147 恐竜ツアー2日目です。7
ここは、ドードーがいた場所から少し離れた平原です。
中村 「ジャイアントモアだ。でけえ。」
ジャイアントモアは体高約4m、羽根の色はグレーです。首が長くダチョウに似ています。
史上最大の鳥類です。
私たちはMTVの中から撮影を開始しました。
ジャイアントモアは、背の高い草の実を食べています。
西川 「こんな巨大な鳥が、地球にもいたんですね。」
中村 「絶滅したのが、本当に残念だ。」
吉田 「うん。」
わたしも残念です。
中村 「アンナ、写真を撮ってくれ。」
アンナ「はい。」
わたしはモアと三人の写真を撮ります。
カシャ。
モアをフレームに入れようとすると、モアの巨大さが実感できません。
わたしは三人に写真を見せました。
中村 「なんかイマイチだな。」
西川 「ですね。」
アンナ「モアの足元で撮影しましょう。
光学迷彩で近づき、シャッターを押す時だけ、一瞬迷彩を解除します。」
中村 「わかった。」
私たちは光学迷彩をかけて、MTVを降ります。
三人はモアの足元に近づきました。
モアが首を高く上げた瞬間・・・
アンナ「迷彩解除」(小声)
カシャ。
アンナ「迷彩」(小声)
ジャイアントモアは大きいので足元には気がついていません。いい写真が撮れました。
私たちはMTVに戻ります。そして三人に液晶画面を見せました。
中村 「よく撮れてる。」
西川 「モアの大きさが実感できますね。」
吉田 「うん。」
中村 「アンナ、次を案内してくれ。」
アンナ「はい。」
アンナ「移動します・・・転移」
* * *
ここは、大陸北方の海です。
私たちは群島の沿岸上空にいます。わたしはMTVの高度をゆっくり下げました。
アンナ「下を見てください。」
西川 「あれは・・・なんですかね。」
中村 「ステラーカイギュウか?」
アンナ「はい。そうです。」
私たちはMTVの中から撮影を開始しました。
ステラーカイギュウは十数頭の群れを作っています。海上に浮かびながら海藻を食べています。
全身がこげ茶です。体長は5mから7mの個体が中心です。最大個体は全長が約8mです。
ステラーカイギュウはマナティーやジュゴンと同じ海牛類です。アメリカで確認されたマナティーの最大サイズが3.9mと言われています。ここにいるステラーカイギュウは、二倍の大きさがあります。
私たちは旋回飛行をしながら撮影をしています。
背中に海鳥を乗せたカイギュウがいます。かわいいです。
アンナ「あそこに仰向けになっているカイギュウがいます。
一緒に写真を撮りましょう。」
わたしは、カイギュウと三人の写真を撮ります。
カシャ。
カイギュウの全身を入れるのは無理でした。
中村 「アンナ、海中から撮影したい。」
アンナ「わかりました。」
わたしはMTVを潜航させました。
海中は、まるで昆布の林みたいです。海水は、とてもきれいです。
中村 「写真を撮ってくれ。」
アンナ「はい。」
わたしは一番大きなカイギュウと三人の写真を撮ります。
カシャ。
アングルを替えて数枚の写真を撮りました。
西川 「僕も名前だけは知っていましたが、まるでクジラみたいな大きさですね。」
吉田 「うん。」
中村 「マナティーの倍の大きさだからな。」
西川 「確か、数百年前に人間によって、絶滅したんですよね。」
中村 「ああ。発見した27年後に絶滅している。日本では江戸時代のころだ。」
西川 「このカイギュウが見られたのは、たった27年間。しかも江戸時代。」
中村 「絶滅したのが、非常に残念だ。」
西川 「僕も残念です。」
吉田 「うん。」
中村 「異世界は、絶滅した生き物の楽園みたいなところだな。」
西川 「僕も、そう思います。」
吉田 「うん。」
アンナ「おやつにしましょう。」
私たちは、島の海岸でMTVを降ります。
わたしは天幕とテーブルなどを出して、離れたところにトイレを出しました。
*
おやつはイタリアンドルチェ、ズコットです。ドーム型のケーキです。
ズコットの作り方
半球型ボウルの内側に、切ったパンディスパーニャと言うスポンジケーキを敷き詰めます。
そこに、リコッタチーズと水切りヨーグルトで作ったフィリングと果物を入れます。
今回、果物はイチゴ、オレンジ、キウイフルーツを使いました。
そのあとパンディスパーニャで蓋をします。
冷凍したあと、型から取り出し、粉砂糖とココアパウダーをかければ完成です。
セミフレット(半解凍)で食べると美味しいです。
今回はレアチーズケーキ風に作りましたが、生クリームやムースを入れたり、果物の代わりにナッツを入れるレシピもあります。
*
アンナ「飲み物は各自出してください・・・いただきます。」
三人 「いただきます。」
ぱくっ。
中村 「うまい。」
西川 「んー。冷たい。」
吉田 「美味しい。」
わたしはスイーツの説明をしました。
私たちはステラーカイギュウがいる海を見ながら、おやつを食べています。
*
中村 「ステラーカイギュウもそうだが、絶滅した動物を見て、なんだかホッとした・・・
そう言えば、なんで絶滅した動物が異世界にいるんだ?」
アンナ「まだその説明をしていませんでしたね。
異世界に絶滅した動物がいるのは、女神様が地球から転生させたからです。」
中村 「そう言うことか。」
アンナ「この惑星は地球をモデルに作られました。
生き物は生態系のバランスを考えて転生させたようです。
もちろん、その後独自に進化した生き物もたくさんいます。」
中村 「女神様に感謝だな。」
吉田 「うん。」
西川 「そうですね。絶滅した生き物を見られましたからね。」
中村 「それもあるが、絶滅から救ってくれたことへの感謝だ。」
西川 「はい。」
中村 「さっき見た動物の顔、みんな幸せそうな顔をしていた。だからホッとしたんだ。」
吉田 「うん。」
*
おやつが食べ終わりました。
アンナ「ごちそうさまでした。」
三人 「ごちそうさまでした。」
わたしは天幕やテーブルなどを収納します。トイレも済ませました。
そしてMTVに乗り込みます。
アンナ「移動します・・・転移」
私たちは次の場所に転移しました。