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ラヴァンドラ

作者: 神林 醍醐郎



焼けつく空と しづかなる雲


果てなく広がる 紫花の海


その只中に佇む貴女 白昼の夢 ラヴァンドラ


脳の髄まで惚けるような 色めく香りを漂わせ


貴女はじっと私を見やる


まるで言葉を知らないように


されどもその瞳は雄弁に 声無き声で かく語る




「応えてください ねぇ あなた


 私の想いに応えてください


 私はずっと待っていました


 この花園に揺れながら


 あなたをずっと待っていたのです


 疑った日もありました


 忘れ去られてしまったと


 涙に溺れる日もありました


 けれども あなたは来てくれた


 こうして ここまで来てくれた


 お願いですから ねぇ あなた


 この身が衰え 散り逝く前に


 どうか 私を摘み取って


 そうして きつく抱きしめて


 この身が想いに耐えかねて


 滅紫の想いのひとしずくまで


 余さずあなたを染めたなら


 それで私は満たされるのです」



 

微笑む貴女に手を伸ばし その身をきつく抱きしめる


紫花の香りは放たれて 真夏の陽射しに燃え上がり


やがて覚めても その面影は 日を追うごとに いや増して


この身を染めた貴女のイデア いついつまでも消えることなく










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