もふもふをもふり倒せると思って転生したけど、この手触りはどういうこと?!
「貴女は死にました」
「は?」
真っ白い空間に、女神みたいな綺麗な人が立っている。
え? 私、死んじゃったの?
スマホを見ながら歩いていたら、横断歩道に車が突っ込んできたのは覚えている。ながらスマホ、ダメ、絶対。
「本当は、もう少し生きられるはずだったのですが、ちょっとした余所見による間違いで死んでしまったのです」
「余所見って、私が? 女神様が?」
「それには言及しないかわりに、異世界に転生させてあげましょう」
「女神様の手違いなんでしょう?」
上から目線な、偉そうな態度の女神様にイラッとしたので指摘してやった。すると、女神様はばつが悪そうな顔で追加してきた。
「異世界では、あなた好みのイケメンと恋に落ちるようにしましょう」
「そんな作為的な恋はごめんですし…死んじゃうなんて…」
いくらイケメンと恋ができると言われても、急に人生終わってしまったのだ。なんだか悲しくなってきた。
「くっ…もう、出血大サービスですっ。異世界には獣人がいます。もちろんあなたの恋人もそうです」
「えっ」
思わずにやけてしまった。
実は私は無類のもふもふ好きなのだ。家では犬も猫も鳥もウサギも飼っている。もふっと、もふる時の幸せといったら…。
「よだれ出てますよ」
「おっといけない。彼氏をもふり放題の異世界に行けるんですね…!」
「うーん、獣人の彼氏です。文字数制限もあるんでとっとと転生してください」
そんなこんなで、獣人のいる異世界に転生して、そこそこ美人に育った私は、獣人のイケメンとお付き合いしている。この世界で獣人というのは、普段は人間と見た目変わらず、獣に変身できる人のことだ。
獣の種類は千差万別で、犬も猫も鳥もウサギもいる。あとロバとか熊とか何でもいる。
彼氏は獣人だが、何の獣なのかまだ見せてもらっていない。もふもふが大好きだとカミングアウトしたが、彼の様子がおかしい。
「えっ、もふもふ…? そんなもののどこが良いんだ」
「えっ、貴方獣人なのよね? 獣の姿を抱きしめたいなー、と思って」
「抱きしめられるのはやぶさかではないが、もふもふでは…」
「もったいぶらないで!」
彼は渋々、本当に嫌そうに獣になった。
そこには、巨大な、グリーンイグアナがいた。
どうしてもふもふじゃないのよーー。女神様の嘘つきー!
私は泣いた。彼氏も切ない顔で泣いていた。
女神様「嘘はついてない」
彼氏「すべすべも、イイだろ?」




