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DRAGON CHILD LEN -Jewel of Youth ep2-  作者: すこみ
第三話 ブラックペガサス
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5 陸夏蓮 -lu xia lian-(♂)

 少女……レンこと陸夏蓮の作ってくれた野菜炒めは普通に美味かった。


 腹が減っていたこともあって一気に胃の中に流し込む。

 その様子をレンは両手で顎ひじをつきながら嬉しそうに見守っていた。


「おいしいですか?」

「ああ」

「ばあちゃんに習ったです。よろこんでもらえてうれしいです」


 片言とまでは言わないが、まだ日本語に不慣れな感じだ。

 シンクは空になった皿をテーブルに置いて真面目に話を切り出した。


「で、これからどうするんだ。とりあえず警察にでも行ってみるか」


 どうすればいいかわからないが、何もしないわけにはいかないだろう。

 言葉はともかく、見たところまだあまり日本に慣れていないように思える。


「警察はダメです。くにに返されます」

「まさかと思うけど密入国者じゃないだろうな」

「たぶんそれです。まさかのそれだと思うです」


 いやいやいや。

 本当に勘弁してくれ。


 昨日に引き続いて密入国者と関わり合うなんて冗談じゃない。

 これはもう何があろうと警察沙汰にだけはすべきじゃないと思った。


「安心してください。レンすぐに出ていきます。はやく『せいげん』解かないとダメですから」


 レンが意味不明なことを言う。

 シンクは顔を上げて聞き返した。


「せいげんってなんだ?」

「えっと、ニホン語の正しい言葉ではわかりません。でも、それを解かないとレンはなにもできません。海を渡ってきた意味ないです。昨日、約束の人にといてもらうハズでしたが、もう会えませんので、どこにいけばとけるかわかりませんが、とにかく出ていきます。あなたにこれ以上迷惑かけられないから」

「わからないって……っていうか、そもそも何しに日本に来たんだよ」

「『いちばん』になるです。そのためにレン生まれました」


 また良くわからないことを言う。

 いちばんって何だ?


「上海ではレン『いちばん』になりました。でも、ニホンはもっとすごい『いちばん』がいっぱいいると聞きました。だからニホン来たです。いろんな人と会って、レンもっと『いちばん』なりたいです!」

「わかった。とりあえずわかった」


 本当は何一つわからないが、この少女が熱意をもって何かを求めていることはわかった。

 ならばそれを止めるのは野暮というものだろう。


「とりあえず出て行く前にやっておきたいことはないか。できることなら協力するぞ」

「レンは風呂に入りたいです」

「また唐突だな」


 だが言われてみれば、レンの格好はものすごくボロボロである。

 泥まみれになった男モノのシャツに破れたズボン。

 さっきまでは料理の匂いで気にならなかったが、向かい合って座るとずいぶんと泥臭い。


「わかった。沸かしてきてやるよ」


 そう言って立ちあがったシンクがレンの横を通り過ぎようとした時、小さな手が不意にシンクのズボンの裾を掴んだ。


「いっしょに入りましょう」

「は!?」

「一人でお湯入るのこわいです。いつもばあちゃんに洗ってもらってました」

「無茶言うなよ! 俺はお前のばあちゃんじゃねえ!」


 シンクは思わず怒鳴ってしまった。

 レンはしょぼんとしてゆっくり手を離す。

 その隙に風呂場に行き、湯沸かし器のスイッチを入れる。


「ほら、入ってこい」

「はい……残念です。一緒に入りたかったです」


 いくら小学生相当の年齢とはいえ、女の子と一緒に家の狭い風呂なんて入れるか。


 いや、小学生だからこそか……

 何度も言うが俺はロリコンなんかじゃない。

 四つも年下の相手に変な感情なんか持てるか。


 ん、まてよ? よく考えたらたった四つしか変わらないのか。

 大人だったらそれくらいの年齢差なんて普通だよな。

 見た目だけならマナだって似たようなものだし。


「って、何考えてるんだ俺は!」


 いかん、混乱している。

 というか本気で自分が信じられなくなってきた。

 確かにレンは人形のような美少女だし、ちょっと想像力を働かせてみれば、その美しい裸体がありありと現実のものとして目の前に――


「大変です! 風呂がまだ冷たいです!」

「表に出てくるなら服を着ろーっ!」


 現実に一糸まとわぬ姿のレンがバスルームから飛び出していた。

 水がお湯になるまでは時間がかかるが、服を脱いで浴槽に入ろうとしたところで気づいたらしい。


 つまりレンはまるっきり全裸だった。

 細い肩。

 起伏のない胸部。

 やや痩せすぎの細い体。


 腰回りのラインはまだ女の体になっていない。

 ダメだとわかっているが、つい視線が下に向いてしまう。

 まだ毛も生え揃っておらず、股間には小さなものがぶらぶらと……


「おまえ男なのかよ!?」

「えっ、なにどうしたです」

「男なら男って最初に言えよ! 無駄に意識しちゃったじゃねえか!」

「何を言っているのかわからないです。レンは最初からずっと男です」


 いや、確かにシンクが勘違いしていただけだ。

 服装だって男モノだったし、一言も自分を女だとは言ってなかった。


 でもな、でもこんなに可愛いんだぜ。

 髪だって長いし男の子だなんてわかるはずないじゃないか。

 ちくしょう。


「あったかくするやり方わからないです。やっぱり一緒に入るダメですか?」

「あーあー、わかったわかった。一緒に入ってやるからちょっと待ってろ」

「やった!」


 シンクが答えると、レンは嬉しそうにぴょんと跳びはねた。

 ついでに下の方についてる物体もはねた。

 隠すくらいはしてくれ。

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