怒らないから正直に話せって言われて正直に言って怒られなかったことはない
「ここが訓練所だ」
…広い。広すぎる…。
「あの、この学園って確かに半端じゃない敷地ですけど訓練所だけにこんなに敷地使って後の施設は大丈夫なんですか?」
「あー、それは大丈夫だ。空間拡張魔法を使ってるからな。他にもアリーナやお前らが使う寮の各部屋とかにも拡張魔法が使われてるから実際の敷地の倍くらいはあんじゃねーか?」
なんて便利な世の中になったんだろう…。
「で、なんでオリジンの測定だけなのにこんな広いところに連れて来られたんですか?」
隣で口にくわえているタバコになかなか火をつけられないでいる神宮先生に率直な質問をぶつけた。
「んぁ?あー、それはあとで説明するわ。とりあえず…ほれ、これに腕を通せ」
たばこの煙を吐き出しながら先程教室で皆のオリジンを計った機械に腕を通すように指示された俺は素直に腕を通す。
「あ、学園長からもらったブレスレットは外せよ?あくまでお前自信の測定だからな」
そう指示を出されたので機械に腕を通したまま左手首についていたブレスレットを外す。
「どれどれ。んー、やっぱ0か。改めて見るとやはり珍しいもんだな」
不思議と先生の言葉からは害意を感じなかった。
本当に、ただ純粋に珍しいものを見ただけのような雰囲気を言葉がまとっていたからだろうか。
「先生は、俺のこと軽蔑したりしないんですね」
おそるおそる、尋ねてみる。
「軽蔑ねー。確かに珍しいことではあるが、俺にとってはそれまでだな。それ以上でも以下でもねーよ。オリジンがないことを除けばお前だって普通の人間だし、オリジンがなくたって俺の生徒であることには変わりねーよ」
吸い終わったたばこを携帯灰皿に入れながら淡々と話してくれた言葉に少しの嘘もないような気がした。
「そうですか…」
「なんだ?なんで笑ってんだよ」
「なんでもないです!ところで先生、さっきの質問に戻るんですけどなんで訓練所まで来たんですか?」
先生の質問を誤魔化しながら先程の質問を問いかける。
「まぁいいか。それはだなー…」