寝られないときは羊を数えろって言うけど逆に目が冴えるくね?(終)
職員室に到着した俺は、俺を呼び出した張本人の机の前で無言で立っている。
なぜ無言かって?そりゃ相手が対話できる状態じゃないからさ。つまり、
「寝てやがる…」
俺の目の前には椅子の上で周りの目などお構い無しに豪快な格好で寝ている神宮先生がいる。
「ご丁寧にアイマスクまで着けてやがる…」
周りの先生からの視線に耐えられなくなってきたところで先生を起こすことにした。
「先生、起きてください。このままだと先生の睡眠時間に比例して先生の好感度がだだ下がりです。主に俺の…」
肩を叩きながら思わず出てしまった俺の本音に、先生はアイマスクを外しながら目を覚ました。
やる気の無さそうな青い瞳で俺の事を確認すると、おもむろに立ち上がった。
「すまんすまん。近頃あまり寝れてなくてな。なんせ新人の教師だから周りから仕事を押し付けられんだよ。はぁ…おかげで毎日徹夜だ」
「徹夜になるまで仕事を押し付けられるんですか…。教師の世界の縦社会も厳しいですね…」
「いや、徹夜してんのは今はまってるゲームだ」
一瞬でも同情した俺をぶん殴りたい。
「さて、じゃあさっそくオリジンの測定をするんだが、ここじゃみんなの目もあるから訓練所に移動するぞー」
そう言いながら入り口近くに様々な鍵が並べられてる棚から1つ取り出しポケットに入れた。
おそらく訓練所の鍵だろう。
「おい、早く行くぞ。今日は次の村の村長のイベクエを達成しないといけないからな!」
この人まじで教師か?
俺は自分の担任にあるまじき疑いをかけながら訓練所に向かった。