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148 恐竜ツアー2日目です。8

 ここは、乾燥した草原地帯です。


 私たちはステラーカイギュウがいた海から転移してきました。

 いま草原の上空にいます。眼下に大きな生き物が歩いています。


アンナ「あれを見てください。」

中村 「パラケラテリウムか。」

アンナ「はい。そうです。」


 私たちは撮影を始めました。


 パラケラテリウムは、ゾウ類に次ぐ史上最大級の陸生哺乳類です。全長7.5m、肩高4.8m、全身がうすいグレーです。

 サイの仲間ですが、角はなく、首が長いので、体格は馬に近いです。


中村 「でけえ。」

西川 「でかいですね。」

吉田 「うん。」

西川 「サイの仲間なのに、馬っぽいですね。」

中村 「だよな。角は無いし。」

西川 「(くち)はサイに似てますね。」

吉田 「うん。」


 パラケラテリウムは背が高く、顔が小さいです。ずんぐりしたサイに比べると、イケメンな感じがします。


 歩いていたパラケラテリウムは立ち止まって、草を食べ始めました。


アンナ「写真を撮りましょう。」


 わたしはパラケラテリウムと三人の写真を撮ります。


 カシャ。


アンナ「降りて、近づいてみましょう。」


 私たちはMTVを降りて、光学迷彩をかけて近づきました。

 近くで見ると迫力があります。


中村 「皮膚の色や質感は、いまのサイにそっくりだ。」(小声)

西川 「本当に、そうですね。」(小声)


 パラケラテリウムは、私たちの声を聞いているんでしょうか。耳がピクピク動いています。それに周囲を少し気にしています。


西川 「吉田さん、パラケラテリウムをどう思う?」(小声)

吉田 「か、かっこいい。」(小声)

西川 「そうだよね。かっこいいよね。」(小声)


 パラケラテリウムは、私たちの気配に気付いたみたいです。歩いてこの場から離れていきました。

 私たちは、離れていくパラケラテリウムを眺めています。


中村 「アンナ、次を案内してくれ。」

アンナ「はい。」


 私たちはMTVに乗り込みました。」


アンナ「それでは移動します・・・転移」


*    *    *


 ここは、山間部を流れる渓谷です。


 とてもきれいなところです。日本の長瀞(ながとろ)に似ています。

 私たちはMTVの中から渓谷を見下ろしています。


アンナ「あそこの岩の上を見てください。」


中村 「あれは・・・ニクトサウルス。」


 岩の上に3体の翼竜がいます。

 色は顔と腹部がオレンジ色、翼とと背中が青緑色です。カラフルできれいです。

 姿はプテラノドンに似ていますが、小さいです。

 私たちは撮影を開始しました。


中村 「もっと近づいてくれ。」

アンナ「はい。」

西川 「かっこいい・・・トサカ、大きいですね。」


 3体のうち1体だけ、頭から上に伸びる、赤いトサカがあります。その長さは頭骨の3倍近くあります。そのトサカは途中から枝分かれして、後方にも伸びています。異形(いぎょう)のトサカです。


中村 「トサカに膜が無いな。」

西川 「確か、膜の有無が論争になっていましたよね。

    図鑑のイラストも二種類ありました。」

中村 「ああ、俺はトサカに膜があると思っていた。

    トサカの膜で風をうけ、ヨットのように進み、方向を変えると考えていたんだ。」


 3体のニクトサウルスが飛び立ちました。水面近くを滑空しています。

 わたしはMTVで後を追います。


 ニクトサウルスは翼を広げると幅が約2m、一番大きな個体は2.5mです。

 3体はそれぞれ魚を獲り、着地して魚を丸呑みにしました。


中村 「捕食の仕方はプテラノドンと同じだな。」

西川 「はい。カワセミみたいです。」

吉田 「うん。」


中村 「さっきの話に戻るが、あのトサカの役割はなんだ? 西川どう思う?」

西川 「・・・・・・メスに対するディスプレイしか、思いつきません。」

中村 「それだけかなあ・・・・・・吉田はあのトサカ、どう思う?」


吉田 「・・・・・・た、隊長機。」

中村 「・・・・・・」

西川 「・・・・・・」

中村 「吉田が冗談言ったの初めて聞いたぞ。」


 吉田さんは(うつむ)き、顔が真っ赤です。


中村 「吉田はこっちに来てから変わったよな・・・生き生きしてる。いい傾向だ。

    吉田が言う通り、トサカ付きは、たぶん群れのボスだ。

   (あなが)ち間違ってない。」


アンナ「写真を撮りましょう。」


 わたしは、ニクトサウルスと三人の写真を撮ります。


 カシャ。


中村 「アンナ、次を案内してくれ。」

アンナ「はい。」


アンナ「それでは移動します・・・転移」


*    *    *


 ここは、大陸の北西側、山間部にある湖の上空です。


 きれいな湖です。湖畔を1頭の恐竜が歩いています。わたしはMTVを近づけます。


中村 「あれは・・・ユウティラヌスか?」

西川 「あれがですか? すごい。」


 私たちは撮影を開始します。


中村 「すげえ。羽毛恐竜だ。肉食だ、テンション上がるぜ。」

西川 「見た目が、図鑑と全然違う。」

中村 「図鑑のイラストは想像図だ。あてにならん。」

西川 「そうですね。」


 ユウティラヌスは、ティラノサウルスに似た肉食の羽毛恐竜です。全長は9mあります。

 全身が、茶色と白の細長い羽毛で覆われています。背中が縞模様です。茶トラの猫みたいな、もふもふ恐竜です。


吉田 「しゃ、しゃ、写真・・・」

アンナ「はい。」


 吉田さんは、先ほど赤面してから少し落ち込んでいましたが、完全復活しました。

 恐竜は立ち止まり湖を見ています。シャッターチャンスです。

 わたしは、恐竜と吉田さんの写真を撮ります。


 カシャ。


アンナ「あの恐竜、かわいいですね。」

吉田 「うんうん。」(激しく同意)


 今度は、恐竜と一緒に三人の写真を撮ります。


 カシャ。


 いい写真が撮れました。


 恐竜は、まだ湖を見ています。湖面には哺乳類が泳いでいます。おそらく食べる気です。

 しかし、その哺乳類は岸辺から離れていきます。恐竜がしょんぼりしているような気がします。


 あ、恐竜に何かが足りないと思っていたのですが、わかりました。

 耳です。もふもふ恐竜の頭の上に猫耳を着けたいです。

 わたしは、恐竜の頭に同じ色の猫耳結界を作ります。


アンナ「結界」


三人 「ん?」

西川 「なんですか、あれ?」

吉田 「ぷぷぷ・・・」


 カシャ。


中村 「アンナ、お前かー。余計なことをするなー。」


 怒られました。恐竜の猫耳を解除します。吉田さんと西川さんは笑っています。


中村 「アンナ、次行くぞ。」

アンナ「はい。」


アンナ「移動します・・・転移」




 私たちは次の場所に転移しました。

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