怒らないから正直に話せって言われて正直に言って怒られなかったことはない(続)
「ところで、天海くんはオリジンがないって本当なの?」
「ブッ!ゴホッ!ゴホゴホ!」
井上が唐突に言った言葉に俺の横に座って蕎麦をすすっていた木ノ下がむせた。
どれだけイケメンでも鼻から蕎麦出してたら台無しだな…
木ノ下を見ながら能天気な事を考えている間に鼻から蕎麦を出しているイケメンは落ち着きを取り戻した。
「ゴホッ…井上ってそうゆうナイーブなこと平気で聞くタイプなんだね。びっくりしたよ」
「だって気になるじゃん!噂でしか聞いたことなかったもん!で、どうなの?」
まぁ悪気はないみたいだし、悪いやつらじゃないしな。話してもいいか。
「本当だよ。俺にはオリジンがない。俺の実家はそこそこ有名な剣術の一族なんだけどさ、俺はオリジンがないせいで小さい頃からそうゆう催しにも出られなかったよ」
「天海…剣術…。やっぱりそうだったんだ」
花咲の言葉の意味が分かった俺はうなずく。
「え?やっぱりって、なにが?」
井上が分からないようだったのを見て進が言葉を紡ぐ。
「剣の四大一族と魔の四大一族。聞いたことくらいはあるだろ?」
井上が自分の言葉にうなずくのを確認して話を続ける。
「天海、神崎、豪馬、斎、これが剣の四大一族。
その対となる魔の四大一族が、黒宮、花咲、御門、己龍だ。」
「いくらこの学校が日本屈指の学園だからってまさか剣と魔の四大一族が4人も同級生だとは思わなかったよ」
木ノ下はやれやれと首を振っている。
「3年には神崎家の跡取りがいるらしいぜ?ま、全国にもこの学園とタメをはれる所は祇王学園くらいだからな。ちなみに残りの一族はそこに集まってるらしいぜ」
こいつは一体どこからこんな情報を仕入れてくるのだろうか…
(そういえば昔から誰にも言ってないはずの秘密とか全部進が知ってたな…こわっ)
幼なじみに得たいの知れない恐怖を感じたところで神宮先生を待たせていることを思い出した。