川 「そうなりますね。最後にこんな大物、しかも新種が見られてよかったです。」
吉田 「うん。よかった。」
中村 「最後にもう一度、全身が見たい。」
アンナ「わかりました。」
わたしはヨシダサウルスの上を旋回飛行します。三人は各自、撮影をしています。
中村 「よし、充分楽しんだ。行ってくれ。」
アンナ「はい。」
アンナ「それでは飛行島に帰ります・・・転移」
* * *
ここは、飛行島近くの上空です。星が見えています。
MTVはコテージ前に着地しました。
アンナ「お疲れ様でした。」
私たちはMTVを降りて、わたしはMTVを収納しました。
アンナ「中に入りましょう。」
私たちはコテージに入ります。
アンナ「ただいま戻りました。」
陽子 「お帰りなさいませ。」
中村 「おう。ただいま。」
西川 「ただいま。」
吉田 「ただいま。」
ルームシューズを履いて中に入ります。
西川 「僕、トイレ。」
中村 「俺も。」
吉田 「・・・」
アンナ「今日もテラスで夕食にします。あとで集まってください。」
三人はトイレに行きました。
マオ 「ミャー。」
マオが尻尾を立てながらトコトコ歩いてきました。そしてわたしの足元でスリスリします。
アンナ「マオ、ただいま。いい子にしていましたか。」
わたしはマオをだっこしました。わたしも顔をスリスリします。
そのままリビングに向かい、マオを撫でながらカメラの撮影データをコピーしました。
三人がテラスに集まったら、夕食にします。