背負い投げ
向一「(軽笑)まさか、そんなこと……」
しかしこの時その角からこちらに向かって歩いて来る不良風の高校生三人組が現れる。
高校生A「おや?ありゃ和泉や。まずいで。もどろか?」
高校生B「かまへん。わしらを知らんじゃろ」
高校生C「へっ!まったくよ、ええ金蔓を逃してしもうたのう(笑い)」
高校生A「しっ!聞かれてるで……」
その会話が始めっから聞こえていた和泉はサーっと血相を変えて、すれ違いざまにいきなり高校生の肩を突き飛ばす。向一の存在をまったく失念して。
和泉「こら、われか!順一を喝上げしてたのは!……ええか、順一は、順一は、自殺したんやで!それを……金蔓をなくしたとは、どういう言い草じゃ!」
高校生C「何すんねん?!いきなり……」
和泉の豹変と激高、先程来の商店街の人達のお悔やみから素早く事情を察した向一は意を決する。
高校生C「ふん、聞こえたんならしゃあない。おうよ、われんとこの弟はまたとない金蔓じゃった。それが何じゃい。大店の倅じゃ、わしらへの貢などなんぼのもんでもなかろうが。わしらとの付き合い代じゃ。(ABに)のう?」
和泉「なんやてーっ!」
摑みかかろうとする和泉を制して向一がCの前に立つ。
向一「おい、お前。聞き捨てならんぞ。この人のいま云ったことは本当か?!」
云いざまCの胸倉を摑む。
高校生C「なんじゃ、おのれは。この東京もんが。やるんかい?おお?!」
向一、いきなりCを背負って投げ飛ばす。受け身が取れずにCが背中から地面に落ちて悶絶する。たじろいだAとBがCを抱え起こしてあたふたと退散する。
和泉「待ちやー!」
追おうとする和泉を向一が止める。
向一「お止しなさい、お嬢さん。あとは警察にまかせた方がいい!」
和泉「止めんどいて!うちは、うちは、堪忍ならん!弟はあいつらに殺されたんや!」




