表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

0話 ツッコミの天才

作者は趣味で小説を書いてる者だ。

よろしくお願いします。

 俺、音無蓮斗(おとなしれんと)は我慢している。痛みでもなく、眠気でもないツッコミをいれたいいう衝動に駆られている。


 漫才をする時でも、ボケとツッコミをする者がいて、初めて漫才のコンビが成立する。


 男子四人で机を囲んで弁当を食べている。皆、他愛もない話をして弁当を食らう。

 

 俺の正面に座っている友人の七瀬友也(ななせともや)もいい笑顔を浮かべて話している。しかし、俺は気付いた。

 友也の鼻の穴から毛が俺を覗き込んでいることを。しかも、両穴からだ。


 おい! わざとだろ!? 俺にツッコンで欲しいのか!?


 「しかし、食事中にこんなことを……」

 「どうした? 蓮斗」


 いい笑顔だ。友也はイケメンだ。こいつの恥をこれ以上、露にしてはいけない。やるしかない。


 鼓動が高鳴る。親友のツッコミが一番気を使う。1歩間違えれば、これまでの関係が音もなく崩壊する。友情とは繊細なのだ。


 俺は席から勢い良く立ち上がり、渾身のツッコミをいれる。


 「友也! お前の鼻からお花が2本咲いているぞ!」


 鼻毛をお花に例え、鼻毛に対する印象をオブラートに包んだ。さらに食事中とあって、お花という表現は妥当だろう、と思う。


 しかし、周りが静寂に包まれ変に目立ってしまっている。


 友也は急いで、教室を後にした。恐らくトイレに行ったのだろう。

 周りの友人からは、「ちょっ! お前何を言ってんだよ」みたいな目で見られている。


 いいんだ……。一人の少年を救ったのだから……。


 ピロリロリン。


 昔のゲーム音みたいな音がした。正確には俺にしか聴こえないらしい。皆気にも止めず、また弁当を食らっている。


 『音無蓮斗様、貴方は0歳から数えた17年間で100億回のツッコミをいれ、殿堂入りしました。その勇姿を私のツッコミのいない荒んでしまった世界で、披露して欲しいのです。

 ーーそして、私の世界を救って下さい。ツッコミの勇者として!』


 ツッコミ100億回? ツッコミの勇者? なんだなんだ?


 『では、お願いします。ツッコミの勇者。あ、私は神セフィーロです。以後お見知り置きよ』


 「へい?」


 俺は眩い光に襲われた。変な感覚だ。昔の風景が掘り起こされ、懐かしい想いが湧いてくる。


 ーー少女がいる。誰なんだろう……。


 ふと、目を醒ますと教室でも保健室の屋根ではなく、澄みきった青空にゆっくりと雲が流れている。


 仰向けに寝ている俺。


 ーーそして


 何食わぬ顔で俺の腹部を踏みつける少女。


 「おいおい、止めろ!」


 腰まで伸びた銀色の髪を風に靡かせ、青色の瞳で俺を一瞥する。お人形さんのような顔立ちからは小学生を連想させる。総じて、外国の小学生だ。こいつ。


 英語だ。日本語ではこの攻撃は止まらない。


 「No thank ! Please no thank! Ok?」


 少女は訝しいそうな表情を浮かべて、再度俺の顔を覗き見る。

 俺の語学力が乏しかったのだろうか。自慢じゃないが、英語で赤点以外取ったことがない。


 「お前、見慣れない鼻だな」


 俺は思考を忘れ、反射的に反応してしまった。


 「いや、そこは鼻じゃなくて服装や顔だろ!!」


 少女は尻餅を付き、短パンと黒ニーソの間の"絶対領域"が俺の目に飛び込んでくる。雪のような白い肌が"絶対領域"をより一層際立たせる。


 「おじちゃん、おじちゃん」


 と言って慌てて逃げるように去ってしまった。


 また滑ってしまった……。


 俺は溜め息を溢す。


   

  

 





 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ