エピローグ
この世は平等ではない。
大きくまとめると、天才と凡人ってやつ。たいていの人間はこの二つのどちらかに当てはまる。
俺、天海 誠は例外でそのどちらにも当てはまらない。
なぜなら俺は…
「なんであいつがこの学校にいるんだよ」
「あの人知ってる!私の学校でもすごく有名だった!確か…」
周囲の人間から浴びせられる冷たい視線と軽蔑の言葉。
俺は昔から何一つ変わらないその光景にため息をこぼす。
「はぁ…。こっちが聞きたい…」
そう呟いた俺は、ずっとうつむいていた視線をゆっくりと上に戻す。
目の前には国内でもトップクラスの魔法学校の校舎が俺を見下ろしている。
「はは…。夢なら早く覚めてくれ。」
今から120年前…。この世界でとても大きな事件が起きた。
1つの大きな隕石が地球に落ちてきたのだ。しかしその隕石は地球に近づくにつれ速度が低下していき、落ちた時には、わずかな水しぶきを立て海に消えていったのだ。
この不思議な隕石が落下した後、その後に生まれてきた全ての子供達には今までの人間にはない力が宿っていた。
宙を浮くもの、体が液体になるもの、火や水を操るもの。
こういった不思議な力を使う人達の体には力の源になる分子が存在した。その源を人は「オリジン」と名付けた。
今の時代、人間には当たり前の力。
その力をこの世界で持っていないたった1人の人間。それが俺だ。
そんな俺は周りから皮肉の意味を込めてこう呼ばれている。
「ローンオリジン」