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映画シナリオ「葵の心」  作者: 多谷昇太
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阪急ビル内にて

運転手「次は栄町二丁目…お降りの方いまへんか?」

客男(60位)「おい、運ちゃん!ブザー鳴らへんで。わし、つぎ降りるで」

運転手「え?鳴らへん?……すんまへん、次停まります」


バス停で停めて客を降ろしたあと運転手が向一に振り向き話しかける。


運転手「お客はん、すんまへん、ちょっとブザー鳴らしてくれまへんか?」

向一「(ボタンを押してから)点灯はするけど、ブザーは鳴らないみたいですね」

運転手「そうでっか。おかしいな、壊れてんのかな。(客全員に大声で)すんまへん!ブザー鳴らへんさかい、降りる方は声かけたってください!」


バス発車する。


運転手「(つぶやき声で)東京の人か。道理で気品があると思ったわ……それに比べて大阪の人間はえげつのうて……」


大阪駅に向かってバスが走って行く。


〇奈良市内・某葬儀所の中

葬式が行われている。畳に正座する喪服姿の人たちの膝元。その前を焼香に向かう人たちの足元を映す。いっさい無音。


〇大阪阪急駅前ビル内部

阪急駅前ビル内部の豪華さに圧倒されながらあたりを歩きまわる向一。改札口がわからずあっちこっちをうろつき廻る。近くのキオスクにいる売り子2人がその様子を面白がる。

 

売り子A(25位)「(口に手を当てて)あの人、さっきから行ったり来たりしちょる。いったい何してはんのやろ?」

売り子B「おおかた改札口がわからへんのや。もしお上りさんやったら、こない阪急何番街とか表示された、ビルの豪華さに気ぃつぶされてんのや」

売り子A「お上りさんちゃうで。東京のぼんぼんに見える。もしそないやったら、やたらウロチョロせんとうちらに訊けばいいのに……」

売り子A、売り子B「……ねえ!!」


その声を聞いて恥ずかしくなった向一が闇雲にビルの奥へと入って行く。いつの間にか従業員フロアへと迷い込む。一室のドアが半開きになっていた。用務員室とか思った向一が回り込んで改札口を尋ねようとする。中には中年の掃除婦二2人がいてうち1人がズボンを腰の下までさげて上着の裾の乱れを直そうとしていた。白い大きなお尻がまともに向一の眼中に入る。あわててもと来た方へと戻って

行く向一。

 

掃除婦A「しもうた。見られてもうた…なんでこない所に入って来んのやろ」 

掃除婦B「早う追っ掛けてって金もろうて来んね」

掃除婦A、掃除婦B」「(笑い)」

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