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映画シナリオ「葵の心」  作者: 多谷昇太
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バス停にて

仲居A(30代)「(指差しながら)あそこですよ。見えますか?酒屋の看板があるところ」

向一「あ、わかります。どうも」


向一うなずいてそのまま立ち去って行く。


仲居A、仲居B(ともに30代)「おおきに。またお越しください」

仲居A「いやあ、あのお客はん、いい男やわあ」

仲居B「ほんまやなあ。でもなんかボーッとしてはって……(向一の背に)こちら側のバス停でっせ!反対側行ったらあきまへんよ!」

向一やや振り返ってうなずきそのまま去って行く。仲居2人軽く笑って戻って行く。


〇バス停前

老夫婦一組がいる。向一そのうしろに並ぶ。


老人(70位)「(向一に)お早うはん。いい正月でんな」

向一「(面食らったように)え……?あ、はい。お早うございます」

老人「どこぞお参りですか?」

向一「……ええ……まあ、ちょっと」


そのまま目を落とす向一。老人話しかけるのを止めて妻と会話を始める。向一のうしろに中年の女2人連れが並ぶ。


女A(40位)「ああ、空いとる、空いとる。こりゃええわ。さすが正月や」

女B(40位)「ほんまや。腰掛けられるで」

女A「あー、正月早々働かなならん。しんどいわ。(向一に目をやりながら)他の人、ちゃうやろな」

女B「あったりまえや。余所行きの格好しとるやん。うちらダサいオバハンとちゃうで」

女A「(小声で)どこの人やろ。東京の人ちゃうやろか…」


向一に興味がありそうな2人。それと察して恥ずかしがり無視を決め込む向一。幾許もなくバスが到着し順番に乗って行く。


〇ワンマンバス車内

向一、金を払って運転席のすぐうしろの席に着く。金を入れる時に運転手が向一の顔を見て一瞬驚く風を見せる。続いて女A、女B乗り込んでくる。


運転手(40位)「(野太い声で)ちょっとお客はん、今日は去年の12月30日ちゃうで」

女A「(小声で)あ、バレてもうた。(定期券を改めて見る風をして)すいません。日付過ぎてたの気付かんかった。いくらですか?」

運転手「ええよ、もう。今度気ぃつけてえや」

女B「(定期を見せたあと女Aの背中を押しながら小声で)見てみい、アホやな。恥ずかしい、はよ行かんね」


バス動き出す。車窓に大阪市内の風景しばらく続く。

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