143 恐竜ツアー2日目です。3
ここは、乾燥した草原地帯です。
近くに山があり、目の前に小さな川があります。
私たちは熱帯雨林から転移してきました。
いま低空をゆっくり飛行しています。
目の前に川で水を飲む、哺乳類がいます。
西川 「ライオン?」
中村 「いや、よく見ろ。あれはスミロドンだ。」
西川 「本当だ。牙がでかい。」
スミロドンは全長2m、全身がうす茶色の哺乳類、サーベルタイガーの一種です。
上顎にある大きい二本の牙と短い尻尾が特徴です。
私たちはMTVで近づき、撮影を始めました。
中村 「あの大きな牙、かっこいいな。」
西川 「はい。ゲームに登場するモンスターみたいです。」
吉田 「うんうん。」
西川 「サーベルタイガーは虎に近いイメージだったけど、
実際の見た目はライオンに近いですね。たてがみは無いですが。」
中村 「そうだな・・・頭が大きくて、前足の筋肉が発達してる。
いまのネコ科と比べると雰囲気がかなり違うな。」
西川 「はい。違いますね。」
スミロドンは水を飲み終えて歩き始めました。
アンナ「一緒に写真を撮りましょう。」
カシャ。
中村 「獲物を倒すところが見たいな。」
アンナ「近くに動物はいません。」
中村 「そうか。」
スミロドンは木陰に入り、休んでいます。
中村 「この様子じゃ、狩りをしそうにないな。」
西川 「無理ですね・・・昼寝をしてます。」
中村 「しょうがない・・・アンナ、次を案内してくれ。」
アンナ「はい。」
アンナ「移動します・・・転移」
* * *
ここは陸地から数km離れた海の上空です。
わたしはMTVをゆっくり降下させました。そして着水、潜航させます。
海水は澄んでいて、きれいです。目の前をウミガメが泳いでいます。
中村 「でけえ・・・アーケロンか。」
アンナ「はい。そうです。」
アーケロンは全長4m、ひれを伸ばした横幅は5m、甲羅の大きさは2.3mあります。
史上最大級のウミガメです。全身が濃いグレー、甲羅には斑模様があります。
私たちは撮影を開始しました。様々なアングルで撮影をします。
西川 「大きい・・・日本の水族館で飼育するのは無理ですね。」
吉田 「うん。」
ウミガメが泳ぐ先に、クラゲがいます。
ぱくっ。
一口で食べてしまいました。
その後も目の前に現れるクラゲを次々と食べていきます。
アンナ「記念写真を撮りましょう。」
わたしは三人とウミガメの写真を撮ります。」
カシャ。
水族館で撮った写真みたいですが・・・まあいいでしょう。
アンナ「移動しますが、よろしいですか?」
中村 「いいぜ。」
わたしは陸地に向かって潜航しました。
*
しばらく潜航すると、海底が浅くなってきました。海底にも陽光が届きます。岩と砂が入り交じった地形です。
わたしは海底近くでMTVを停止させました。
アンナ「皆さんに面白い生き物をお見せします。」
わたしは座席から立ち上がり、アイテムボックスから小さなハイテーブルを出しました。
その上に結界で小型の水槽を作ります。
アンナ「転移」
ちゃぷん。
水槽の中に、海水ごと小さな生き物を転移させました。
アンナ「これを見てください。」
三人 「ん?」
西川 「オパビニア!」
アンナ「ご存知でしたか。」
西川 「すごい。本物だ。しかも生きてる。」
オパビニアはカンブリア紀に生息していた甲殻類です。全長7cm、茶褐色、側面にヒレがたくさんあります。目は5つ、細い管の先に口があるユニークな生き物です。
中村 「昔、学会で復元図を発表したとき、会場が大爆笑したというヤツか?」
西川 「そうです。」
アンナ「そんなことがあったんですね。」
三人は水槽を取り囲んで撮影しています。
中村 「こういうのもいいな。」
吉田 「うん。」
西川 「最高です!」
西川さんのテンションが高いです。
西川 「アンナさん、他にもカンブリア紀の生き物はいますか?
例えば・・・アノマロカリスとか。」
アンナ「アノマロカリスは前に見たことがあります。」
西川 「見たい!」
中村 「俺も見たい。」
吉田 「わ、私も。」
アンナ「わかりました。ちょっと待ってください。」
わたしは千里眼を使ってアノマロカリスの生息場所を確認します。
いました。
アンナ「次はアノマロカリスを見に行きます。」
わたしは、水槽の上部を結界で閉じました。そして水槽をMTVの側面に押しあてました。
水槽の中身は外へ、水槽はMTVに吸収されました。
海に戻ったオパビニアは元気に泳いでいます。ハイテーブルはアイテムボックスに収納しました。
アンナ「浮上します。」
MTVは海上に浮上しました。
アンナ「移動します・・・転移」
私たちは次の場所に転移しました。
小中学生にも読んでほしいので、年齢制限をしていません。そのため過激な描写はありません。