古き民
自分が何者か?
私は女神だと答える。
それは何故か?
そう決められたから
誰に?
五千年前に×××××
×××××?
そう×××××に…私達は作り替えられた。
◇◆◇
絶叫。仄暗き闇に捕らわれながら…彼女は思い出す。
在りし日の自分を…
その瞬間全てが巻き戻る。
「…貴方…古き民だったのね」
目の前で蹲る少女を見て奈都芭が呟く。
パステル調の青い髪からは色が抜け落ち、そこからは白銀に輝く髪が覗いていた。
少女は歯を食いしばり、おもむろに地面を殴りつける。
その衝撃で地面が震える。
「…屈辱です。私が…奴らの走狗になるなど」
悔しさに歯噛みする少女。
奈都芭は嘆息する。全くの想定外の出来事だ。
同時に怒るを通り越し、呆れかえる。
どこまでも愚かで救いようがない。
「奈都芭様。一体・・・何が起きているのですか?エイル様に一体何が・・・」
エミリアが、恐る恐る尋ねる。
「ごめん。少し席を外してくれるかな。状況が変わってね。今は取り敢えず知らないほうがいい」
「・・・分かりました。私に手伝える事はないようですね」
エミリアは奈都芭に心情を察する用に何も訊かずその場を後にした。
「奈都芭。怒ってますね」
グランシアの問いに、奈都芭は小さく首を振る。
「怒ってないよ。下らないって思ってるだけよ。結局何も変わってない・・・ってね」
彼らの辿った末路は彼らの責任だ。だが、これはあまりにも巫山戯すぎだ。
「それは誰の感情ですか?」
グランシアの更なる問いかけに奈都芭はハッとする。
「気をつけてたつもりだけど、どうも呑まれてるな・・・私の目的は二人を助ける事。ここの連中の明暗に介入する気は無いと思ってたんだけどね」
「貴方の思うように。私はそれを手伝います」
「ありがとね。グランシアちゃん」
地面に膝を付くエイルを一瞥すると、奈都芭は彼女に歩み寄った。
「・・・それで、貴方はどうするの?」
「変わりません。私は貴方の為にこの身命を賭したい。貴方だからこそ」
真っ直ぐ此方を見る彼女の瞳に迷いは無かった。
因果応報。そんな言葉が奈都芭の頭に過る。
「わかった。わかった。好きにしなさい。私も好きにやるから」
「悪い顔してますよ。奈都芭」